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「鑑定かぁ」
宏一はがっくりと肩を落とした。
「おいおい、鑑定は悪い能力ではないぞ、コーイチ。極めればいざという時に食いっぱぐれがない。鑑定能力を専門に学ぶ学校まであるくらいなんだから」
肩を落とす宏一を、マリアが覗き込むように慰めてくれる。
だが、食いっぱぐれない資格なら、もう持っているのだ。
今日のマリアとリヴァイア夫人は、形は違うが白いワンピース姿だった。真っ白な大きな帽子もよく似合っている。
今さら母親とお揃いもな、とぼやきつつも、「これも親孝行だ」と着ることにしたらしい。
リヴァイア夫人はマリアによく似た、落ち着いた上品な美人だ。白いレースの日傘が実によく映える。
「俺はさ、格好よく火とか水とか、ばーんって手から出したかったんだ。ステータスオープンだけできたところで……」
「すてーたす? まだまだ知らん日本語があるな」
もしかしたら和製英語かもしれないが、わからないので黙る。
「これからの努力次第では火も水も出せるようになるさ。まずは適性のある鑑定を伸ばすことだ。そうすれば、自ずとほかの能力も伸びる。魔法は努力で変わるぞ」
「……やるか」
そうだ。何を落ち込むことがある。
医学部へ入るため、一日中机に向かっていた日々がある。自分は努力できる人間だと知っている。
(……でも、あの頃は若かったからなぁ)
集中力も体力も、気力も、めちゃくちゃ落ちているのだ。
「私もユートもしっかり付き合ってやるから安心しろ。時間はかかるかもしれないが、そのうち手から火くらい出る」
マリアがにっこり笑った。
「頑張るよ」
「それにしても、ユート様は流石勇者。大人気ですね」
「そうね。娘が育てたのだと思うと、なんだか私まで孫のように思えてしまって。おこがましいとは分かっているけれど、誇らしいわ」
近くにいたディランとリヴァイア夫人が、庭の中央を見つめていた。
裕翔は子どもたちや保護者に囲まれ、握手や写真撮影に引っ張りだこである。
「前も思ったが、この世界にカメラってあったんだな」
マリアと宏一が王宮に受勲し、新聞社に写真を撮られたときも思ったが、忙しくてすっかり忘れていた。
「ユート様がそちらの世界から持ち込まれたものを、人体科学者レストレー様が市販化されましてね。今では爆発的に広まりました」
ディランの言葉に、親たちが手にしているアナログのインスタントカメラを見て、宏一は納得した。
(裕翔がエモいとか言って、俺の家から持ってったやつがモデルか)
「なるほど、そういうことでしたか」
レストレー、人体以外もいけたんだ。




