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72 筆頭侯爵令嬢の判定


「そんなことより、わたくしの聖女判定はまだですか!」


 筆頭侯爵令嬢のイライザが、順番を待ちきれなくて、声を荒げ、聖女の泉の前へと出てきた。


 そんなことって、勇者の血筋は、王国にとって大事な話でしょ!



「わたくしは、この王国の聖女であり、王太子妃となる逸材です。この紫色の瞳が、なによりの証拠です」


 イライザが、自信たっぷりと、赤い宝石に手をかざした。


 赤い光が、黒い雲のように曇り、小さなイナズマが彼女の手に落ちた。


「痛い!」


 イライザが、手を押さえている。


「聖女のイナズマが、けがれ多い貴女を襲いました。もちろん、この令嬢は聖女ではありません」


 イライザが、うつむいた。人生で初めて挫折したような、そんな姿に見える。

 まさか、泣いている?



「これで最後でしょうか?」


 聖女のイナズマが怖くて、誰も手を挙げない。

 イライザが聖女でない事が判明すれば、この聖女判定の儀式の目的は果たせた。



「フランソワーズ、貴女も聖女判定を受けなさい」


 え? 予定外である。私の役目は、宝石による魔法の強化と魔力の補給であり、聖女判定には参加しない計画だったのに。


 実は、赤い宝石による聖女判定なんて、ウソである。令嬢の魔力と素質そして血筋……前世でいうステータスを見ているだけなのだ。


 しかし、女王コノハ様の指示である。断ることはできない。



 聖女ソフィアは、笑いをこらえている。この展開を面白がっているのだ。


 仕方ないので、前に出て、手をかざす。


 赤い光に変化はない。聖女ではないと言う事か……淡く期待していた私は、うつむいた。



「「うぉ!」」


 参加者が、何かに驚きの声を上げた。


 何事かと顔を上げると、泉の女神像が輝き、その光が、天まで駆け昇っているのが見えた。



「なんなの、この祝福あふれる力は!」


 聖女ソフィアまでもが驚いている。これは彼女の仕業じゃないの?


 まさか私?




お読みいただきありがとうございました。

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