17話
エスは、極力人の少ない道を選んで前に進み、映像に映った家の前まで来て、抱いていた猫を放した。
こちらを振り返り、見上げて小さくニャアと鳴いた。
それが、お礼のようにエスには聞こえた。
踵を返し、歩き始めて途中、背後で喜ぶような声が聞こえた。
めでたしめでたし。
エスは、やはりあまり人がいない道を選んでさっきの噴水のところまで戻った。
そしたら、さっきより人が多かった。
気配を探りながら来てたから、わかってはいた。さっきより多くても、ここがこの時間、この町では最も人気がない。
「……」
エスは、こちらに向けられる視線を無視して、さっきと同じ場所に立つ。
ここは、人がいっぱいいるだけで、つまらない。
さっきの小さい生き物ばかりなら、それなりに楽しめそうだ。
エスは、夜が来る前にさっさと町を出た。
出てしばらく歩いて、気付いた。
何やってんだ?
あんなに人がいたならば、聞き込みしろよ。
自分がどうすれば帰れるか。後、この世界のことを。
…顔が赤くなった。
世界も自分のことも、どうでもよくなっていた。
まだまだ子供。一時の感情に流されて、何も出来なかった。
好きになれない人間だが、どうにか心を開く努力をしよう。
そうしないと、声なんてかけられない。
――まあ、仕方ないので、今日は外で寝る。戻るのはなんか嫌だったし、あそこに限っては何もなさそうだったから。
あれ? あそこの名前なんだっけ? なんか最初耳にしたような単語だった、確か。




