焦燥の叫び
中華人民共和国首都北京中南海中央軍事委員会緊急会議室
会議室の空気は、張りつめていた。
大型液晶モニターには、台湾東部海岸に日本軍の水陸機動師団が橋頭堡を築き、35式戦車と歩兵戦闘車が次々と上陸していく様子が、容赦なく映し出されていた。
日本海軍連合艦隊の支援攻撃と、烈風2型・桜嵐の航空支援が、台湾島西部を圧倒的に制圧している。
趙建国国家主席は、椅子から立ち上がり、両手を机に叩きつけながら声を荒げた。
「早く出撃させるんだ!!
小日本の上陸作戦はすでに進行中だぞ!!
何をぐずぐずしている!?」
その声は、会議室に響き渡るほど大きかった。
先ほどまでの余裕は完全に消え失せ、顔は真っ赤に染まり、目には血走った苛立ちと焦りが浮かんでいた。
額には脂汗が浮かび、息遣いが荒く、肩が激しく上下している。
「台湾は我々のものだ!
13年前にようやく取り戻した領土を、今さら日本に渡すなど絶対に認めん!
お前たちは何をしている!?
戦略ミサイル軍は! 空軍は!?
今すぐ攻撃をかけろ! 日本軍を海に叩き落とせ!!」
国家主席の怒声が、次第に叫びに近くなっていった。
拳を強く握りしめ、机を何度も叩くその姿には、プライドが傷つき、焦りが頂点に達した指導者の苛立ちが露骨に表れていた。
空軍司令官(上将)は、額に汗を浮かべながら、慎重に答えた。
「主席……急いでおります。
しかし弾薬補充と再編成、内陸部基地では人員選抜にまだ時間が……」
その言葉を聞いた瞬間、趙建国はさらに激昂した。
「時間だと!?
とにかく急ぐのだ!!」
彼は机を両手で強く叩きつけ、身体を前に乗り出した。
声が裏返り、唾が飛び散るほどの勢いだった。
「小日本が台湾に上陸しているというのに、我々はここで指をくわえて見ているだけか!?
お前たちは世界最大の軍事大国の将軍だろう!?
それとも、日本に怯えているのか!?
早く出撃させろ! 今すぐだ!!
台湾を死守するんだ! 絶対に渡すな!!」
会議室は、再び重苦しい沈黙に包まれた。
誰もが国家主席の怒りに萎縮し、言葉を発することができなかった。
中央軍事委員会副主席や各戦区司令官は、目を伏せたまま、ただ耐えるようにその場に立っていた。
趙建国は、荒い息を吐きながら、モニターに映る日本軍の上陸部隊を睨みつけた。
その瞳には、怒りと焦燥、そして徐々に広がり始めた恐怖の影が、はっきりと浮かんでいた。
台湾奪還作戦は、日本軍の勢いのまま、着実に進行していた。




