表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その愛、猟奇的につき。  作者: ようかん
21/26

その20



「ハ、ハハハハ………

 キミ、なかなか勇気あるよね。ルルーシアちゃん。」


引き攣った笑いを浮かべ、

焦るような声でそう言ったロイドは、

自分の隣に座る男をチラリと見る。

…………お、怒ってる?

今すぐテーブルの上の物を避難させるべきか、

それともすぐに立ち上がり、

自分の身を守るべきかロイドは瞬時に考えたが、

思いのほか穏やかな声で彼が話し出したことに安堵する。


「…………どうして?

 なんで俺のそばにいるのは嫌なの?ルル。」

「ど、どうしてって………あなたがそれを聞くんですか?」


問われたルルーシアが驚きの表情を浮かべる。

これまで自分がしてきた事を忘れたのだろうか。

言葉でねじ伏せ、痛みを与え、恐怖を植え付けたことを?

やった方は簡単に忘れても、

やられた方は一生忘れられないのだと、

人の感情を持ち合わせていない悪魔にはわからないらしい。


「逆に、どうしてそばにいたいと思えますか?

 あなたにされた事を、わたしは忘れてなんかいない。

 子供のした事だとあなたは思ってるかもしれないけど、

 わたしにとっては忘れられない事でっ………!!」

「忘れてなんかいないよ。

 忘れさせないようにする為にやってたんだから。」

「?!」

「ルルが俺を忘れないように、

 ふとしたことで俺を思い出すように、

 俺の記憶に縛られて苦しむようにしたのは俺だよ?

 それを忘れるわけないでしょ。」

「…………っ。あなた、いったいどういう…………。」


どういう思考をしているのだと、

ルルーシアは怒りにも似た感情を瞳に込めて

ランジュを睨みつける。

だがそんなもので彼が怯むはずもなく、

静かに立ち上がり、ルルーシアの前へと歩み寄る。


「気づかなかったルルが悪い。

 俺はずっと、ルルだけを想って生きてきたのに。」


目の前に立ちはだかり、

こちらを見下ろすランジュの瞳が怪しく光る。

しまった!と気づいた時にはすでに遅く、

自分の背中に彼の手が触れ、

そのままグイッと引き寄せられる。


「…………二人は退出願いましょうか。

 司書になるか、俺の婚約者になるか、

 ルルーシアにはちゃんと決めさせますから。」

「………い、いや。

 今のキミとルルーシアちゃんを二人っきりには………。」

「邪魔。………って言ってるんだけど。」


ルルーシアを腕の中に閉じ込めながら、

ランジュは低い声でロイドに告げる。

…………ごめんね。ルルーシアちゃん。

俺まだ死にたくないんだよね。

ロイドは心の中でつぶやいて、エマと顔を見合わせる。


「………………壊すなよ。」


一言静かにつぶやいて、

ロイドはエマと共に部屋から退出する。

その光景にルルーシアはなぜ?!と驚愕の表情を見せる。


「ま、待って!!わたしも一緒にっ………!」

「だめ。

 ルルはまだ俺と話し合うことがあるでしょ?

 …………それとも、二人に見られたいの?

 自分が俺に支配されてるって思い出すところ。」

「!!」


耳元で囁かれた言葉は、ひどく甘い声色をしていたが、

それがそういうものではないことを、

ルルーシアはその身に植え付けられている。

…………ほら、また。忘れてなんかいない。

ガタガタと小さく震え始めたルルーシアの髪に、

ランジュは愛おしそうに指を通す。


「…………さ、話の続きをしようか。」


二人が部屋から出たのを確認して、ランジュは微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ