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剣しか持ちえない少年の英雄譚  作者: 喜怒哀楽
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戦場の悪魔

アーヴェルの死。


そして再び戦場を覆い始めた、二年前と同じ異変。


その正体を知るダリオは、三国の軍勢を戦場中央から退避させる。


集まり続ける魔素。


青黒く揺らぐザインの身体。


レオンハルトの前に立っていたのは、もはやこれまでのザインとは明らかに違う何かだった。

戦場に漂う魔素が、ザインへ向かって流れ始めた。


最初は僅かな変化だった。


だが、その流れは瞬く間に強くなる。


地面を這い、空気に溶け込み、戦場の至るところに存在していた魔素が、一斉に中央へ集まっていく。


その中心で、ザインは剣を下げたまま立っていた。


皮膚の周囲に、青黒い揺らぎが浮かび上がる。


腕から肩へ。


首筋を通り、頬へ。


炎のようにも見える。


だが、熱はない。


魔法特有の術式も存在しない。


ただ、ザインという人間の輪郭そのものが、周囲の魔素へ溶け込んでいるかのように揺れていた。


レオンハルトは、その姿を黙って見ていた。


先ほどまでとは明らかに違う。


全身をフル出力まで引き上げた時にも、ザインの身体能力は常軌を逸していた。


だが、今はそれとも違う。


これまでの戦闘で蓄積していたはずの疲労。


身体中に残っている負傷。


荒れていた呼吸。


そのすべてが消えている。


否。


消えたのではない。


身体そのものが、無視している。


「……何だ、それは」


返事はなかった。


ザインはレオンハルトだけを見ている。


一歩。


前へ出た。


レオンハルトが右手を向ける。


真正面から重力が叩きつけられた。


地面が沈む。


ザインの足元から亀裂が走り、砕けた石が後方へ弾け飛ぶ。


それでも止まらない。


一歩。


さらに一歩。


レオンハルトが出力を上げる。


重圧が増した。


ザインの髪が後方へ流れ、衣服が激しくはためく。


足が地面へ沈み込む。


それでも。


前へ出る。


「……」


レオンハルトがさらに重力を強めた。


足元の大地が耐えきれず崩壊する。


それでもザインは進む。


重力によって押し返そうとする力と、ザインが前へ進もうとする力。


二つが真正面からぶつかり合った。


ザインが地面を踏み抜く。


その瞬間。


均衡が崩れた。


「――なっ」


レオンハルトの腕が弾かれる。


術式へ掛かっていた凄まじい負荷が跳ね返り、その身体まで後方へ吹き飛ばした。


数十メートル。


地面を削りながら着地する。


「……俺の重力を」


レオンハルトが顔を上げる。


「力で押し返したのか」


ザインはもう目の前にいた。


「――ッ!」


レオンハルトが反射的に重力場を形成する。


遅い。


発生した時には、ザインは既にその範囲から消えていた。


肩に熱が走る。


剣が肉を深く裂いた。


レオンハルトが振り返るより先に、ザインの蹴りが腹部へ突き刺さる。


身体が浮く。


地面へ落ちる前にザインが追いついた。


拳が顔面を捉える。


頭部が大きく跳ねる。


そのまま地面へ叩き落とされた。


レオンハルトが片手をつき、起き上がろうとする。


その腕を。


ザインが掴んだ。


「――!」


異変は、その瞬間に起きた。


ザインの指が触れている場所から、レオンハルトの皮膚が焼け始める。


「……何?」


炎ではない。


熱を発する魔法でもない。


だが、確かに肉体が焼かれている。


ザインの身体を包む青黒い揺らぎ。


その周囲を満たす、異常なまでに濃密な魔素。


それが接触した箇所から、レオンハルトの肉体を侵食するように焼いていく。


皮膚が変色する。


肉が傷む。


再生が始まる。


だが。


追いつかない。


ザインは腕を離さなかった。


むしろ握る力を強める。


「……ッ」


レオンハルトの表情が歪んだ。


まずい。


判断は早かった。


空いている手を振るう。


自らの腕を切断した。


ザインの手に、切り離された腕だけが残る。


同時にレオンハルトは重力を自身へ作用させ、一気に後方へ飛んだ。


距離を取る。


切断面から肉が伸び始めた。


骨が形成される。


失った腕が再び形を成していく。


再生している。


その事実を確認して。


レオンハルトがザインを見る。


ザインは掴んでいた腕を捨てた。


地面へ落ちる。


その瞬間には。


もういない。


「――!」


レオンハルトが横を向く。


ザインがいた。


拳が顔面へ叩き込まれる。


身体が吹き飛んだ。


ザインが追う。


地面へ落ちる前に追いつき、脇腹へ蹴りを叩き込む。


軌道が変わる。


さらに追いつく。


剣が胸を裂いた。


重力場を作る。


ザインはいない。


背後。


拳。


振り向けば、今度は蹴り。


距離を取ろうとすれば、既に目の前にいる。


追いつかない。


重力場の形成が。


ザインの速度に。


レオンハルトの胸元をザインが掴んだ。


持ち上げる。


そのまま地面へ叩きつけた。


轟音。


大地が陥没する。


レオンハルトの身体が、その中心へ沈んだ。


ザインがゆっくりと近づいていく。


青黒い揺らぎを纏ったまま。


呼吸も乱さず。


何も言わず。


ただ。


レオンハルトを敵として見ている。


レオンハルトが身体を起こした。


先ほど自ら切断した腕は、既に元通りになっている。


それでも。


その視線は腕ではなく、ザインへ向けられていた。


「……何者だ」


ザインは答えない。


一歩。


近づく。


レオンハルトの足が僅かに後ろへ動いた。


「何者だ、貴様」


返事はない。


青黒い揺らぎだけが、ザインの身体を這っている。


その姿を前に。


レオンハルトは初めて、目の前にいる存在を人間と呼んでいいのか分からなくなっていた。


「レオンハルト様から離れろ!!」


複数の声が響いた。


教団の幹部たちだった。


三国の軍勢が中央から退いたことで、彼らも二人の戦闘を遠巻きに見ていた。


レオンハルトが一方的に押されている。


その事実を前に、数人が同時に動く。


魔法が放たれた。


炎がザインを包み込む。


だが。


炎の中からザインが飛び出した。


剣が走る。


一人目が倒れた。


そのまま二人目へ向かう。


魔法を構えるより先に懐へ入り、拳を胸へ叩き込む。


身体が後方へ吹き飛んだ。


背後から魔法が迫る。


ザインは振り返らない。


僅かに身体をずらしてかわし、そのまま術者との距離を詰めた。


一閃。


三人目が倒れる。


残った幹部たちが同時に術式を展開する。


完成することはなかった。


ザインが駆け抜ける。


数秒後。


立っている幹部はいなかった。


それを見た魔改造兵たちが殺到する。


数十。


さらにその後ろから続く。


ザインは真正面から群れへ突っ込んだ。


剣が走るたびに兵士が倒れる。


横から振り下ろされた武器を腕で受け止め、その兵士の身体を掴んで持ち上げる。


そのまま別の兵士たちへ投げつけた。


複数の身体がまとめて吹き飛ぶ。


背後から迫った兵士へ振り返りざまに蹴りを叩き込み、その身体を後方の集団へ突っ込ませる。


魔法が飛ぶ。


ザインへ直撃した。


爆炎が広がる。


それでも。


止まらない。


炎を突き破り、術者の目の前へ現れる。


剣が振るわれた。


一人。


また一人。


数で押し潰そうとしても意味がない。


囲む前に崩される。


距離を取れば追いつかれる。


魔法を撃てば、その中からザインが飛び出してくる。


敵が増えるほど。


倒れる数が増えるだけだった。


遠く。


城の側面へ退いたダリオが、その光景を見ていた。


二年前と同じだった。


あの日と同じように。


戦争が、戦争ではなくなっていく。


そして。


ザインが魔改造兵たちを蹂躙している、その時間だけが。


レオンハルトに残された唯一の猶予だった。


「……」


レオンハルトは立ち上がる。


傷ついた肉体が再生していく。


ザインを見る。


速すぎる。


重力場を形成してからでは追いつかない。


正面から押し潰そうとしても、力ずくで突破される。


ならば。


これまでと同じ使い方では意味がない。


レオンハルトが右手を前へ出した。


「……重力というものを、理解しているか?」


ザインは答えない。


魔改造兵たちの中に立ったまま、レオンハルトを見る。


「物は地へ落ちる。人も、岩も、水もだ」


掌の前に術式が浮かび上がる。


一つではない。


二つ。


三つ。


さらに増える。


「巨大な星も同じだ。質量を持つ限り、自らの重力から逃れることはできない」


形成された重力場が、一点へ向かい始めた。


上下。


左右。


前後。


全方向から。


「では――その重力が、あまりにも強大になったらどうなる?」


術式が重なる。


さらに重なる。


レオンハルトの掌の前で、空気が歪み始めた。


「自らを押し潰し続ける」


重力場が縮小する。


拳ほど。


指先ほど。


さらに小さく。


「小さく」


圧縮する。


「さらに小さく」


レオンハルトの腕に血管が浮かび上がった。


莫大な魔力が術式へ流れ込んでいく。


周囲の砂が動き始める。


「限界を越えてなお、潰れ続ける」


空気が中心へ引かれた。


景色が歪む。


「やがて、その重力からは――」


レオンハルトがザインを見る。


「光すら逃げられなくなる」


掌の前に。


小さな黒点が生まれた。


その瞬間。


周囲の空気が一斉に黒点へ引かれる。


足元の小石が跳ねた。


瓦礫が動く。


地面を転がりながら加速し、黒点へ吸い込まれていく。


レオンハルトが黒点へ視線を向けた。


「――重力極点(グラビティ・ファーム)


黒点の周囲で景色が大きく歪む。


「俺の重力魔法を一点へ極限まで圧縮し、構築した超小型のブラックホールだ」


その影響は瞬く間に戦場へ広がった。


砂が舞い上がる。


砕けた瓦礫が浮く。


近くにいた魔改造兵の足が滑った。


「……何だ?」


兵士が地面を踏み締める。


止まらない。


「お、おい――!」


隣の兵士が腕を掴む。


今度は二人まとめて引かれた。


「レオンハルト様!?」


黒点へ向かって、あらゆるものが落ち始める。


地面へ剣を突き刺して耐える者もいた。


その剣ごと抜ける。


瓦礫へしがみついた者は、瓦礫ごと宙へ浮かんだ。


「レオンハルト様! まだ我々が――!」


レオンハルトは見向きもしない。


ザインだけを見ている。


黒点へ近づいた兵士の鎧が歪む。


身体ごと押し潰され、その姿が黒の中へ消えていく。


「逃げろ!!」


教団兵たちが走り出す。


だが、近くにいた者ほど逃げられない。


一人。


また一人。


地面から引き剥がされていく。


岩盤さえ砕け、巨大な破片となって宙へ浮かんだ。


それでも。


レオンハルトは術式を解除しない。


味方が巻き込まれていることなど、既に思考の外にあった。


必要なのは。


ただ一つ。


目の前の存在を殺すこと。


ザインが動きを止めた。


掴んでいた魔改造兵を放す。


黒点を見る。


レオンハルトが残った兵士たちを一瞥する。


「安心しろ」


静かに言った。


「お前たちが死ぬだけの価値はある」


再びザインを見る。


「これに捕まれば、どれほど頑丈な肉体であろうと関係ない」


黒点の周囲で瓦礫が押し潰されていく。


「斬ることも」


レオンハルトがザインの剣を見る。


「殴ることも」


視線を戻す。


「耐えることもできん」


ザインは何も言わない。


ただ。


剣を持って立っている。


レオンハルトが腕をザインへ向けた。


「捉えられないのなら」


超小型ブラックホールが動き始める。


「逃げ場ごと消せばいい」


重力極点(グラビティ・ファーム)が、ザインへ向かって進む。


その進路上にいた魔改造兵たちが次々と吸い寄せられた。


悲鳴。


瓦礫。


武器。


地面の破片。


すべてが黒へ落ちていく。


ザインは逃げなかった。


剣を構える。


レオンハルトが眉を動かす。


「無駄だ」


黒点が迫る。


「それは剣で触れられるものでは――」


ザインが剣を振った。


一閃。


「――?」


レオンハルトの言葉が止まった。


超小型ブラックホールの中心に。


一本の線が入っていた。


次の瞬間。


左右へ割れた。


重力極点(グラビティ・ファーム)が。


真っ二つに。


斬られた。


「…………は?」


レオンハルトの顔から表情が消える。


二つに割れた黒点が激しく歪んだ。


維持されていた重力が崩壊し、周囲を飲み込んでいた吸引が消失する。


宙へ浮いていた瓦礫が一斉に落下した。


轟音が響く。


だが。


レオンハルトには聞こえていなかった。


自分が説明した。


理解している。


あれが何なのか。


どれほどの重力を一点へ押し込んだのか。


何が起きるのか。


だからこそ。


理解できない。


「……なぜだ」


ザインは答えない。


「なぜ斬れる……?」


青黒い揺らぎを纏ったザインが、剣を下ろす。


レオンハルトの額を。


一筋の冷たい汗が流れた。


ザインが消えた。


「――ッ!」


レオンハルトが反応する。


だが。


遅い。


何かが地面へ落ちた。


腕だった。


「……」


レオンハルトが自分の肩を見る。


腕がない。


先ほど。


自ら切り落とした時とは違う。


今度はザインの剣によって斬られた。


レオンハルトが切断面を見る。


待つ。


再生が。


始まらない。


「……?」


肉が伸びない。


骨も形成されない。


何も起きない。


先ほど自分で切り落とした腕は、すぐに戻った。


なのに。


今度は。


戻らない。


「……再生しない」


ザインが振り返る。


青黒い揺らぎを纏ったまま。


レオンハルトへ向かって歩き始めた。


レオンハルトが初めて自ら距離を取る。


額の汗が頬を伝う。


重力は押し返された。


速度では追いつけない。


切り札は斬られた。


そして。


ザインに斬られた傷は。


再生しない。


ザインが近づいてくる。


残る敵は。


目の前の一人だけ。


レオンハルトは残った腕を上げる。


ザインが目の前まで迫った。


剣を持ち上げる。


レオンハルトの首へ。


振り下ろせば。


終わる。


その時だった。


ザインの腕が止まった。


「……?」


レオンハルトがザインを見る。


刃は首のすぐ前で静止している。


だが。


ザインの身体は静止していなかった。


剣を握る腕が激しく震え始める。


首筋が痙攣する。


肩が不自然に跳ねた。


青黒い揺らぎが全身から噴き出すように膨れ上がる。


ザインの腕が僅かに前へ進んだ。


刃がレオンハルトの首へ近づく。


ザインが左手で自分の右腕を掴んだ。


無理やり引き戻す。


「……っ、ぐ……!」


歯を食いしばる。


右腕は剣を振ろうとする。


左腕はそれを止める。


同じ身体の中で、正反対の力がぶつかり合う。


筋肉が軋む。


肩から鈍い音が鳴った。


それでも身体はレオンハルトを殺そうとする。


敵がいる。


倒せ。


殺せ。


排除しろ。


それだけを目的として動く身体に、戦いを止める理由など存在しない。


ザインの右脚が勝手に前へ出た。


左脚を地面へ叩きつける。


足元が砕ける。


「ぐっ……!」


身体が大きく仰け反った。


背中が痙攣する。


青黒い揺らぎが身体の内側へ入り込み、また外へ噴き出す。


輪郭が人間の形を保てなくなったかのように激しく揺れた。


「はっ……はっ……!」


呼吸が戻り始める。


その呼吸さえ苦痛に歪む。


心臓が激しく脈打つ。


皮膚の下を何かが走り回っているように全身が波打った。


それでも身体は前へ出ようとする。


ザインの足が一歩動く。


止める。


また動く。


止める。


そして。


ザインが顔を上げた。


「すっこんでろ!!」


怒声が戦場へ響く。


剣を地面へ突き刺した。


両手で柄を掴む。


レオンハルトへ飛びかかろうとする自分自身の身体を、力ずくでその場へ縫い止める。


腕が震える。


脚が地面を削る。


青黒い揺らぎが激しく膨れ上がった。


「俺の身体だぞ……!」


身体中の筋肉が勝手に収縮する。


指が柄へ食い込む。


肩が跳ねる。


脚が前へ出ようとする。


それでも。


ザインは剣から手を離さない。


「言うこと聞けッ!!」


青黒い揺らぎが一気に膨れ上がった。


ザインの身体を飲み込む。


人間の輪郭すら見えなくなる。


「ぐっ……ああああッ!!」


全身を内側から引き裂かれるような苦痛に、ザインの身体が大きく反った。


それでも。


耐える。


やがて。


青黒い揺らぎが腕から剥がれ落ちるように消え始める。


肩から。


胸から。


脚から。


少しずつ。


ザインの輪郭が戻ってくる。


最後まで残った揺らぎが、胸元で激しく脈打った。


ザインが胸を押さえる。


「ぐ……っ、あぁッ……!」


身体が折れそうになる。


一度。


青黒い揺らぎが脈打つ。


もう一度。


ザインが歯を食いしばる。


そして。


最後の揺らぎが消えた。


「――っ、はぁ……!」


ザインが大きく息を吸う。


肺へ空気が入る。


心臓が激しく脈打つ。


身体中から汗が噴き出した。


「はぁ……はぁ……」


人間の身体へ戻ったことで、それまで無視されていた疲労と痛みが一斉に押し寄せる。


全身が重い。


筋肉が痛む。


関節も悲鳴を上げている。


それでも。


ザインは倒れなかった。


呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと身体を起こす。


自分の手を見る。


握る。


指が震えた。


一度開く。


もう一度。


握る。


今度は。


自分の意思で動いた。


ザインは小さく息を吐く。


「……よし」


地面から剣を引き抜く。


顔を上げた。


レオンハルトが立っている。


失った腕は戻っていない。


切断面から再生が始まる気配もない。


ザインはそれを確認すると、剣を構えた。


「わるいな」


まだ荒い呼吸の合間に。


いつもの声が戻る。


「邪魔が入ったわ」


レオンハルトは何も言わない。


ザインは剣先を向ける。


今度は。


身体に動かされているのではない。


自分自身の意思で。


「最終ラウンドと行こうぜ」


レオンハルトが残った腕を上げた。


二人の間には。


もう誰もいない。


ザインとレオンハルト。


二年前から続いた因縁が。


最後の一戦を迎える。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


二年前、ダリオが目撃したザインの異変が再び現れました。


重力を力で押し返し、触れただけでレオンハルトの肉体を焼き、ついには重力極点グラヴィティ・シンギュラリティさえ一刀両断。


なぜ斬れたのか。


なぜザインに斬られた腕だけが再生しなかったのか。


その答えは、もう少し先で。


そしてザインは、自らの身体に抗い、再び自分自身として剣を握ります。


次回――最終ラウンド。

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