鉄壁の迎撃
中華人民共和国人民解放軍による大規模飽和攻撃が、ついに開始された。
その直前——
航空宇宙軍南西航空軍那覇空軍基地から、小型スウォーム迎撃無人機桜影が次々と離陸しており、灰色の小型機体が、静かに空へ舞い上がっていた。
同時に、輸送機数機が南西諸島上空で待機し、陸軍小型スウォーム自爆無人機桜雹を大量に搭載したまま、空中待機を続けていた。
そして、人民解放軍の攻撃が始まった瞬間——
日本軍による『スウォーム迎撃』が起動した。
まず、桜影の群れが一斉に加速した。
烈風1型からのリアルタイム指揮を受け、極超音速ミサイルの群れに向かって突進する。
桜影は自らを犠牲にしながら、敵ミサイルのシーカーを攪乱し、体当たりで破壊していく。
その直後、輸送機のカーゴベイが開き、桜雹が大量にばら撒かれた。
数百機の極小型無人機が、雪崩のように空へ散らばる。
桜雹はティルトジェットで機動し、敵ミサイルに群れをなして体当たりを仕掛けた。
その姿は、まるで鉄の蜂の群れが獲物に襲いかかるようだった。
大和空母打撃群旗艦、原子力空母大和のCICで、黒崎信一郎大将が静かに命じた。
「全艦、迎撃開始。」
その瞬間、連合艦隊が一斉に動き出した。
まず、長距離迎撃として、各艦のリニアカノンが火を噴いた。
155ミリ電磁加速改良型レールガンが、毎分12発の高速弾を吐き出し、極超音速ミサイルの群れを遠距離から叩き落としていく。
同時に、VLSからSM-9A(SM-6の後継となる新型極超音速迎撃ミサイル)が次々と発射された。
弾道ミサイル迎撃と長距離対空ミサイルを兼ねるこのミサイルは、敵の極超音速兵器を高速で迎撃するために開発された最新鋭兵器だった。
中距離では、5センチレーザー砲が輝きを放った。
各艦艇のレーザー砲が、青白い光線を連続で射出する。
太陽発電衛星からの送電により、全固体電池は即時充電され、電力消費を一切気にすることなく連射が可能だった。
同時に、中距離迎撃ミサイル(ESSMの後継となる新型極超音速迎撃ミサイル)も発射され、電子戦システムによる強力なジャミングが開始された。
この段階で、発射された1185発のミサイルのうち、98%が迎撃に成功した。
しかし、残る2%——約24発が、わずかに突破を試みた。
そこで、各艦艇の近接防御が起動した。
20ミリレーザーガトリングガンが、凄まじい連射速度で火を噴く。
原子力空母大和級、強襲揚陸艦紀伊級、ドック型揚陸艦根室級からも、短距離対空ミサイルと近距離対空ミサイルが一斉に放たれた。
ギリギリのところで、すべての突破ミサイルが撃墜された。
ただし、完全無傷ではなかった。
大鳳空母打撃群の第10戦隊所属、ミサイル駆逐艦大波が、1発のミサイルの破片により軽微な損傷を受けた。
VLS 2セルと20ミリレーザーガトリングガン1基が破損したが、戦闘継続に支障はないレベルだった。
CIC内で、黒崎大将は静かに息を吐いた。
「被害報告。大波、軽微な損傷のみ。戦闘継続可能。」
星野瑞穂大佐が、隣で小さく頷いた。
「やはり……我々の技術と持続力が、上回っていました。」
太陽発電衛星からの送電により、全固体電池は即座に充電され続けていた。
5センチレーザー砲も、20ミリレーザーガトリングガンも、撃ち切っても電力が尽きることはない。
日本海軍連合艦隊は、ほぼ完璧に近い形で、中国の史上最大規模の飽和攻撃を迎え撃った。
その事実は、航空宇宙軍の衛星コンステレーションによって、リアルタイムで記録され続けていた。
北京の中南海では、趙建国国家主席がまだ満足げな笑みを浮かべていた頃——
日本海軍連合艦隊は、ほとんど無傷のまま、静かに次の行動に移ろうとしていた。




