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【小説1巻発売中】いたりあ食堂ピコピコ ~レトロゲーに転移した俺は、平和に料理を作りたい~  作者: 明桜ちけ
第三章 どんな夢を信じても

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079 ステータスとアーネスト

「休みの日にわざわざ来てもらって、ごめんなぁ」

「いいよ。休みの方が僕も落ち着いて操作できるし、昼食代も浮くからね」


 今日は月末のマジカ支払いのため、トルトに店に来てもらっている。

 少し早いタイミングではあるが、定休日でもないとゆっくり時間が取れないからだ。

 だいぶレベルも上がって出来ることも増えているだろうし、落ち着いて話しながら今後の事を考えたい。


「それじゃあ、支払いから始めるよ」

「ああ、よろしく」


 俺とトルトはセルフレジの前に立ち、マジカの支払いを始めた。 


≪来月活動分のマジカを受領します≫


 音声アナウンスが流れ、自動でレジのドロアーが開く。その上空にはいつもの、異空間のような穴が開いた。

 そして六十万マジカが、穴の中に吸い込まれていく。

 ……十分稼いではいるんだけど、毎月大金が吸われていくのは緊張するな。


≪マジカの受領完了≫

≪いたりあ食堂ピコピコ 活動を継続します≫


 無事に支払いが終わると、レジのモニターにリザルト画面が表示される。



=================


 ダンジョンマスター:天地 洋

 マスターレベル:51

 ダンジョンレベル:23


 店名/ダンジョン名:いたりあ食堂ピコピコ


 この店/ダンジョンは、ダンジョンマスターの魔力により顕現・活動する。

 店内において、一切の暴力は無効化する。

 店内において、ダンジョンマスター及び来客に対して悪意・敵意を持つ存在は入店が拒否される。

 店内で悪意・敵意を持った場合は、強制退場となる

 店内において危険行為を行った場合は、速やかに無力化される。


 マスターレベルは、レシピに登録されたメニュー数及び来客数に応じて上昇する。

 ダンジョンレベルは、継続年数に応じて上昇する。


→【SLv.UP】スキル『バックヤードへの扉』(消費MP1/30分)を獲得しました。

→【DLv.UP】イサナ王国への扉(消費MP1/60分)を獲得しました。

→【DLv.UP】ドワーフの里への扉(消費MP1/60分)を獲得しました。


=================


「最近全然確認してなかったけど、だいぶレベル上がったなぁ」

「仕事の合間にやってると、疲れて読むの億劫だしねぇ」


 正直、店の経営が安定してしまって、これといって変更することも無いんだよな。

 バックヤードの消費MPがかなり減って、常時設置できる扉の枚数は増えたけど……これと言って設置する場所も増えないし。


「拡張画面もかなり項目が増えてるみたいだよ」

「どれどれ――」


=================


→箱庭拡張:3000万マジカ


フロア拡張に伴う活動必要マジカ:+1000万マジカ/月


→簡易店舗(箱庭)拡張:500万マジカ

→東屋(箱庭)拡張:200万マジカ

→トイレ(箱庭)拡張:100万マジカ

→花壇(箱庭)拡張:50万マジカ

→池(箱庭)拡張:50万マジカ


フロア拡張に伴う活動必要マジカ:+300万マジカ/月



→二階フロア拡張:500万マジカ


フロア拡張に伴う活動必要マジカ:+20万マジカ/月



→休憩所拡張:100万マジカ

→ダム拡張:20万マジカ


フロア拡張に伴う活動必要マジカ:+10万マジカ/月


=================


「箱庭ってなぁに? 桁が違い過ぎてコワっ……」

「うーん……ドワーフの里の、狩場みたいな場所が作れるのかも」

「いやぁ、作れたとして管理が無理だろう」


 いよいよピコピコも食のテーマパーク化か!? って、言いたいところだけど。

 今ぐらいの店の大きさが、身の丈に合ってて一番経営が安定するんだよ。

 そんなに維持費のかからない二階席だって、拡張するかどうか。

 商売は下手に手広くするものじゃない――と、元社畜は思う。


≪カランカラーン≫


「ん……あれ……?」


 突然ドアベルが鳴り、定休日の店内に人が入ってきた。

 客のいない店内を見渡して呆然と立ちすくむのは、風呂帰りのアーネスト。

 彼の姿を見て、トルトが真っ先に声をあげる。


「げっ……なんでアーネストが……」

「どうしたんだ? 今日明日は定休日だけど」

「定休日? いつからそんなものが?」

「いや、ずっと前からあるから。アーネストの来る日がいつも違う曜日だっただけだよ」

「…………そうか……」


 ぶっきらぼうなトルトの返答に、アーネストは思考の沈黙。

 しばらくして納得した様子を見せたが、今度は困った様子で悩み始める。


「……もしかして、カルツォーネが欲しかった?」

「ああ」


 食事に来たとき、アーネストは毎回カルツォーネをテイクアウトしていく。

 そして休息と準備を終えた翌日から、下水道の壁画の研究に潜るというルーティーンになっている――と、以前トルトがぼやいていたな。

 きっと何かの理由で予定がずれて、定休日に店に来てしまったのだろう。


「今はピザ生地が無いから用意できないけど、明日の朝でよければ作ろうか?」

「……そうしてもらえると、助かる」

「ええ……休みの日はちゃんと休んでよ、店長さん」


 トルトに小言を言われながら、カルツォーネの注文伝票を書き始める。

 伝票を書き込む俺の手元を見て、アーネストは他の料理も注文してきた。


「ついでに、何か野菜や果物もつけてくれ」

「構わないけど、珍しいな」

「……最近、余計に腹が減るんだ」

「もう! 店長さん、甘やかしちゃダメだって!」

「いいじゃないか、これも商売だよ」


 書き終えた伝票をキッチンに貼る俺に、トルトは呆れながら恨み節を述べる。


「休日料金ってことで、倍の金額を請求するべきだと僕は思うね!」

「むっ……」

「それはさすがに悪いよ……そうだ!」


 良い機会だし、下水道の壁画を見せてもらえないだろうか。

 ラディルがアリエスと旅立ってから、俺にも何かできないかと色々考えていて――その一つに、壁画の確認がしたいと思っていた。

 ゲームシナリオ的に重要な話のはずなんだけど、いまいち設定を憶えてないんだよな。

 今後のためにも、アーネストの考えも含めて聞いておきたい。


「アーネストって下水道の壁画を研究してるんだろ? よかったら案内してくれよ」

「なんで?」


 俺の提案に対して、思っていた以上に冷たく返される。

 そんなに、触れてはいけない内容だっただろうか?

 でも、これから世界が崩壊するかも、なんて言えるわけもないし――


「その……どんな研究してるんだろうって、純粋に興味があってぇ……なんか、スミマセン」

「ふぅん」


 軽くあしらうような、ため息をもらすアーネスト。


「わかった。魔導学園の教授として、義務を果たそう」

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◇◆◇書籍情報◇◆◇


いたりあ食堂ピコピコ ~レトロゲーに転移した俺は、平和に料理を作りたい~1
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