3
投稿順間違えて、あげなおしました!
「これではユートも時間がかかりそうだな。待っている間、裏山を散歩でもするか? 上手い湧き水があるぞ」
マリアが庭の柵についた小さな門を指差した。
「懐かしいわ。昔、家族でよく行ったわね」
「えぇ、お兄ちゃん歩くのしんどいよ」
ぶうぶう文句を言うディランに、宏一も心の中で大きく頷く。
しかしマリアもリヴァイア夫人も聞いていない。
「大した距離じゃないでしょう? まったくこの子ったら」
「そうやってサボってばかりいると、ますます動けなくなりますよ。ただでさえ兄上は体力がないんですから。でも、どうしても歩けなくなったら、おぶってあげます」
(そんな無茶な……)
ディランはマリアとそう体格も変わらない。
結局、母娘がさっさと歩き出してしまい、二人も後を追うしかなかった。
踵の高い靴を履いているというのに、二人は軽やかに山道を進んでいく。
一方、体力のない宏一とディランは、のそのそと後ろを歩いていた。
「そういえば、マリアの魔法適性って何だったんだ?」
前を歩くマリアへ尋ねると、ディランとリヴァイア夫人がそろってこちらを見た。
「あれ? 聞いちゃいけなかったか?」
「うーん、私とコーイチの間なら構わないが……そうだな。親しい相手でも支持政党の話はあまりしないだろう? そのくらい気をつけたほうがいい話題かな」
「なるほど。理解したよ」
「それはそれとして、私の適性は稲光だ」
「いなびかり?」
マリアがくるりと振り返り、後ろ向きに歩き始める。
「手を出してみろ」
言われるまま手を差し出すと、マリアが両手でそっと包んだ。
――バチッ!
「痛っ! 静電気か!」
「ピッカー!」
手を振って痛みをごまかす宏一をマリアがけらけらと笑いながら裕翔が好きだったアニメのキャラの声マネをした。
全然似てない。
地球にいた頃より、マリアは子供っぽい言動と笑顔が増えた気がする。少なくともこんな可愛い悪戯はしなかった。
やはり故郷の親元は、体にも精神にも合うのだろう。
「やったな」
追い掛けようとした、その時だった。
「マリア!」
ごつん。
マリアの頭へ、リヴァイア夫人の拳が見事に落ちた。
「まったく、いつまで子どもみたいな悪戯をしているの。ごめんなさいね、コーイチさん」
「い、いえ、お気遣いなく」
「いいえ、いけません。お友達を困らせるようなことをしては駄目です」
「そうだよ、マリア。コーイチさんは大事なお友達なんだから」
宏一を気遣うはずの言葉なのに、妙に胸へ突き刺さる。
「ごめんなさい、コーイチ」
しゅん、と肩を落とすマリアは、犬なら耳までぺたんと垂れていそうなくらい落ち込んでいて、可哀想で、そして可愛かった。




