66 宝石との会話
(懐かしい感じがする)
王宮に頂いた自室ベッドで、休もうとしたとき、男子とも女性とも分からない声が、頭の中に聞こえてきた。
上半身を起こし、令嬢用のパジャマの間から、胸に隠してある四角い宝石を取り出した。
声の主は、夜になって紫に色が変わったこの宝石だ。
(私と同類の宝石がひとつ……王都に来た)
何か別の宝石の気配を感じ取っているようだ。
こんな不思議な四角い宝石が、この世界に、まだあるのか?
(さらに、もう一つ……別空間から、こちらを見ている)
もう一つって、合わせて2個の不思議な宝石……どういうこと?
(この王宮の中だ。別空間から出てくるつもりだ)
出てくるって、なに?
(面白い。勇者パーティーの宝石が、この王宮に来るというのか)
来る? なんのことか分からない……四角い宝石をたたいてみた。
(こら、たたくな)
あ、反応した。
宝石の声を聞くため、集中すると、自分の体に流れる魔力を感じた。
私には、勇者パーティーだった僧侶の血筋が流れているらしい。
(さらに女神の祝福がある)
宝石の声だ。
(話せるなら、ちゃんと話してよ)
さらに、四角い宝石をたたいた。
(たたくな、優しく扱え、教えるから!)
なるほど、この宝石は、こうやって扱うのか。
(別空間の扉が、少し開いたままだ。あの異世界聖女の召喚というイベントが、原因だ)
別空間は、異世界とは違うのかな?
(別空間は、この世界の中にある。異世界とは違う)
私には理解できない。
(前世の知識に、アイテムボックスという無限に収納できる袋があっただろ)
そういえば、ご主人様の小説に出てきた……この宝石は、私の前世の知識も分かるの?
この宝石は、王都のことや、別空間のことも見えるのかな?
(勘だ)
え? 勘なの……いい加減だな。
(勘とは、経験や知識から導き出す推測で、未知の力だ)
……やはり、いい加減だ。
(いい加減ではない)
あ、四角い宝石に、目らしきものが二つ……目があったのか!
(コミュニケーションを取りやすいように、顔というものを映し出した)
見られるのは、なんか嫌だな……近くにあったハンカチで宝石を包んだ。
(なにをする、人間という生物は、理解に苦しむ)
人間としてではなく、女性として、顔のある宝石を、胸の中に入れるのが嫌なの。
(明日、封印された魔王が復活する……私の勘だ)
封印された魔王? いい加減なことを言う宝石だ。
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