70<聖女の視点>
クロガネがパンツを履くまでの間、私とフランソワーズ様は、廊下で待機することになった。
私は、友好国の聖女ソフィアと呼ばれているが、本当は賢者ソフィアだ。魔法と知識に長けており、百年前の勇者パーティーのことを研究している。
(さっき、3つの宝石が並列化していた。クロガネのあれは本物だ)
クロガネが手に持っていた黒い宝石、フランソワーズ様の紫色……陽の光の廊下では青緑の宝石、そして、私の赤い宝石は、情報を共有化するため、小さく振動していた。
フランソワーズ様から聞いた「並列化」という現象に違いない。
(古い文献を調べたら、宝石の色には、意味があるらしいことが分かった)
私の持つ赤い宝石は、魔法攻撃と知識を担当し、勇者パーティーの賢者が持っていたようだ。
黒い宝石は、物理攻撃と防御を担当し、勇者パーティーの勇者が持っていたようだ。ということは、クロガネは勇者に選ばれたのか。
そして、青緑の宝石は、魔力の増幅と貯蔵を、担当するとの記述があったが、勇者パーティーで所持していたとの記述はない。
(もしかしたら、フランソワーズ様の宝石は、勇者パーティーのさらに上の存在かもしれない)
勇者パーティーの僧侶は、治癒を担当する宝石を持っていたのだが、色の記述は、虫食いで読めなかった。
もしかしたら、紫色が治癒なのかもしれない。フランソワーズ様には、治癒の素質も、あるようだ。
フランソワーズ様は、私やクロガネよりも十歳くらい若いようだ。二十年程前の、この王国の流行病の後に生まれたことになる。
さらに、血筋は、この王国のものではない。
私の国の血筋でもない。
これは勘だが、フランソワーズ様は、私よりも上位の存在だ。勇者パーティーを従える存在……
(分からない、フランソワーズ様は何者なんだ?)
◇
「聖女様、これから聖女判定するのですよね?」
私に話しかけてきたフランソワーズ様は、何も聞かされていないようだ。
この王国は、彼女の秘められた力に、誰も気が付いていないのか?
「ん? 予定どおりだと聞いている」
彼女には、コノハ様から頼まれている『聖女判定の本当の目的』を、話しておいた方が良いようだ。
「そうですか、何事もなければよいのですが。最近、私の周りはトラブルが多くて、心配なのです」
もしかしたら、彼女は、トラブルメーカーと呼ばれているのか?
「まぁ、聖女判定では、貴族の血筋について、問題が勃発するかもね」
軽く答えたが、そういえば、私も、トラブルメーカーと呼ばれていたんだ……
トラブルメーカーが二人そろうのか。これは、面白くなってきたぞ。
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