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35歳の俺が上司ざまぁするまでの物語  作者: VANRI


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24/52

直接対決、そしてざまあ

 神野社長に教えてもらった契約日、先に訪問し相手が来るのを待つ。俺の事は知り合いとだけ言ってもらうことにした。


 予定の訪問時間を少し過ぎた頃にやって来た。

一人は前所長、もう一人の女は名字が同じだから嫁だろう。

 一人より二人の方が威圧的だし契約を決めさせるにはその方がやりやすい部分もある。


 福場は俺の顔を見て、わかりやすく顔を引きつらせた。嫁にそれを伝えたそうだったが、そうはさせない。

「どうぞお座りください」とすぐに座らせる。


 嫁は40代前半位、ぽっちゃりした体型、肩までの緩めパーマ。

 説明をしなれているらしく、契約書を淡々と説明していく。

 福場の目が泳いでいるのが面白い。

嫁はそんなこと微塵も気付いていない。


 一通り説明が終わり、サインを求められる。


「少し質問いいですか?」

満面の笑みを嫁に投げかける。


「ええ、どうぞ」


 嫁の余裕ぶった態度にイラッとする。




 ……では。お仕置きの時間の始まりだ。


「七年契約はどうしてですか?」

「五年契約と比べますと、そちらの方が支払いを抑えることが出来るのでリーズナブルだと思いそちらを勧めております」


 思い?個人的な考えであると言っているようなもの。詰めが甘い。


「コピー機の耐用年数は国の基準でも五年と言われていますよね? 五年過ぎて故障した分はこちら側の手出しになるでしょう。

 それでも七年が妥当だとお思いですか?」


「そ、それは考え方にもよるかと……」

嫁がようやく俺が一般人と違うと気づき始めた様子。

落ち着きがなくなってきた。

 もうここからは畳み掛ける。


「そして契約時にプレゼントするとされている物ですが、オフィス用品や家電と書いてありますね?

これらはすでにここの事務所に揃っているもの。不要だと思いませんか?」


 計算した紙を二人に提示する。

「コピー機の価格を調べ妥当な金額を出したところ、プレゼントする分の金額を足した額が毎月の支払額になることがわかりました。

 これはもはやプレゼントではないですね」


 二人が怯えた表情で目を見合わせている。

立ち上がろうとするので静止する。

「まだ話は終わってませんよ」


 契約書の小さな文字を指さして二人に見せる。

「代理店を変更する場合、多額の支払が必要なことが、とても大切な事なのにこんなに小さな文字で書かれているのはどうしてでしょう?

 これではずっとあなた方としか契約出来ないことになりませんか?」


「で、出直してきます!」

嫁が立ち上がり外に出て行こうと背を向ける。

それに福場も後を追うように立ち上がる。


「待てよ福場」

苛ついた俺の言葉にピタッと足を止め振り返る。

そうするしかないと思ったのだろう。


 ゆっくり立ち上がり近づくと、怯えた顔を見下ろす形になった。


 耳元で囁く。

「お前が退職時に個人情報を盗んだことはわかってんだ。その証拠もある。こいつを警察に突き出したっていい。」


 少し離れて肩に力強く手を置く。

「昔のよしみでそれはしないでやろう。

ただし、これ以上俺たちの領域を荒らすなら手加減はせん」


 嫁は知り合いなのかと、俺たち二人を目を見開いて交互に見ている。


 また満面の作り笑顔で嫁に話しかける。

「福場所長とは以前一緒に働いていてとても世話になったんです」

 嫁はそれを聞いても信じられないといった顔をしている。


「あ、そうそう。福場さん。

事務の女の子がまたカサブランカに連れてって欲しいって言ってましたよ〜!

 飲み屋の名前かなー?俺は聞いたことないんでわかんないんですけどー。

 連絡してあげてくださいね〜」


 外に出た直後二人の大喧嘩、いや嫁の怒鳴り声が聞こえてきた。


 そうだろう、カサブランカはこの辺で有名なラブホだ。それに気付かない奴はいない。


 そしてこれは全部嘘。個人情報漏洩の証拠もないし、事務の女の子だって福場の事を相手にしている奴なんて誰一人いない。


 まあ、これで懲りて少なくともうちの顧客には手を出さないだろう。



「成瀬くん……」


 あ! しまった! 社長の存在忘れてあいつら潰しに集中してた!


「すみません、騒がしくしてしまって……」


 申し訳なさそうに謝るが、

社長の顔は輝いており、興奮気味に話し出した。

「君もあんな怖い顔するんだね! 

ありがとう! 守ってくれて! 

見てて凄くスッキリしたよ!!

こんなにワクワクしたのは久しぶりだ!!」


「ハハ……お役に立てて光栄です。

つい力が入ってしまいました」

「頼もしいと思ったよ、これからもよろしくな」



 とりあえず悪徳業者から社長を守ることが出来て良かった。

 でもこうやって相談されたからわかったのであって、今まで同じ様な目に遭った人たちがいるのではないかと思った。


 そう考えると、全ての人を救うのは難しいことなんだと思い知らされる。

 それと同時に己の微力さを思い知る。




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