第六回イベント:切られた火蓋
目標たちが罠地帯まで数十秒というところで寂れた錆は、
「そういやニャーサー君は、軽装に変更しても武器は変えないんだね。」
とのんきなことを話し出した。
「今言うことかニャ。はあ、まあいいニャ。我が奴戦って思った感想は、現状の我らの戦い方では奴らとの連戦で勝てないということニャ。」
「それは俺たちもだぞ。」
錆の言葉にニャーサーは首を振り、
「お前たちの場合は物量差によるじり貧ニャ。それに対して我らは奴らに対する安定的な攻略が出来ない。だからと言って仲間たちに急なスタイルの変更は強いることは出来ない。」
錆は頷きながら、
「なるほど、だからお前だけでも軽装にしたと。でもお前なら小回りの利く武器も扱えるだろ。」
「それなのだが、下手に使い慣れていない武器を使ってミスを誘発するよりも、手慣れた武器で戦い方を変えた方がやりやすいと思ってニャ。」
「なるほど。で、どんな戦いなんだい。」
「それはニャ、」
「ズドン!!」
爆発音が鳴り響いた。
巨樹の根元、爆発音を聞いた罠を仕掛けた3人は、
「あれえ?あんなに火力強くしたっけえ?」
ドールメーカーは自分の想定と違うと苦笑いした。
「火薬強くしたにかい君たちい。」
「いえ。」
「していないですよ。」
「「「うーん。」」」
3人は唸った。
「なあ君たち、」
3人に声をかけたのはニャ―リンであった。
「もしかしてあれ、毒罠に引火していないかい。」
「でもあれって、相殺効果はありますけど、相乗効果はないですよね。」
答えたのはハンドインデッド。
「でもそれって、毒が液体の時であって、罠が発動して気化した毒には引火するんだよ。奴らが先に毒罠を発動させた状態だと。相乗効果で爆発火力が2倍になるんだよ。」
「「「あ~。」」」
どうやらニャーサーの予想通りらしい。
「そういえばそうでしたね、最近はあまり毒を使っていなかったから忘れてました。」
「3人に二次被害出ていないといいけど。」
ニャ―リンは苦笑いしながら、
「まあ、あの3人なら大丈夫でしょ。ということで根元の援護組、3人の防御以外の肉体ステータスバフをかけるように。加えて、単発回復ではなく、継続回復の魔術を使って彼らを回復してくれ。避けタンクは単発回復よりも継続回復の方が無駄が少ない。次に上での援護組、漏れて落とし穴に落ちたやつから魔法攻撃で継続的に攻撃してくれ。環境的には風か雷の属性で頼む。音属性は使わないように、慣れていないやつが使うと、3人も巻き込みかねない。それまでは旅人の弾丸にエンチャントを行ってくれ、それは音属性を付与してもいいよ。出来ないものは先行属性を行ってくれ。1人1弾でお願い。火力は多少過剰になってもいいから。」
「「「「「了解しました。」」」」」
ニャーサーの作戦に素直に従うプレイヤーたちであった。
「よし、さっさと上に行くぞ。毒に引火しているせいで、恐らく罠の消耗が早い。」
武器のチェックが終わったのか旅人は巨樹を登り始めていた。
「登れに奴は待ってろ。上から梯子を降ろす。」
そう言って旅人は巨樹を蜘蛛のように登った。自力で登れるプレイヤーもそれに続いた。
「じゃあ、僕たちも始めようか。」
ニャーサーがそう言うと、援護組は一斉に魔術、祈祷、呪術の詠唱を始めた。
「お、来たね。バフ。」
「我にも来たニャ。」
「罠ももうすぐ尽きるようですし、こちらから仕掛けますか。」
スカイが引き金を引こうとし、錆がそれを止めた。
「待ってくれスカイ君、一応毒耐性をつけておかないと。」
そう言って錆はスカイに種を渡した。
「耐毒の種ですか。味が苦手なんですよね。あの何とも言えない苦みが。」
「それは我もニャ。」
そう言いつつも、ゴリゴリと種を嚙み砕くニャーサーであった。スカイもそれに倣いどうにか種を噛み砕いて飲み込んだ。
「さあ行こうか、新素材のために。」
錆さんはとてもワクワクしている。木々の間から敵が見え始めた。
「恐竜ですね。」
スカイが感想を言うと、
「そうだね。」
「そうだニャ。」
と他の2人が返した。そして奴らが木々を抜けた瞬間、スカイが引き金を引こうとすると、
「大木防衛隊!ファイヤー!」
「ファイニャー!」
2人が急に掛け声を出して、引き金を引いた。スカイも数秒遅れて引き金を引いた。
1分と少し過ぎ、ガトリングの弾を消費し終わり、3人はストレージから武器を取り出した。
「あれ何発あったんですか。」
「うーん、僕とあの2人陽に要していた分だから、合わせて3万くらいかな。」
「うわ、よく用意できたニャ。」
「日頃の努力の成果さ。」
錆はピースサインを作った。
錆、スカイ、ニャーサーの3人はそれぞれ、両手にナイフ、斧と黒狼の刃、大剣を装備した。
「それ使うのかい。」
「はい、今のところパリィと崖登りにしか使えませんが。」
「そうかい。」
「さっさと行くニャ。」
ニャーサーにせかされながら、他2人も駆け出した。




