表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/80

67 冒険者


「学園は休みなのに、私は土曜日であっても、忙しいのか……一般寮なら、いつまでも寝ていられたのだろうか」


 不健全な考えを捨てて、朝早く、学園の制服に着替えて、王宮の聖女の泉の前で、王国の平和を願って、女神像に祈りをささげる。


 私の私服は、エメラルティー侯爵の屋敷が閉じられたままなので、王宮に届いていない。最近は、この制服姿にすっかり慣れた。慣れって恐ろしい……



 気持ちの良い青空だ。こんな日は、女神の祝福を感じることができる。いつも私を見守っているような、優しい視線を感じる。



 今日は、友好国から聖女が来る。泉の前では、イスを並べるなど、すでに迎える準備が整っている。


「もしかして、フランソワーズ様ですか?」


 後ろから、冒険者姿の旅人から声をかけられた。


 革の軽鎧、砂ホコリで汚れた茶色の服、背の丈もある長いまっすぐな杖を持ち、顔は茶色のシュマグで隠されている。



「……どちら様ですか?」


 王宮の正門から、ラフな姿の冒険者が入り込めるはずがない。不審者かもしれないと、私は警戒した。


「失礼しました。同じ力を持つ令嬢と初めて出会ったもので、興奮してしまいました」


 女性の声だ。顔に巻いていたスカーフの様な布、シュマグを外した。


 白い髪に、白い肌、赤い瞳の女性だった。



「始めまして、女王コノハ様から招かれて、友好国から来た聖女ソフィアです」


 見た目は冒険者だ。聖女ってイメージと、かけ離れた姿だ。



「貴女が、聖女様! 瞳が紫色じゃないですよね?」


 友好国の聖女と名乗った彼女は、澄んだルビーのような赤い瞳だった。


「あら、クロガネから聞いてないの?」


 そういえば、サクラは、紫ではないと言っていた。忘れていた。


 聖女と名乗る彼女が、王弟殿下を名前で呼んだということは、二人は親しいのか? まさか、ウワサの……



「まぁいいわ」


 あれ? 急に口調がラフになった。



「この宝石、見たことある?」


 胸から、赤色の四角い宝石を取り出して、見せてきた。



 この宝石……たぶん、本物の聖女だ。少なくとも、私の敵ではない。


「色は違いますが、同じ形の宝石を持っています」


 胸から、青緑の四角い宝石を取り出して、見せた。



「宝石同士が、共鳴しているね」


 聖女ソフィアの言うとおり、宝石が少し振動しているようだ。


「ですね……情報を並列化していますね」


「並列化とは、なんです?」


 あ、並列化は、この世界では使わない言葉なんだ。


「自分の記憶を相手に渡して、相手の記憶をもらうことです。それによって、宝石は成長するようです」


 前世の知識で答える。



「よく知ってるわね」


 彼女になら、話しても大丈夫だろう。


「私……前世の記憶があるんです」


「そうなんだ」


 やはり、彼女は、前世の話をしても、驚かない。

 前世の知識に、何度も触れてきたのだろう。でも、「そうなんだ」の一言で、済ますか、普通?




お読みいただきありがとうございました。

よろしければ、下にある☆☆☆☆☆から、作品を評価して頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ