41 聖女降臨
「お目覚めですか、フランソワーズ様」
目を覚ますと、ベッドの上だった。周りは、天蓋のキャノピー……
見覚えがある。王弟殿下の寝室だ。
側に、紫の瞳を持つ侍女が立っていた。私を看病してくれていたようだ。
「ありがとうございます。私は、また気を失ったのですね」
私は、膨大な魔力を使う事に慣れていないので、気を失った。
ベッドの上で、上半身を起こした。少し寝たようで、元気が戻っていた。
「実は、私たち侍女たちも、経験のない膨大な魔力に包まれ、一時気を失ってしまいました」
侍女が笑って離してくれた。いや、危なかったじゃん、笑う所ではないと思うけど。
「騎士団長が気付いて、運んでくれたんですよ」
団長からは、マジックでの混乱の時に助けてもらったばかりだ。
「また、騎士団長に助けられたのですね。ありがたいのですが、なぜ、王宮の護衛兵ではなく、騎士団長が近くにいてくれたのでしょう?」
王宮内での護衛は、ほとんどが王宮護衛兵の役目だ。騎士団は、要人警護をすることはあるが、主な仕事は軍事行動である。
「騎士団には集まるようにお願いしていなかったのに……あとでお礼を言いますね」
「気にしなくても大丈夫ですよ。騎士団長が勝手にやったことですから」
いや、お礼は人間として、基本だ。
「そうは言っても……」
「聞いていませんか? 騎士団長は、マーキュリーさんの夫ですから」
え! 騎士団長とマーキュリーさんは、夫婦なの?
それで、騎士団が動いていたんだ。それって公私混同になるよね。
「内緒ですけど、私たち侍女と騎士団は、フランソワーズ様を護るようにと、王弟殿下からお願いされているのですよ」
え! 王弟殿下が、私を護ってくれてるの? 顔が少し熱くなった。
「フランソワーズ様は、ここ数日で、気持ちが顔に出るようになりましたね」
侍女が、また笑った……そうだったのか、恥ずかしい。顔が完全に熱くなった。
「さて、元気になられたようなので、現在の状況を報告します」
侍女の顔が、マジモードになった。
「王宮全体が清潔な状態になり、流行り病は、終息に向かっています」
「私たち侍女も、少し休んだので、回復しました」
「さて、問題は、ここからです」
え! まだ問題があるの? 解決したじゃん。
「まず、王宮全体が、不思議な光に包まれて、大騒ぎになっています」
まぁ、これは時間が経てば、収まるだろう。
「そして、私たち侍女は、清潔になった王都を歩けません」
彼女は、もうお手上げだと言う顔だ。
なんで? 何をしたの? 訳が分からない。
「王都に六体の巨大な聖女が降臨して、街は大騒ぎになっています」
もしかして、さっきのクリーン魔法のことかな?
でも、聖女降臨なんて、大げさな……
「それは騒ぎになるでしょうが、侍女の皆さんとは関係しないのでは?」
「降臨した聖女の顔が……私たち侍女の顔だったんです」
あ~、これは、やってしまった。
「つ、つまり、アイドルの人気が急上昇して、街を歩くとファンに囲まれるのですね」
「おっしゃってる事が、よく分かりませんが……囲まれて身動きできなくなるのです」
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