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42 汚冥界:修道院周辺部

 

 ⬛システィーナの視点


 サマラの魂の糸を辿ってトンネル階段を抜けると、修道院の層に突入する!

 ここも汚泥で作られたようだけれど、左手側は城壁、右側は大聖堂の基部!

 階段は大聖堂の基部を中心に右に大きく円を描くように続いている!

 と、トンネルを抜けた瞬間、上からガーゴイルが! 二体同時に!


      ギヤアアアオオオッッ!!


「させるか!」 コックリが肩に担いだ剣を振ろうとした瞬間!

「聖魔法! 紋光弾!」


 アルシャーネさんが! 聖霊ミシェリアを象ったペンダントを掲げるとそこからペンダントと同じ形をした光弾が飛び出した! その光弾は一体のガーゴイルの額に当たって! 額にミシェリアの紋が刻まれた! さらにもう一体にも同じように光弾が放たれて! 次の瞬間、二体のガーゴイルの顔が燃え上がった!


      ギヤアアアッッ!! ギエエエエッッ!!


 ひゃあ! 二体のガーゴイルはそのまま大聖堂の基部に激突して、ドシャッと私たちの前に落ちる! のたうち回るガーゴイルを、コックリがすかさず両断する!


「私も戦います!」

「アルシャーネさん!」 頼もしいです! と、私の肩が軽くなった。

「ゼエッ! アルシャーネ様が戦っているのに! 休んでいられるか!」

「クラウディーアさん! 大丈夫ですか?」

「大丈夫です!」


 とその時! トンネルの奥の方から獣の叫び声が! いや、断末魔の声!?


「よし! 空断の太刀が上手く効いている! 進みましょう!」

「「はい!」」


 私たちは駆け足で階段を上っていくと! ああ! 足が! 重い! パンパンで! と思った時、どうやらそれは私だけでなく皆も同じだったようで!


「ゼエゼエ、もう走れませんね! 回復の聖魔法をかけます!」 アルシャーネさんは両手を胸の前で組むと「聖魔法、全回復!」


 わあ、アルシャーネさんの手が黄金色に光った。そしてすぐに私たち一人一人にペタペタと触れると! ああ、黄金色の光が私たちを包んで! 暖かい! 光が消えたら疲れてパンパンだった足や体が一気に回復した! これならまた走れる!


 と思ったその時! 空の向こうから世界を埋め尽くすような羽ばたき音と多くの雄叫びが!! ひゃああ! こ、怖い! 怖いっ!


「クッ、相当な数! 千匹は越えるか!?」

「ええ!?」

「わ、私のせいなので私が……!!」

「無理ですアルシャーネさん! 皆で戦いましょう! 私も戦います!」

「はい! システィーナさん!」

「建屋内に入ればある程度数を抑えられます! 早く入りましょう!」


 コックリの言葉に頷くと階段を駆け上る! ああ足が軽い! 体が軽い! 一気に駆け上がる!


 すると階段を上りきった!

 やった! 大聖堂前の小広場だ!


「着いた! 大聖堂前広場!」

「はわっ! 何この大聖堂!」


 ああ! 大聖堂が! 目の前にそびえるそれは汚泥と溶岩の塊でできた廃墟のようで! 何て、何て不吉な佇まいなんだろう! 巨大な悪魔城のようだ! 現世の壮麗で神聖な大聖堂とは似ても似つかない!


 現世の大聖堂は、五メートルはあろう大きな両開きの扉が外界との隔たりを作っていたけれど、この悪魔城には扉がない……ただただポッカリと、大きな口を開けて獲物を待っているようで……ああ怖い。中は真っ暗で、外からは何も見えないの……


「見てください! 糸が!」


 ああ! 悪魔城の中に魂の糸が続いている! もしかしたら、この中に!?


「この中にサマラが?」

「ムッ! 待ってください!」

「「また!?」」


 また!? またこの流れ!? 嫌だよ! コックリは目を閉じて、耳に手を当てて集中している。


「クソッ! 何てこった!」

「ど、どうしたの!?」

「今度は何ですか!?」

「さっきの青肌の獣が、トンネルではなく外壁を登って来ている!」

「「ええ!?」」


 せっかく空断の太刀で罠をはって、退治と足止めが出来ていたのに!


「あの青肌の獣……もしかして……デモン(悪鬼)か……!?」

「デモン!?」


 デモンって、汚冥界に堕ちた魂をさらなる苦悶苦痛へと誘うという!?


「現世と汚冥界が怨念で繋がった『 浅い場所 』ではほとんど目撃例がなく、歴代の神殿騎士でもほとんど遭遇していない……」

「つ、強さとか特徴は分からないの!?」

「ああ、あまり分かっていな……」コックリは皆が青ざめたのを察して続けた。「が、見た感じでは俺の方が強い!」

「し、信じるよ!」 明らかに巨人よりも大きく強そうだけれど……コックリを信じる!

「神殿騎士殿! もしサマラが奴等に先に見つかったらどうなります!?」

「マズイですね! かろうじて生きて繋がっているサマラが本当に殺される可能性が!」

「じ、じゃあ急がないと!」


 とその時、天が再びゴロゴロと鳴り始めた! ああ、また雨が降ってきそう!


「よし! また三十分経った! ミサが始まる! こちらに向かってきているデモンも陸地にいるガーゴイルの大群も、一旦おとなしくなるハズだ! 入りましょう!」

「「はい!」」


 私たちは不浄で不吉な大聖堂に入ったの! そうしたら、驚くことが! まさか!




短いと早く書けますね。次回は5/25UPを目指します

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