↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/73

43 汚冥界:大聖堂

 

 ⬛システィーナの視点


 汚泥と溶岩で作られたような大聖堂に入ったら……!

 はわっ、真っ暗で……怖いっ! ああ何て不気味なの!

 うぷっ! 何だか腐敗臭がこもってて……き、気持ち悪い! ああコックリの顔色が灰色で吐きそうっ! 大丈夫なの!?


 心配していると、目が慣れてきて内部が見渡せるようになった。

 ああ現世では縦に長い窓が壁にずらっと並んでいるんだけれど、ここは亀裂のような細い線が並んでいて……赤黒い光が、亀裂から差し込んで……ああ、不気味!


「汚冥界の大聖堂は……酷いもんだな」 コックリが吐き捨てる。


 うん、本当それ。その酷い様に目を見張るのは、まずは柱。

 目の前には現世の大聖堂のように、巨大な柱が二列並んで奥へと続いているんだけれど……

 その柱の歪み方、オウトツのでき方は……まるで亡者の断末魔。

 まるで亡者が断末魔を叫んでいるように、デコボコ歪み、穴が開き、熔けたように、滴ったまま固まった感じの柱で……!


 さらに床も、まるで樹の根が複雑に絡まっているような、うねる海の波がそのまま固まったような……ああ、歩きづらい!


 あとは長椅子。木の根のようなうねりが盛り上がって、長椅子のように並んで……うう不気味。

 私は光の精霊を大聖堂の中へと飛ばした。するとその時!


      シャアアアアアアァァァッ!!


「ひゃあっ!」


 骨と筋の亡者が! 長椅子の陰から飛び出してきた! 亡者なのに動きが早いっ!

 でもクラウディーアさんが一歩前に出て! 「チェストッ!」


 ドゴッ! と戦棍が亡者の顔に吸い込まれ、頭部が粉砕消滅! ひゃあっ、頭部を無くした体が後ろに吹き飛ぶ!


「なんだコイツは! 他の亡者と違う!? 動きが早い!?」 クラウディーアさんは戦棍を肩に乗せた。

「これはグールです」


 グール! グールは腐肉喰らいと言われていて、亡者ではなく生命体みたい! 負の生命体!?


「クソッ、汚冥界とはいえ、現世と重なる大聖堂には亡者は来られないと思っていたが。デモンやケルベロス、グールやガーゴイルは入れるのか!?」

「や、やっぱり汚冥界に安全なところって……」


 そう、汚冥界に安全なところはないみたい! とその時、外からゴロゴロと音がして……雨の音が!


「ミサが始まった! 今のうちにサマラの糸を追いまっ! 何っ!?」

「あっ! ああっ!」 私はコックリの二の腕をバシバシたたいた! 「コ、コックリ! 見て!」

「「あっ!?」」


 視線の先! 大聖堂の祭壇がある正面部分! ああ! たった今、突然光りだして! 淡く光りだして! 数十メートル先だけど、分かる! ハッキリ見える!


「「サマラ!」」


 そう! サマラが! 横たわった状態で、祭壇の前に浮かび上がってる! まさかあれが!? サマラの魂!?

 とその時! 柱の陰や長椅子の陰から、黒い何かが動いた!


      シャアアアアアアァァァッ!! キイヤアアアァァッッ!!


 グールだ! 数体のグールがまだ潜んでいて! ひゃあっ! サマラに向かって走り出した!?


「ふおおっ! マ、マズイ!」 クラウディーアさんが駆け出した!

「きゃああっ! サマラ!」

「あっ! 待っ!」


 私たちも慌てて走り出した! ママ、マズイマズイ! グールにサマラの魂を傷つけられたら! どうなるの!?


 薄暗闇の中、光るサマラに向かって邪悪そうな黒い人影が殺到する! ひゃあ、私たちも走り出したけれど! と、とても間に合わない! その時コックリが後ろの方で!


「待った! あれは……!」


 その時! グール数体が、光を纏ったサマラに飛びかかった!


      シャアアアアアアァァァッ!!ウギヤアアアアアアアアアアッッ!!


「「ええっ!!?」」


 飛びかかったグールが! 突然断末魔の叫びを上げて燃え出した! ええ!? 青白い炎が乱舞して! 大聖堂の中程で立ち尽くす女性三人を、コックリが後ろから追いかけてきた。


「やはりそうか。このサマラは、今現世にいるサマラの肉体だ」

「ええ? 現世にいるサマラの肉体!?」

「それ、さっき汚冥界上空にいたサマラ!?」

「そうです」


 私たちはサマラを囲んだ。


「何で分かったの?」

「ミサが始まった瞬間、大聖堂の奥に続いていた糸が消えたからね」

「え? 糸が!?」ずっと糸を持っていたアルシャーネさんも気がつかなかったようで「あ、本当です!」

「どういうこと!?」

「うむ」コックリは私の質問に答えずサマラに触れた。でも体は通過して。「ふむ、やはり」

「やはり?」

「このサマラは現世側の入り口である肉体の方だ。触れると聖地の聖霊の力が伝わるようだ」

「「聖地の!?」」


 私たちもサマラに触れた。スカッと手がすり抜けるけれど、触れると清廉なミシェリアの力が満ち溢れて!


「本当だ!」

「でも何故ここに!? さっきは上空に」

「つまり、ズレがなくなってきているんです」

「「ズレが!?」」

「恐らくアルシャーネ司祭の温かな霊によって、サマラのダメージや負担が軽くなってきたのでは?」

「私の!」

「うん、そうだよ! きっとそう!」


 肉体と魂は糸で繋がっているから、アルシャーネさんの温かな霊力で回復してきてるんだ! ああ、さっきよりも太い糸が! サマラの肉体から新たな糸が出て、大聖堂の祭壇の奥にある通路に伸びてる!


「そしてミサが行われている最中に、サマラの魂をこの肉体に重ねれば、彼女の扉は閉じるハズです!」

「「!!」」


 やった! 光明が見えてきたっ! と思ったその時!


      ドゴンッ!! オオオオオオオオッッ!!


「「!!」」


 大聖堂を揺るがすような地響きの後! 唸り声が!! 大聖堂の入口を見ると! 入口前にある広場に巨大なゴリラのようなシルエットが! はわぁっ、つつ、ついにここまで来た!?


「クソッ!」 コックリは吐き捨てると「ここから二手に分かれるっ! 三人は糸を辿れっ!」

「「ええ!?」」

 私は叫んだ! 「なっなんで!? 嫌っ!」

「嫌じゃないっ! このままだと奴らはどこまでも追ってくる! 我らの後を追ってサマラの元まで!」

「そ、そんな! じゃあ私も!」

「司祭を守ってやれ!」


 その時、入口に巨大な手が! ああっ、触れたところがピキピキと凍り始めて! ええ!?


「ブルーデモンか!? 氷属性のようだ! さあっ、行ってくれ!」

「行きましょうっ! システィーナさん!」

「で、でもっ!」 わ、私、コックリを援護したい!

「光の精霊だけくれ! 俺を信じろ!」

「~~~~っっ!!」 嫌っ! 嫌っっ!

「シスッ!」


 コックリは私の後頭部に手を回して! グイッと引き寄せて! 突然私の唇をっっ!!


「~~~~~~っっっ!!!」 は、激しっっ!! ~~~~~っっ!!

「「っっ!!」」 アルシャーネさんとクラウディーアさんも唖然として!

「~~~~~~っっっ!!!」 ほえぇぇぇっっ!

「ぷはっ! ごちそうさんっ! これで百人力だ! さあっ!」

「ほぁぁ……ふおぉぉ」 ヘロヘロになる私……

「い、行きましょう、システィーナさん!」

「そうです! ここは神殿騎士殿に任せて、一刻も早くサマラの魂を保護して戻りましょう!」

「そう、その方が俺も助かる! 早く現世へ戻ろう!」

「は、はひっ!」私は訳が分からないまま、皆の説得に頷いてしまったの! 「わ、分かったぁ! い、一刻も早く連れ帰る、から、無事で待っててっ!」

「ああ!!」


 私はアルシャーネさんとクラウディーアさんに抱えられるように、祭壇裏の通路へ向かって駆け出した!



6/1目指して頑張ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。