表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/80

75 目覚め


「聖女判定は、どうなりました?」


 私は、救護室で目が覚めた。聖女判定の途中で、また泉に落とされて、気を失ったらしい。


「落ち着いてください、説明しますので」


 涙を拭いたハンカチを、自分でしまおうとしたが、マーキュリーさんから、侍女の仕事だと取り上げられてしまった。



 侍女マーキュリーさんの説明は……


 聖女判定で、私が聖女だと判定された。

 しかも、女神の光を見て、誰もが、私は女神であると信じて疑わなかった。


 私を水の中から救い出したのは、また王弟殿下であった。私を抱いてくれたご主人様の温かい手……あれは王弟殿下の温もりだったのだろうか。



 納得していないのは、第一王子、第二王子、そしてイライザであった。

 この3名は軟禁されたという。


「この三名の処罰をどうするか、国王陛下と王弟殿下で検討しているところです」


「私を、泉に突き落とした罪ですか?」


「それも大きいのですが……王子二人は、令嬢へのセクハラ、違法な金銭の授受、機密情報の漏洩など、多くの罪が明らかになっています」


 たぶん、国王として、国民に姿勢を見せるため二人の王子を厳罰に処したいが、二人を推している派閥が反対するだろうし、まして二人は国王の息子である。厳罰にすることは出来ないかもしれない。



「お知らせすることがもう一つあります。聖女判定は終えましたが、さらに重大な話があるそうで、フランソワーズ様が目覚めたら、謁見の間に、王族と主要な貴族が集まることになっております」


 聖女判定よりも重大な話……たぶん、宝石が参加者から読み取ったデータのことだ。聖女ソフィアの表情の変化から、何か、王国を揺るがす結果が出たのだろう。



「フランソワーズ様も参加する必要があるそうですが、体調はいかがですか?」


「大丈夫です。私が気を失ってから、どのくらい経ったのですか?」


「ここに運ばれてから5分程度です」


 意外に早い回復だった。


「制服が乾いている……クリーン魔法をかけてくれたのですね、ありがとうございます」


 私は制服姿のままベッドに横になっていた。パジャマに着替える前だったようだ。


「直ぐに、謁見の間に向かいます」



「急ぐことはない」


 カーテン越しに王弟殿下の声がした。サクラの可愛い声も良いが、王弟殿下の声は渋く、懐かしくて、暖かくて、心地よい。


「クロガネ様、会議のほうは終わったのですか?」


 マーキュリーさんは驚いている。予想以上に早かったようだ。


「終わった……」


 王弟殿下の声が沈んでいる。処罰の内容はどうなったのだろう。



「カーテンを開けても良いか?」


「服を着ているのであれば」


 マーキュリーさんが、すかさず答えた。


「ちゃんと履いているって」


 カーテンを開けた王弟殿下は、王族の儀式に使う正装に着替えていた。そうか、王弟殿下も濡れたんだ。



「王弟殿下、私を救いあげていただき、ありがとうございました」


「起きなくていいから」


 上半身を起こそうとした私を、彼は止めてくれた。


「では、上半身だけで」


 ベッドの上で、上半身を起こした。手足に力が入るし、痛い所もない。



「昨日の、俺の呪いを解いた時、この本が召喚された。聖女ソフィアの力ではない、何か別の想いが働いたようだ」


 王弟殿下が、一冊の本を見せてくれた。



「この本は、なぜか硬く閉じられていて開くことが出来ない。表紙も異世界の文字のようで読めない。俺の手に負えない品物だ」


「フランソワーズなら、読めるのではないか?」


 私は、召喚された本を手に取って……



「この本の題名は、恋愛小説『聖女の七日間』……ご主人様が書いた小説です」


 涙が落ちた。いつか、私の前世の話を、王弟殿下は聞いてくれるだろうか。




お読みいただきありがとうございました。

よろしければ、下にある☆☆☆☆☆から、作品を評価して頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ