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48 汚冥界:居住区(城壁内)

 

 ■システィーナの視点


 ゼエッ! ハァッ! ゼェッ! ハァッ!


 く、苦しい!

 天井の高い暗闇の通路を駆ける。


 ゼエッ! ハァッ! ゼェッ! ハァッ!


 何て不気味なのっ!?

 縦長の亀裂から斜めに射す赤い光。

 不気味な赤い光。

 不吉な赤い光。


      ギャアアアアアッッ!! ゴアアアアアッッ!!


 汚泥のような壁を隔てた外には、私たちを追うように化け物たちがついてくる!


「ぐぅっ!」 左腕を抑えて呻くクラウディーアさん!

「だ、大丈夫ですか!?」

「な、何とか!」


 何とかなってないくらい脂汗をかいてる! 霊、心を傷つけられるというのは、相当に堪えるんだ!

 私が何とかしなくちゃ! 私が二人を護る!

 私は腰に挿した筒に手を伸ばした。そこには長さ十五センチほどの串が収まっていて! 大体五十本くらいだ!


「ハァッ! ハァッ! 五十本、行ける!」

「な、何がっですかっ!?」

「弓矢です!」


 そう、これは弓矢! 十五センチくらいだけれど弓矢! エルフは木でできた弓矢を精霊魔法で小さくして携帯できる! さっき、目玉の化け物に撃ってちょうど半分になったけれど! 行ける!


 と、暗闇の通路は分岐点に差し掛かった! 真っすぐ向かう賓客の間へのルート、階下の修道僧の宿坊や地下墓地に向かうルート! 糸が向かっているのは……!


「ええ!? 階下に向かってるのと通路の先に行ってる糸がある!?」


 そうなの! 糸は階下に降りていて、でもそこからまた一階の通路の先に……ああっそうか! サマラは地下墓地に降りたんだ! それからまた上ってきたのか! じゃあサマラのいる場所は!


「「賓客の間!」」


 何てこと! 現世でさんざん賓客の間に集まっていたけれど! サマラの魂も、そこにいたんだ!


「アルシャーネさん! 賓客の間からさきに繋がる部屋は!?」

「ありません! そこが行き止まりです!」

「行きましょう!」


 私たちは再び走り出した! やっと! やっとサマラに会える! 少女を助けられる! そして現世に戻れる!

 そう思うと希望が!

 途中でグールが襲い掛かってきたけれど、先頭のノームに移動させたサラマンダーが焼き払って! ガンガン行こう! とその時!


      ギャリリィィィィンッッ!!


「「ひゃあっ!」」 私たちは耳を抑えた!


 なな、何っ!?

 外から、金属を擦り合わせたような不快な音が! え!? 何!?

 何、今の金属の音!?

 音の方向から、ふもとの町!?


 亀裂の窓から外を見ると!

 ふもとの汚泥の家々の上に!

 な、何あれ!? 何あれ!!

 巨大な! 巨大な蜘蛛が! 胴体だけで十メートルはあろう、毛むくじゃらの蜘蛛が!

 でも蜘蛛じゃない! 蜘蛛の顔が! 顔の部分が!

 老人の顔に、猫の顔までついていて! そ、それで老人の口から金属が擦り合う不快な音が!!


      ギャリリリリイィィィィンッッ!!


 なな、何あれ!?


「な……何だ……アレ?」 クラウディーアさんが愕然として……「何と……おぞましい……」

「ひっひぃっ。コ……コックリ」 私は、体がガタガタ震えて……動悸が……コ、コックリ、こ怖いよ……

「ふおっ!う、 海にも何かが!」


 はわぅっ! 島の海岸線付近に……! 触手がボロボロに食いちぎられた巨大なクラーケンと……ああ、別の海岸線沿いには亡霊船が……! 亡霊船自体が生きているかのように、船体に大きな口が開いていて……鋭い牙の口で何かを咀嚼して……!


「は、はぅっ!」 私は……怖くて怖くて……震えてしまって……

「は、早く!いぃっ 行きましょう!」 アルシャーネさんが私とクラウディーアさんの手を取る! ああっアルシャーネさんも震えて!


 私たちは再び走り出した……!

 コックリ……早く帰ろう……!

 怪異を解決させて、二人で聖地を見れる宿で過ごそう! 大河の岸辺の町で過ごそう!


 そしてついに!

 ついに私たちは、巨大な赤黒いホールに到達した!



サマラを探す話が意外に長くなりました。あとちょっと。

現在、抜本的に「水の都」の話を書き直そうと考えてまして、こちらの話を早く終わらせたいです

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