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18話

 見上げると、あんなに青かった空がオレンジ色に染まっていた。

 よし――。

 エスは、少しテクテク歩いて、適当なところで腰を下ろした。道から外れた野原に、だ。道のど真ん中に寝たら、もしかして、踏まれたりするかもしれないから。

 昨日は何も考えなかったが、道から大きく外れた木の下で寝ていた。まあ……よかった。あの木は大きかったので、屋根代わりにもなった。それに着目したのが結果オーライだった。

「……」

 何も知らない。

 この世界のことは何も知らない。

 自分は今まで闇の中にいて、そこで色々知った。

 そこで知ったことは、この世界でも役に立っている。

 まず言葉が話せる。そして、言葉が理解できる。

 でも、知らないことが多い。

 まだまだ知るべきだ。

 それはわかってはいるけれど、正直興味がない。

 この世界には興味がない。

 自分は無関心なのだ。

 この世界にいて不安もない。それがあれば、あそこに帰ろうと必死になるかここの世界を知ろうと必死になるだろう。

「……」

 どうして、自分はここにいるのか。

 自分をここに呼んだのはなんなのか。

 自分とは違うもの――自分と正反対の位置にいる者――。

 それを探そう。

 あそこの――闇の不具合などではない。

 稀有なほど強力な力によって引っ張られたのだ。

 どこかに犯人が――いる。

「ボクを探しているんだね、お姉ちゃん。ボクなら目の前にいるよ」

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