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35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


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思い出話

「学生の時にさ、男3、女3で人ん家で丸いこたつで飲み会したの覚えてる?」

ふと思い出したことを高橋にぶつけてみた。


「あったっけ? そんなこと」

もうお互い煙草を吸い終わり、ただ話すために喫煙所に居座っている。


「あったんだよ!

 男女混合に座ってて、俺は隣の女の子が気になってた。みんなグタグタに飲んでて、自然と隣の子といい感じになっててさ、一組は車に行って朝まで帰って来なかったんだ。

 電気も暗くしてて、お前はどうだったか知らないけど、俺は気になってた横の子とキスしたりイチャイチャしてたんだけど……」

「俺マジであんま覚えてないわ」


「で俺ら4人は一旦寝てて、気付いたらその女の子とお前の会話が聞こえてきたんだよ。

 二人ともこたつに座ったまま離れた位置から話してた。

 女の子がお前に『最初は高橋君のことが一番気に入ってた』って言って。

お前は『それなのに成瀬に落とされたんだな』って笑いながら返してて。

 女の子は『ま、まあ……』みたいに気まずそうに返事してた。まだお前に脈アリな感じで」

「あー……そんなことあったような……」


「本当は最初から知ってたんだ。お前のことが気になってるって。言動や表情ですぐわかった。

 でも、渡したくなくて酒の流れもあってキスとかしたけど、結局お前が良かったんだろうな……

それでお前には敵わないんだって思い知らされた。

それからずっとそう思ってて、今も思ってる。」

「ハハ……そんなの10年以上前のことだろ。

今とは全然違うだろ」


「いや、最近も仕事で敵わないって思うことがいくつもあったしさ。

 お前にとっては印象薄くて忘れてるような出来事だったんだろうけど、俺にとっては苦い思い出でこれからも忘れることはないと思う」


「でも俺はお前見てて羨ましいって思ってたけど」

「え? 俺が?」

「結婚や子供とか俺にとっては未知の世界で幸せそうだったし」

「でも離婚したけどな」


「まあな。俺は前から成瀬のこと、どこか自分に似てるって感じてた。

 一番思ったのは、同じ営業所に配属された初めての会議の時。

 俺さ、発言してる人じゃなくそれを聞いてる人の方を見る癖があるんだけど、成瀬もそうだろ?

 初めてだったんだ、会議で人と目が合ったのが。

皆、発言者を見るから基本的に目が合わないのに、お前とはバチッと合って。それから会議の時に毎回そうだったから、考え方とか似てるんじゃないかって思うようになった」

「それは俺もビックリした。今まで会議で誰かが発言してる時に人と目が合ったことなかったから」

思い出して笑ってしまう。


「あとさ、印象的な出来事があって。

出社した時に成瀬が話している声が聞こえてさ。

話し方から取引先と電話してるんだろうって思ったんだよ。

 でも近付いてお前の姿が見えてわかった。掃除のおばちゃんが相手だって。

 人によっては掃除のおばちゃんに敬語を使わなかったり、挨拶しないこともあるのに、お前は足を止めて一つ一つ丁寧に話してたから、人間的にも信用出来る奴だとわかった」

「俺はそっちの話覚えてねえわ」


「ハハ……それはお前が意識せず自然にやってるからだろうな」

「俺はお前と外回り行った時のキャラクターショーの方が印象的だった」

「キャラクターショー?」


「デパートの広場みたいなところでキャラクターショーやってて、それを高橋が一生懸命見てたからそんな面白いのかなって、こんなの見る可愛いところあるんだなって思ってたけど」

「ああ! 目だろ!」

高橋が面白そうな声を上げた。


「そうそう。キャラクターショーの内容じゃなく、

そのキャラの中に入ってる人がどこから覗いてるかを真面目に考えてた」

「覚えてる覚えてる!

 あのキャラが目も口も見えそうな所がなくて、中の奴はどこから見てるのか不思議でずっと見てた。そしたら、頬らへんがメッシュになってたのがわかったんだよな」


「俺も同じでそういうの気になるから、お前がそれ見てるってわかって仲間見つけたみたいで嬉しかった」

「やっぱ俺ら何だかんだで似てるんだろな〜」



――――――



 その日は金曜日だったので仕事帰りに佐伯さんがうちに来る予定になっていた。

 社内恋愛なので周りにバレないようにしてはいる。

バレたらバレたでいいかなとは思うが、俺はいいが佐伯さんがあらぬ噂を立てられるのも嫌なのでそうすることにした。


 俺のマンションで待ち合わせ。

料理を作ってくれるとのことで、買い物をしてから来ると言われた。

 お陰で先に帰って片付けをする時間ができる。


 今日は俺の家に泊まって、そのまま次の日にデートをして日曜はそれぞれの時間を過ごす予定。




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