戦闘とは
かなり間が空いてすみません。
巨樹の中腹にて、魔法職のプレイヤーたちが一人の狙撃手の弾丸に強化を施していた。
「団長、そろそろ弾数も揃ってきたので、狙撃を始めてもいいのでは。」
さらに上の方で、手に持った望遠鏡で3人がガトリングでヒャッハーしているの眺めている旅人と、流浪者であった。
「いや、まだあいつらが弾を撃ち終わってからだな。頭に正確に当てるには、ある程度奴らの動きが落ち着いてからじゃないとな。」
「そうですか。それで、あの3人が引きつけている個体を狙うんですか。」
「いや、しないぞ。」
流浪者は望遠鏡から目を離し、
「え、話が違ってきませんか。」
「フレンドリーファイヤーをやらかす可能性もあるし、正直あいつらが漏らして落とし穴に落ちたやつを一匹ずつ処理していった方が効率がいいし。」
「言いたいことは分かりますが、そうしたらあの3人が落ちませんか。そっちの方がかえって非効率では。」
「いや、大丈夫だろ。」
「それはどういう。」
流浪者の質問に答える前に3人がガトリングを撃ち終え、各自武器を構えて敵の群れに突っ込んでいた。
「よし、流浪者、俺にバフをかける準備をしろよ。」
「ハイハイ。」
数分後特にやることのない待機組は3人の戦いを見てそのほとんどが共学の表情を見せていた。その中のニャイツ・オブ・ラウンズのニャンスロットはドールメーカーに3人について聞いていた。
「ドールメーカー殿、あの3人のあの戦い方は何ですか。」
「見ればわかるでしょう。」
「そういうわけでなく、どうしてあのような戦い方が出来るのですか。」
ニャンスロットは3人のプレイヤー間の常識離れした戦い方の驚愕していた。
まずスカイボーダーがメイン職業、サブ職業の両方の補正がついた加速で威力を高めた一撃を加えて、敵の注意を一気に引き付けて、その隙に残り2人が敵の足元を攻撃し倒れたところで3人で頭への追撃を行い一匹ずつ仕留めていた。それはもはや戦闘ではなく、作業であった。
「あー、あれね。まず錆と、猫助の2人は扱っている武器や戦闘スタイルは異なっているんだけど、ステータスは似通っているから錆が猫助の武器を使えるのさ。それで、スカイ君、彼の場合は暗殺者、狩人、忍者の職業ボーナスで使える加速を使って、火力を押し上げているんだよ。昨日の彼は相手が相手だっただけに、真正面からのタイマンをせざるを得なかったけど、本来彼はヒット&アウェイの戦い方が一番向いているんだよ。」
「なるほど。」
聞いてきたニャンスロットは納得しつつも少し気を落としていた。
「きにしなくていいさあ。奴らは一応ランカーに名を連ねる常連だからね。つまり、狂人共ってこそさ」
「はあ。」
本人はあまり腑に落ちていなかった。
「おい、こいつら段々固くなってきてねえか。」
ニャーサー大剣で敵を切りつけながらが2人に叫ぶ。
「そうだね。速さも少しずつだけど、増してきている。多分倒した後の方向が原因だとは思うのだけど、問題はどうやってそれを阻止するかだね。」
寂れた錆は敵の傷を抉り、更なるダメージを加えた。
その後一体、また一体と確実に敵の数を3人は減らしていった。対して敵の強さも、少しずつではあるが確実に強化されていき、3人の脳裏にはジリ貧という単語が過った。
「くそ、旅人の援護射撃はまだか。」
ニャーサーが舌打ちをした。
「仕方ない、少し面倒だけどやるか。」
そう言って寂れた錆はチャット画面から通話を始めた。
「すまない、2人とも少し時間を稼いでくれ。」
「了解ニャ。」
「分かりました。」
ニャーサーはまだある程度余裕があるものの、3人の中で最も動きの激しいスカイボーダーは返事するのでやっとであった。
「おい、援護射撃はまだかヒキニート。」
『開口一番でそれはひどくねえか。』
通話に出た旅人は少し涙声になっていた。
「フレンドリーファイアは気にしている場合じゃないぞ。敵の強さがどんどん上がってやがる。巻き込んでもいいからさっさと始めろ。」
『いや、もう始めてるぜ。』
「は?」
寂れた錆はキレ声で答えた。
『陣地前の溝だよ。お前らが漏らした分。そっちから少しずつ潰していっている。』
「おま、それやっていたら死んだときに叫ばれてこっちがきつくなるんだぞ。」
『叫ぶ?なんだそれ。』
旅人との食い違いが引っかかり、寂れた錆は数秒考え込んだ。
『おーい、死んだか?』
「なあヒキニート、」
『だからその呼び方は、』
「弾丸に何を付与させた。」
『無視かよ。って、ああ、とりあえず有効属性は分からないから貫通力を高めるために閃光属性を付与させた。』
「なるほど、ありがとう。そのまま殲滅を続けてくれ。」
そういって寂れた錆は旅人の声を遮って通話を切った。
「2人とも、属性で攻撃を加えろ。」
通話を終えた寂れた錆はどうにか敵を凌いでいた2人に声をかける。
「指定はないのかニャ。」
「旅人は閃光属性といっていた。だが、混合属性は魔力を食う。火か、風、雷のどれか単体でいい。」
「了解ニャ。」
そうして3人は武器に属性を付与し、攻撃を再開した。寂れた錆の読みは当たり属性攻撃で倒した後は例の咆哮はなく、敵の強さにも変化がなかった。
そうして数時間後、対策が判明し待機していた他の前衛職のメンバーも攻撃に加わり、巨樹の北側における大規模レイド戦はプレイヤー側の勝利で幕を閉じた。




