46 学園の再開
「チュンチュン」
小鳥のさえずりが聞こえる。
粗末なカーテンの隙間から朝日が漏れている。窓の外は、もう陽が昇っているようだ。
「王弟殿下のベッドは、寝心地が良かったな……」
ここは、王立学園の一般寮だ。
今日は木曜日……学園は、流行り病で休みになる予定だったが、聖女が降臨し、終息に向かったので、急きょ、再開した。
ちょっと残念だ……
いや、生徒の本分は学業だ。私は、完璧な令嬢になるため……いや、なんだか、今朝は疲れがとれていないのか、だるい。
昨日は、流行り病での高熱を緩和するため、聖なる水を配り、原因を排除するため、王都全体をクリーン魔法で包んだ。
コノハ様との謁見で褒められて、感謝の意を表しに来た貴族へ対応した。
いやいや、忘れていたが、大問題なのは、サクラのビルダーパンツだ!
「これから、どうしようか……」
親友と、これまでどおりの関係を続けられるのは、難しいかも。
「あ!」
しまった、メイドさんはいないんだ。急いで制服に着替える。
◇
「ウググ」
また、人生初の遅刻になるピンチ!
サンドウィッチを口に押し込み、学園の朝を、教室に向かって走る。
廊下を走るなんて、大人の淑女とは言えないが、二度目になると、慣れた。
というか、足音を立てないで走れるし、なぜか、動きも俊敏になった。
「セーフ」
余裕で、教室に滑り込んだ。
教室の中は、流行り病の影響だろうか、いつもより生徒の数が少ないようだ。
「「おはよう」」
疎遠だったお友達が、私に声をかけてくれた。驚いたが、うれしい。
「おはよう」
私も笑顔で答える。
夜会で彼女たちと話し合えたこと、私へ感謝に訪れた貴族に彼女たちの家も含まれていたことから、一夜にして状況が好転した。
「フランソワーズを、僕のハーレムに加えることにした」
第一王子が、お友達を押しのけ、私に壁ドンしてきた。
「王弟殿下の侍女たちも、ハーレムに加える。どうだ、素晴らしいだろ」
顔が近い、きもい、離れて欲しい。
というか、昨日も第二王子が、同じことを言っていた。
「スパン!」
第一王子が吹っ飛んだ。
「ガキが!」
サクラだ。ハリセンを手にしている。
彼女の行動力に憧れるが、今も、ビルダーパンツが目に焼き付いていて……接し方がわからず、困っている。
「紫色の瞳を持つ令嬢、貴女を、私の婚約者にする」
吹っ飛んだ第一王子が、近くにいた令嬢を婚約者だと宣言した。
紫色の瞳を持つ令嬢なんていたかな?
「そうか、貴女は留学生なのか。僕はこの王国の第一王子、タロスだ」
あ、令嬢が隣国のメガネをかけている。まさか……
「わかりました。私は婚約を受け入れます。しかし、物事には順番がありますので、私の国のシキタリに従って頂けますか」
「もちろんだとも。そうか、まずは結納金が必要なのか。大丈夫、直ぐに支払おう」
「スパン!」
第一王子が吹っ飛んだ。
「クソが!」
元王女だ。ハリセンを手にしている。なぜ、元王女が学園などに来ている?
「王子たちからのセクハラがあんまりだと苦情がきているので、お忍びで素行を見に来たら、なんだ、このふしだらなありさまは!」
「タロス! その令嬢は、隣国の詐欺師だ。それくらい見抜けないのか」
やはり、詐欺師なのか。隣国のメガネと、結納金の話から、だろうとは思ったが、まさか、先日と同じ手口で近づいてくるとは……
私は、まだまだ修行が足りない。というか、第一王子が選ぶ婚約者は、愛のない詐欺師ばかりだ。
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