53 相談
「フランソワーズ、僕のハーレムに加えてやろう」
イライザが目の色を変えて教室から立ち去ったと思ったら、今度は、第二王子が壁ドンしてきた。顔が近くて、きもい。
壁ドンは、いい男なら愛の告白になるが、きもい男だと、セクシャルハラスメントだ。
「スパン!」
サクラが、第二王子をハリセンで張り倒してくれた。
「フランからは、目を離せないな」
勇者って、こんな感じなのかな。サクラが勇者なら、私は聖女で、側に付き従うのに……でも、ビルダーパンツが頭をよぎる。
冷静に思い浮かべて分析すると、あれは令嬢の履くパンツではない。どうなっているんだ?
◇
「フランソワーズ様、相談があるのですが、よろしいですか?」
下校の時刻、中等部のルナちゃんが私を訪ねてきた。彼女を、皆が帰宅した教室の中に入れる。
「実は、エリアル様と、国王の養女になることについて、相談させて頂きたいのです」
ルナちゃんは、元王女コノハ様から、国王の養女になれと命じられたのだ。王族の命令は断れないので、エリアルからの求婚をどうするか、相談したいのだろう。
「弟は、屋敷にいると思うけど、私でさえも屋敷には入れない。どうしたものか」
「フラン、その令嬢をオレにも紹介してくれないか」
私を探しに来たサクラが、話しかけてきた。ルナちゃんの出生のことは、先日話したので、顔合わせだ。
「私の妹分のルナちゃんで、私の弟、エリアルが求婚した令嬢です」
「ルナです。家名はありませんが、よろしくお願いします」
ルナちゃんは、美しいカーテシーで挨拶した。
「そうか、この娘がルナ……いや、エリアルが求婚した相手って、聞いてないぞ!」
サクラが驚く。そりゃそうだ、ルナちゃんが本物の王女だって知っているから。
「エメラルティー侯爵は、求婚のことを知っているのか?」
「エリアルが家名を持たない令嬢に求婚したことは知っています」
父が、平民との婚約に反対していることは言わない。ルナちゃんの気持ちを傷つけるから。
ルナちゃんの悩みをサクラに話す。求婚されたのに、急に王女になってしまう令嬢を、エリアルはどう思うか……求婚を取り消すかもしれない。
「サクラの情報網で、エメラルティー侯爵家の屋敷の状況を探ってもらえない?」
彼女は、留学生なのに、王弟殿下を後ろ盾にしているようで、この王国の内情に不思議と詳しい。なにかしらの、情報網を持っているようなのだ。
「私からもお願いします」
「難しいが、やってみよう」
サクラが引き受けた。でも、難しい顔で腕組みを解かない。
「お嬢さん、僕のハーレムに加えてやろう」
突然、どこからか第一王子が湧いてきて、ルナちゃんに壁ドンした。
ルナちゃんの顔が、気持ち悪さと、怒りでゆがむ。
「第一王子、やめて下さい。この子は婚約者がいます」
私はなんとかしようと、第一王子を引きはがす。
「婚約者などいてもかまわない。僕は王子だ」
それをパワーハラスメントというのです。
第一王子は、私を振りほどいた。
「スパン!」
え? ルナちゃんが、第一王子を「ハリセン」で張り倒した。
「快感……」
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