表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/52

後輩の育て方

「成瀬さん大変です!!」


 藤田が血相を変えバタバタとやって来た。

「今日納品しないといけないのに発注忘れてました!!」


「ああ……そりゃ大変だな……」

 藤田から納品予定の一覧が書かれた紙を受け取る。


「まあ、これなら備品庫に予備あるからそれ持ってって、予備分発注してまた備品庫に返しといて」

「え。あ、はい……」


 藤田が呆然としており動こうとしない。

俺の椅子の横に棒立ちになり、まるで先生に怒られている生徒のよう。


「どうした? 動揺して動けないなら俺がやっとくけど。

 やり方わからんなら後から時間作って教えるし……」


「な、成瀬さんて……」

藤田がやっと重い口を開き出す。


「ん? 何?」


「いつも冷静ですよね……俺みたいにあたふたしないし……」

「じゃあ、俺が今あたふたして、どうしよ!どうしよ! 

って叫んだらどうする?」

「たぶん、俺もっと慌てふためきます」

「だろ? それじゃ何の解決にもならんだろ。

だからそうしないだけ。

慌てる前に、頭ん中でどんな解決方法があるかぐるぐる考えて言ってるだけさ」


「そうなんですね……でも俺、成瀬さんが慌ててるとこみたら笑っちゃうかも。なんか面白いですもん」

「ハハ……そうならんように気をつけるわ。

あと、お前の後輩が同じようになった時に、お前がどう対応したらいいか示しているつもりだ。

気付いてるかどうかはわからんが」


「え……気付いてなかったです」

「お前の後輩にも同じようにしてやってくれよ。

その為にもやってるってことさ、頼むよ先輩。

……ってか、急いで準備しないと間に合わないんじゃないか?」

と、時計に目をやる。


「あ! 本当だ!! 急ぎます!!

ありがとうございました!!」

と、慌てて走って行った。


 まあ、俺もあんな時あったし他人事じゃないんだよな〜



――――――



 求人に応募があったので面接に同席させてもらうことにした。


 20代前半の女の子。目がくりくりしていて顔も小さく足も長い。今時の若者という感じ。

 最近の子はみんな同じ顔に見えるんだが俺だけか?



 面接が終わり、コーヒーを飲み始める高橋に声をかける。

「前から聞こうと思ってたんだけど、あの質問の答えって何なの?」

「え? どれ?」

「自信はありますか? ってやつ。

それ聞かれたらみんな一瞬止まってるなって思って」


 高橋は一口コーヒーを飲みふうっと息を吐く。

「あれは答えがない質問。何て返すか見てるだけ。

自信あるって言われたら、仕事内容わかんねえのに自信あるんだ〜って思うし、自信ないって言われたら頼りねえなあって思うし」

「何のためにそんな質問……」


「本当はさ、人間性見るためにもっと奇抜な質問したいんだよ。

『魔法が一つ使えるなら何をしたいですか?』みたいな。

 でもそれだとあからさまだろ、変な質問してどんな答えするか見たいんだなって相手にバレるだろ。

だから、ギリギリ聞かれるかもしれない範囲の質問してんだよ。

 まあ、ほとんど『自信ないけど頑張ります』って言ってくるけどな。

履歴書見れば学歴は大体わかるし、面接では質問に素っ頓狂な答えしないかどうか見てるだけ」


「そこまで考えてるとは知らなかったな……」

「だからお前も何か質問したいのあったら聞いていいよ。

 あーでも今はハラスメントうるさいから、恋人のこととかプライベートに踏み込むような質問はNGな」




――――――




「成瀬さんって後輩への教え方が秀逸ですよね〜。

今日は本当にありがとうございました!」

 退勤前に藤田が俺のデスクに来て話しかけてきた。


 パソコンを打ちながらそれに応えようとすると、高橋が通り過ぎながらぼそっとこぼす。

「こいつは後輩に対しての思いが強いからな……」


「所長! どういうことですか!?

何かそれ意味深な言い方……」

「一人で勝手に十字架背負ってんだよ……

背負わなくていいのに敢えて……」


「昔なんかあったんスか!?」

「成瀬、藤田には話していいんじゃないか?

同じことを繰り返さない為にも……」



「……ああ」



――――――



 二人が腰を下ろしたのを確認し話し始める。


 入社三年目の話になる。

高橋とは別の営業所で勤務していた。

 この会社は新卒に三年目以上の社員をマンツーマンで指導者としてあてている。

俺も初めての新人指導にあたることになった。

 三年目になると、ある程度仕事や周りが見えてくる時期でやりがいを感じ始めていた。


 そんな時に新卒として入社して来たのが佐々木だった。大人しいが生真面目で、教えたことは全てメモに取っていた。中肉中背、背丈は俺より少し低い位。髪もちゃんと整えている男性社員。

 俺より三つしか変わらないはずなのに、だいぶ若く幼く見えた。


 初めての新人指導は、自分の通常業務にプラスしてのため余裕がなかった。

 でも元々後輩に何か教えるのは好きだったし、俺自身は大変でも苦痛はなかった。先輩になった実感も改めて感じる事が出来て充実感すらあった。



 だがそんな時、事件が起こる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ