54 夜会
「フラン、れいの宝石の鑑定結果が出た」
教室で、サクラが声を潜めて伝えてきた。
「明日の朝、国王から話があるので、王宮に来てくれ」
さて、私は無事に侯爵令嬢に返り咲くことができるのだろうか?
「今夜のパーティーに、コノハ様からの招待がありました。サクラには?」
昨夜の夜会は、王子たちがケンカを始めて、途中で解散になったためだろうか。
「オレも、招待されている」
元女王が、午前中に学園へお忍びで訪れたのは、王子たちの素行を見るだけではなかったのだろう。
私たちの素行も見ていたのだと思う。
◇
「本日は、国王の養子となったルナのお披露目のパーティーである」
会場である王宮のダンスホールで、元女王が参加者へ、夜会の主旨を明かした。
「「おぉ!」」
会場が沸いた。祝福の拍手が鳴りやまない。
今朝、元女王が養子を決めたばかりなのに、手回しが異常に早い……
会場には玉座が設けられ、国王と、純白の天使のようなドレスに包まれたルナちゃんが座っている。
その前には、貴族たちが、挨拶するため列を作って並んでいる。
「国王陛下は、うれしそうですね」
もうニコニコ顔だ。超ご機嫌だと、ひと目でわかる。
「そうだな……貴族院のバランスが崩れるのに、なぜだろう」
サクラは浮かない顔だ。
私たち二人は、昨夜と同様に、上品な深い緑色のドレスを着た双子コーデで参加している。
「だね……ルナちゃんが養子になることを、快く思っていない貴族も多いね」
周囲を見回すと「なぜ、父親も分からぬ平民を国王の養子にするのか」という顔の貴族も多いのは事実だ。
「でも……血筋を考えれば、これは正しいことでしょ?」
「そうだな……あの二人の王子よりも、しっかりとした令嬢だ」
サクラが視線を、婚活エリア、いや未成年エリアに移した。
第一王子が見える。また、周りに令嬢をはべらせていた。令嬢たちの思惑も知らずに、当人だけが得意気に振る舞っている……失望すべき王子だ。
第二王子もいる。こちらも、また、周りに令嬢をはべらせていた。おこぼれにあずかろうとする令嬢たちを集め、中身のない話を得意気に語っている……軽蔑すべき王子だ。
別の人だかりには、筆頭侯爵令嬢のイライザがいる。こまめにあいさつ回り……いや、男を物色している。
「昨夜と同じだね……」
なんだか、嫌な予感がする。
貴方たちの妹のお披露目パーティーなのだから、もう少し、王子としての威厳……は、無理だとしても、おとなしく出来ないのか!
「反省の色は無いようだな……」
サクラも、何かを感じ取ったようだ。
そういう私たちも、令息に囲まれているので、王子たちを悪く言えたものではない。
双子コーデの威力は、すごい。そして、令息たちの誘いを、上手く断るサクラも、すごい。
あ~、王子たちのケンカが始まった。嫌な予感が当たってしまった。
第二王子が水魔法で第一王子に水をかけ、第一王子が水魔法で反撃し始めた。
王子たちの水の掛け合いが、だんだんと大きくなってきた。
「フラン、会場の外に出ようか」
サクラと一緒に会場の外に出る。
周りの令息や令嬢も、私たちと一緒に外へ出た。ちゃんと、危機管理が出来ている。
「このクソ王子どもが!」
私たちが会場の外に出たのを見計らったように、元女王の怒りのイカズチ魔法が、会場に落ちた。
明日は早いので、一般寮に戻って休むことにしよっと。
◇◇◇
「お父様!」
翌日、金曜日の朝一に、王宮の廊下で、屋敷で籠城しているはずの父、エメラルティー侯爵と目が合った。
清掃員の制服を着て、廊下の窓を拭いている。別人かと思ったが、慌てて背を向けたこと、クリ毛でグレーの瞳、特徴的なカイゼルヒゲから、確信した。
「何をしているのですか!」
「爵位を捨てて、平民になったから、バイトをしているんだ」
「ウソなのは、バレバレです!」
真面目一筋の頑固オヤジが、なれないウソをついて、眉毛がひくひくと震えており、ウソなのが直ぐにバレる。
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