表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/80

51 秘密の宝石


「秘密ですが、これが私のお守りです」


 イヤリングを王族専用個室の机の上に置き、胸から、不思議な四角い宝石を取り出して、サクラに見せた。


 ん? サクラは後ろを向いていた。


 「これを見て……この四角い石も、陽の光では青緑、月の光では紫に変色します。そして、ローソク魔法の下でも変色します」


「まさか……」


 サクラが目を見開き、四角い宝石をのぞき込む。ドミノというゲームのブロックみたいな四角い宝石だ。



「さらに、面白い性質を持っているのですよ」


「私の魔力を吸い続けており、石の中に膨大な魔力がたまっているのです」


 これが、私が魔力ゼロと判定される原因だ。



「でも、おかげで、魔法を使う時に、瞬時に膨大な魔力を引き出せて、高位魔法でも詠唱無しで発動出来ます」


 例の聖女降臨の時に使った膨大な魔力だ。


「膨大な魔力で、王都全体にクリーン魔法を発動させたのに、この四角い石には、まだ膨大な魔力が残っています」


 この宝石の力には、底というものが見えない。



 個室の遮光カーテンを開けて、日光を取り込む。


 四角い宝石の色が、紫から青緑に変わった。

 同時に、私の瞳も、紫から青緑に変わった。



「触ってもいいか?」


「大丈夫よ」


 サクラが、四角い宝石に触った、その瞬間……


「ウッ!」


 一瞬だが、サクラが、王弟殿下の姿に変わった……ような気がした。



「魔力が吸われる。恐ろしい宝石だな」


 サクラに異常はない。私の見間違いだったようだ。



「私は何ともないけど……イヤリングなら魔力を吸わないので、手に取って見る?」


 机の上に置いたイヤリングを、サクラに渡した。彼女は、恐る恐るつまんだ。


「大丈夫なようだな……」


 サクラの真顔も、可愛い。



「鑑定できるの?」


「うん、偽物じゃないことを見分ける程度だけど」


 サクラは、真剣に宝石をのぞき込んでいる。



「この宝石は、希少なアレキサンドライトかも……オレも文献で読んだ知識だが」


 アレキサンドライト? 初めて聞く名だ。



「クズ石とやらは、そのイヤリング以外に、まだたくさんあるのか?」


 小さなクズ石のイヤリングなんて、領地に帰れば、捨てるほどある。私は、うなずいた。



「このイヤリングをオレに貸してくれないか」


 サクラは、部屋を遮光カーテンで暗くして、ローソク魔法の灯りに戻した。


 薄暗い部屋の中、イヤリングの青緑色の宝石は、紫色に変わった。私の瞳も、紫色に変わっているのだろう。サクラが私の瞳を凝視している。



「間違いないだろう、これはアレキサンドライトという貴重な宝石だ」


 聞いたことのない名前だ。エメラルドではないの?


「クズ石などではなく、外貨を稼げる貴重な宝石……これが出回れば、宝石の相場が暴落する」


 まさか、エメラルドよりも高価な宝石だったの?


「アレキサンドライトは、王家で管理することになるだろう」


 王家で管理って……侯爵家の領地はどうなるの?


「まずは、国王へ献上してはどうだ。褒美として、侯爵の爵位を取り戻そう」


 もしかして、爵位をお金で買うってこと? 頭が混乱して、冷静になれない。



「侯爵令嬢であれば、王族と結婚できるのだろう?」


 私はハッとした。あの腐れ王子たちとは結婚したくないが、幼い頃から想っていた王族は、いる……もしも、願いがかなうなら……




お読みいただきありがとうございました。

よろしければ、下にある☆☆☆☆☆から、作品を評価して頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ