↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【小説1巻発売中】いたりあ食堂ピコピコ ~レトロゲーに転移した俺は、平和に料理を作りたい~  作者: 明桜ちけ
第三章 どんな夢を信じても

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

96/102

078 イサナ王国の話題店

≪カランカラーン≫


「お待たせいたしました! いたりあ食堂ピコピコ、オープンいたします!」


 フェルミス君が扉を開けると、次々と絶え間なくお客さんが入店する。

 魔導学園の生徒さんに、騎士や兵士の方々、そして観光のドワーフの里の人々。

 開店とほぼ同時に満席になるランチタイムの店内は、すっかり見慣れた日々の光景だ。


「日替わりは、ウニ……のカルボナーラ?」

「お兄さん、ウニってなんだぁ?」

「ウニは海の高級食材で、濃厚な旨味がクリームとの相性抜群なんですよ!」


 お客さんの質問に、笑顔で答えるトルト。

 魔導学園教授職の傍らでずっとピコピコを手伝ってくれていて、すっかりベテランスタッフだ。

 今日の日替わりメニューは、今朝ポセさんがたくさん届けてくれたウニで作るカルボナーラ。

 ランチの日替わりでカルボナーラをやるのは結構大変なのだが、今は頼もしい助手――ティオもいる。


「皿洗いと卵割り――今日の依頼は、この二つだな!」

「そうそう、ここにくる『日替わり』って伝票の数だけ卵を割ってくれ。よろしくな、ティオ」

「まかせとけ!」


 最初は皿洗いだけ手伝ってもらうつもりだったが、ティオは店の色んな事に興味を持っていった。

 今では食材を量ったり、卵を割ったりと俺のちょっとした段取りを手伝ってもらっている。


「ったく、すっかり店員気取りだな」

「助かってるし良いじゃないか、ヒュー」

「そうだそうだ! 一代目も俺の仕事を認めてるんだぜ!」

「またその呼び方~」


 ティオの独特な呼び方をこそばゆく思いながら、彼の前に卵用の小さなボウルをたくさん並べていく。

 料理の準備を整えていると、注文伝票をたくさん持ったフェルミス君とトルトがキッチンへとやってきた。


「オーダー入ります!」

「おしゃべりしてないで、どんどん作って!」

「「「 はーい! 」」」


 キッチンメンバーは、伝票を確認して調理にとりかかる。

 フェルミス君とトルトは、ランチセットの前菜とスープを用意してすぐにホールへと戻っていく。

 ちょっとした会話をするのは、これっきり。

 慌ただしい昼の時間は、時計も見ぬ間に過ぎ去ってしまう。


「この店、雲丹なんて置いてるんだ」

「アンタ知ってるのか?」

「僕の里じゃ、子どもの頃から食べてるよ」


 最初の入店客の料理が作り終わるころ、カウンターから気になる会話が聞こえてくる。

 カウンター席を見ると、そこには以前お世話になったドワーフの男性――ドワワさんが座っていた。

 隣の席はお連れ様のようで、親しげに会話をしている。


「ドワワさんじゃないですか! いらっしゃってたんですね」

「どうも、店長さん。今日はダチにここの料理を食ってもらおうと思ってな」

「お友だちでしたか」


 こちらに軽く会釈をする、ドワワさんのダチさん。

 耳当てのついた飛行帽のような帽子を被っており、顔立ちはかなり整っているがやけに鼻の長い。

 ドワーフのドワワさんよりもはるかに背が高く、並んで座ってると大人と子どもぐらいの差がある。

 ドワワさん、イサナ王国で人間の友だちが出来たのだろうか?

 それとも――


「僕は日替わりの雲丹のやつをもらおうかな」

「それじゃウニのカルボを二つ頼む、店長さん」

「かしこまりました!」


 二人の注文を伝票に書き込み、持ち場へと戻る。

 そして目をキラキラさせて待ち構えていたティオの前に、小さなボウルを差し出す。


「よし、ティオ! 卵を二つたのむ」

「了解だ!!」


 ティオに卵割りをお願いして、俺はフライパンにオリーブオイルと少な目の刻みニンニクを入れる。

 フライパンを弱火にかけてニンニクの香りを出しながら、ボイラーで二人前のパスタを茹であげていく。

 ニンニクの良い香りがしてきたら、たっぷりの生クリームと味付けの昆布茶を入れて温める。

 ソースがフツフツと沸騰する直前ぐらいまで温まったら、火を止めて茹で上がったパスタを投入。

 全体を絡め合わせて中央にくぼみを作り、卵黄とパルメザンチーズ、そして――


「それにしても、本当に綺麗なウニだなぁ~」


 たっぷりと大さじ2杯分のウニを入れ、卵黄を崩しながら全体を混ぜ合わせる。

 とろみのついた黄金のソースが、パスタに絡まっていく。

 皿にパスタを高く盛り付け、頂上に追加のウニと黒胡椒をトッピングして完成だ。


「お待たせしました! 本日の日替わり、ウニのカルボナーラです!」

「へぇ~、オシャレじゃん」

「味もウンマいんだぞ~」


 カウンターの上から、二人に料理を提供する。

 物珍しいからか、ダチさんはウニのカルボナーラを色んな角度から見たり、香りをかいだりしてからテーブルに置いた。

 一通り観察してから、フォークに豪快にたっぷり巻き付けて口に運ぶ。


「――っん!? ウッマいな。雲丹にこんな食べ方があったのか」

「そうだろう? どうだ、酒も入れるか?」

「いやぁ……せっかくだけど、帰りもあるしなぁ」

「なんだ、ツレない」

「今度ゆっくり、泊りで来たらな」


 どうやらダチさんにも、満足してもらえたようでよかった。

 色々なことがあったけど、いたりあ食堂ピコピコは今日も様々なお客さんが訪れている。

ご愛読いただき、ありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークや下の★★★★★での評価をお願いします。


ようやく3章がスタートできました。

しばらくは週1更新をしていこうとおもっているので、どうぞよろしくお願いします。


引き続き、本作をどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇書籍情報◇◆◇


いたりあ食堂ピコピコ ~レトロゲーに転移した俺は、平和に料理を作りたい~1
いたりあ食堂ピコピコ ~レトロゲーに転移した俺は、平和に料理を作りたい~1 発売中!!
【第2回SQEXノベル大賞】金賞受賞作品
公式サイト紹介ページ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。