第六回イベント:第二フェーズ開始
PVが3000を超えました。ありがとうございます。
その雄叫びが聞こえた直後に寂れた錆さんからクランチャットでメッセージが届いた。
錆:各自レイドの用意を済ませておいてくれ。
ニャイツ・オブ・ラウンズが敵との戦闘を先ほど終えた。
直後に敵の遺骸が声を発した。
それにつられて多数の同種が遺骸の元に向かっている。
強さはニャーサー達が不意打ちを食らってギリギリ勝てたくらいだ。
スカイ:了解です。
夜:分かりました。
ハンド:了解しました。
ドール:了解。
タック―:分かりました。場所はどこへ向かえばいいですか。
錆:巨樹の根元だ。
そこで迎え撃つ。
1分後に赤の信号弾を放つからそこに目掛けて向かってくれ。
とりあえずニャイツ・オブ・ラウンズと、放浪者の旅団の数人との急造チームになる。
もし先に敵との戦闘に突入したらもう一度今度は黒の信号弾を打ち上げるから、敵の後ろから攻撃してくれ。
敵は見るからに恐竜ですという見た目をしている。
とりあえずでかくて、暴れまわる。属性攻撃は今のところ確認されていない。
弱点属性は判明していないが、ニャーサー達は物理攻撃で撃破したとのこと。
スカイ:相変わらず脳筋ですね。
錆:そうだな。
他にも足元を崩せばすぐに転ぶとのことだ。
10秒後に信号弾を撃つ。
それじゃあ根元で待っている。
クランチャットを閉じて上を見上げると、空に赤い一筋の線が昇っていくのが見えた。その方向をマークし走り出した。走りながら、装備を整えた。黒狼の刃の検証はある程度終え、万が一使う可能性があるため腰に収めた。
今回は加速は使わずに筋力と素早さを強化するバフをかけての加速をやってみた。
昨日イソクラがやっていた筋力による爆発的な速度強化を試してみるが、中々上手くいかない。一応、器用さだけだったらクラン内では2番目に高い数値のはずであるのだが。
「練習あるのみか。」
とぼやきながら、やっぱり加速を使うのであった。
途中で夜、ハンド、ドールメーカーさんが仕掛けたままの罠地帯を迂回しながら。
「あいつら撤去していけよ。」
数分後熱帯林エリア中央の巨樹の北根元にて。
「やっと来たのかドールメーカー。」
「おいおい、あの2人と一緒にしないでくれ。あまり素早さは上げていないのだよ。」
旅人の軽口を軽く受け流すドールメーカーであった。
「それで、錆君は。」
「上で偵察している。タック―って奴はすでについているんだけど、スカイの方がまだだ。あいつのステータス的にはもうついていてもおかしくないのだが。」
「「「あー。」」」
夜、ハンド、ドールの3人は揃って明日の方向を向いた。
「何をしたお前ら。」
「あのですねドールさんと仕込んだ、」
「罠を撤去せずに、」
「そのままできたんだよねえ。」
旅人はため息をつくと上を向いて大声で寂れた錆を呼び掛けた。
「おい錆!スカイの奴は到着が遅れるぞ!こいつらが産業廃棄物をそのままにしてきたんだと!」
「君さあ、人が丹精込めて仕掛けたものに産業廃棄物はないでしょ。」
ドールメーカーの反応に、他2人も頷いた。
「使わなければ腐れてごみになるだろ。」
3人はぐうの音も出なかった。
数秒後、寂れた錆はストレージから取り出した武器を巨樹の樹皮に引っかけて降りてきた。
「全く君たちは、とりあえずスカイ君には連絡を取ったから、奴らが来る前に罠地帯を作ってね。タック―君、君は旅団の人たちを連れて罠地帯の後ろに落とし穴地帯を作ってきてくれないかい。」
「了解です。それじゃあ、旅団の人たちついてきてください。」
そう言うとタック―は落とし穴を作りに行った。
「お前らも行くぞ罠バカトリオ。」
「君はあ、人の呼び方をもうちょっと考えた方がいいよ。」
「ふん。」
数分後、この場に残ったのは寂れた錆とニャイツ・オブ・ラウンズの面々だった。
「で、作戦はどうするんだ錆よ。」
「んー、その前に、おい、居るんだろ守銭奴。」
寂れた錆が呼びかけると木々の陰から10数人のプレイヤーが出てきた。
「ニャ、血掟の兵団。PKならよすニャ。今はそんな暇はないニャ。」
ニャーサーが拒絶の意を示すも戦闘にいるプレイヤーは気にも留めず寂れた錆に話しかけた。
「やあ、錆っち久しぶりだね。」
「そうだな。」
寂れた錆も警戒状態に入っていた。
「そんなにピりつかないでよ。今回は情報交換だけさ。北方向だけじゃなくて他の方向からも敵の大群が来ているからね。全くなんで急にこんなことになったのだか。錆っちは何か知ってるかい。」
「いや、何も。」
ニャーサーは若干安堵した。
「そうかい。まいいや。ひとまず奴らに付いて何か知っているかい。」
「ニャーサー達が最初に倒したんだ。彼から聞いてくれ。」
「そうかい。ねえ猫っち何か知っているかい。」
ニャーサーはキラーパスをしてきた錆をにらみながら、プレイヤーの疑問に答えた。
「奴はとにかく、大きく、早く、力強かった。」
「大雑把だね。」
「まあ待て、ひとまず我ら全員でも辛勝だったということだ。」
「やっぱそれくらい強いのか。」
錆が引っかかって質問を投げかけた。
「やっぱり?」
「ああ、うちのメンバーの考察勢たちが、エリアの限界まで見てきたいっていうからさ、第9番隊と、第10番隊を同行させたんだ。そしてらあのへんな雄叫びが聞こえた後にクランチャットで同行した隊の1人が、自分を残して全滅したっていうんだよ。」
ニャーサーと錆は動揺した。
「仮にもお前らのクランの隊が2つ同時にか。」
「どんな攻撃をしてきたのかニャ。」
するとプレイヤーは肩を竦めて衝撃の比tことを放った。
「戦闘状態にすら入らなかっったよ。」
「は?」
「奴らはただ駆けていっただけだって。生き残った本人も周りの様子を調べるために樹木の上側を伝って移動していたから無事だったんだよ。」
「本気で言っているのか。」
錆は目を細めた。
「マジも大マジさ。その情報を聞いてこのバカでかい木の根元に移動して迎撃の準備をしているのさ。ひとまず第1番から第8番隊までは反対の南側で構えているわけ。それで遊撃部隊である俺の隊が他のクランと情報共有をしているのさ。で、雄叫びが聞こえた方向であるこちらには俺が直接出向いてるってわけ。」
「珍しいな。お前たちが他のクランと協力しようとするのは。」
「確かにね。今回は情報がなさすぎるからね。」
「そうか。」
「だけら、猫っち達が倒した時のやり方を教わりに来たんだよ。まさかクラン対抗イベントが、クラン協力イベントになるとは。」
「分かったニャ。」
そうしてニャーサーは情報を提供した。
「なるほど、足元をね。でかい図体ならそれもありか。おい、誰か本体にこのことを連絡しておいてくれ。」
「了解しました。」
そう言うと部下の1人が通話を始めた。
「ところでスカイ君はいるの。」
「なんで今その話になる。」
男は錆に近づいて、肩に手を置き耳元で、
「なんか面白そうな武器手に入れたみたいじゃん。」
「それを知っているのはお前だけか。」
錆は表情一つ変えなかった。
「昨日はログインできなくてね。さっき映像を見せてもらったのさ。そしたら、スカイ君が相手が去った後に腰に何か面白そうな得物が見えたからね。」
「そうか。」
ニャーサーはすごい動揺しているのに、錆は相変わらずである。
「口止めしなくて良いのかい。クランの他のメンバーに話すかもよ。」
「それがお前にとって利益になるものだと判断したのか。情報が碌にないまま。」
プレイヤーは黙った。
「心配しなくていい。あれによる利益を享受できるのは恐らくスカイボーダー本人だけだ。俺達のクランだけで利益を独占できるような品物ではないからな。あれは。」
「そうかい。」
そう言って男はUIを操作し、寂れた錆にフレンド申請を送った。
「なんのつもりだ。」
「なに、面白そうなことが起きたら誘ってくれよ。物質的な利益が出ないなら、精神的娯楽を求めるのは当たり前だろ。」
「お前はスカイのことの顛末を観たいだけだろ。」
プレイヤーは降格を釣り上げて、
「そうだよ。だって面白そうじゃん彼。」
「なら、本人に接触して、本人に申請を行え。」
その言葉にプレイヤーは少し驚いた。
「おいおい、俺を彼に接触させても良いのかい。」
「スカイには知らせてある。あいつがどのような判断ををするかはあいつ次第だ。」
「そうかい。」
プレイヤーは踵を返した。
「とりあえず情報提供ありがとう。今は時間がないからね。じゃあまた。」
「ああ、また会おうシルク。」
「そうだね、寂れた錆。ところで、ここが一番プレイヤーが少ないけど大丈夫かい。」
「俺たちは少数だから好きに戦える。気にするな。」
「そうかい、検討を祈るよ。」
そう言うとプレイヤーシルクは部隊を引き連れて、巨樹の南側の根元に戻った。
「お前たち、案外仲が悪くないのかニャ。」
「そういや、ニャーサーはこのゲームでのあいつしか知らなかったね。」
寂れた錆は警戒を解いたのか口調が戻っていた。
「あいつとは元々別でのゲームで知り合ってね、ゲームごとに全く別キャラになりきってプレイをする奴なんだ。」
「そうなのかニャ。」
「うん、まあ今は自益優先の守銭奴をロールプレイしているんだよ。さて、そろそろ作戦を伝えないとね。」
「ニャに、もう考えていたのかニャ。」
ニャーサーがそう言うと、寂れた錆は微笑み、
「旅団に、君たちもいるんだ。それにこの同盟単独でのレイドは初めてだ。最大限にたのしまないと。」
ニャーサーは寂れた錆から得体の知れない怖さを感じた。
「やっぱりお前が一番怖いよ。」
数分後罠、落とし穴地帯を作っていたプレイヤーたちが戻ってきていた。
「よしみんな、作戦を聞いてくれ。」
寂れた錆は約50名程度の同盟クランに作戦を説明し始めた。
「以上だけど、質問はあるかい。」
1人のプレイヤーが手を挙げた。
「それじゃあ、流浪者君。」
「今の作戦では、寂れた錆さんとニャーサーさんへの負担が大きくないですか。団長の援護射撃と、後衛職ほぼ全員からのバフがあるとはいえ、無茶すぎますよ。他の騎士の人は突破された時の最終防衛ラインだとしても、夜・ウィッチさんと、ハンドインデッドさんも連れていくべきでは。」
作戦の内容を聞いた放浪者の旅団のサブリーダーは苦言を呈した。
「ん-、ニャーサーが一番ダメージの通りが良かったのが頭部だといっていたから、この作戦の一番の火力は旅人の援護射撃になる。それを上手く命中させるには、近距離で火力を出しつつ敵の攻撃もよけることが出来る回避タンクが出来る奴じゃないといけない。ここにいるメンバーでそれが出来るのは僕と、ニャーサーだけだからね。それにあの2人は今回はメンバーの人数上バフ・デバフ要員として立ち回ってもらうからね。それに、うちのエースがやっと到着みたいだ。」
そういうと寂れた錆は北の方向を向いた。つられて他の者たちも同じ方向を向いた。
情けない叫び声を発する何かが、巨樹の幹に向かって飛んできた。
「うおおおお!」
それは勢いのまま巨樹の幹に衝突した。
「あれ死んでねえよな。」
旅人が弾丸の準備をしながら寂れた錆に聞いた。
「うーん、メンバーリストでは一応沈んでいないと思うけど。」
数秒後、黒い何かが落ちてきた。
「いやあ、死ぬかと思った。」
スカイボーダーであった。
「スカイ君、無事だったかい。」
「ええ、昨日のあいつの真似がうまくできなかったので、筋力による速度強化を一方向だけに定めて、木のしなりを使って飛んできたんですよ。思ったよりも勢いが出たので驚きましたよ。」
「そ、そうかい。」
その場にいた全員が引いていた。
「それでですね、これは死ぬなって思ったので、パリィの感覚でタイミングを合わせて木の幹に攻撃を加えてみたら、さすがにダメージは受けましたが、どうにか生き残れましたよ。」
スカイは黒狼の刃を取り出して、錆に見せた。事情を知っているクランメンバーとニャーサーに旅人は黙ったが、何も知らない知らない流浪者が質問した。
「スカイボーダーさん、新しい武器ですか。」
このとき、スカイボーダーはやらかしたと悟った。
「いやあ、いろいろあって最近手に入れたんですよ。またイベントが終わったら教えますよ。」
「そうですか。それではあた後で。」
事情を知っている者たちは安堵した。
「それで、寂れた錆さん作戦はどうするんですか。」
「一回説明したから、省略するけど。とりあえずスカイ君と僕とニャーサーで避けタンクするよ。火力は旅人の援護射撃が主軸で。」
「あーはいはい。なるほど、前にダンジョンでやった戦法ですね。」
「そうそう。」
「いやな事件でしたね。」
「そうだね。」
「そうだニャ。」
3人の目は死んでいた。
「テーブルはどうしますか。」
いち早く目の輝きを取り戻したスカイが効いた。
「ああ、それね。10人以上の援護役がいるからさ、3人共フルタイムで行くよ。」
「つまり、休憩なしですか。」
「そうそう。あれよりもきついと思うから。」
スカイの目が死んだ。隣で聞いていたニャーサーの目も死んだ。
「よし、じゃあ行くか。」
「「お、おー。」」
寂れた錆は2人を引き連れて罠地帯と落とし穴地帯の間の部分に向かった。
3人が位置について数分後、巨大生物の大群が地面からでも直視出来るくらいに迫ってきた。
「さて始めますか。」
「あれホントにやれるのかニャ。」
「まあ、やるだけやるしかないでしょ。死んでも一応報酬はあるんだし。でも、あいつの新素材は欲しいですね。」
「そうだね。」
3人は最初にマシンガンを構え、照準を敵に定めた。
プライマルリザード:この世界におけるトカゲの最も古代からの姿を変えていない種族。体内で食物繊維を分解できるため、意外にも肉はあまり食べない。仲間意識が高く、仇を討つならば徹底的に行う。肉体と同時に魂への攻撃も行わないと、肉体が死んだ際に魂で仲間の自分が死んだことを知らせる雄たけびを上げる。体内に熱をため込むため、一定時間ごとに空気を大量に吸い込んで、自分の熱を空気に含んで放出する。戦闘時にはそれで体内の脂肪を燃やして熱戦として吐き出す。筋肉が厚いため、高い位置にある頭部が一番の弱点になる。しかし、骨自体も相当に固いので、斬撃よりも、打撃で脳を揺らすようにする方がダメージが高い。弱点属性は氷。巨躯を用いた体当たりを攻撃として頻繁に扱う。上手く避けて、転ばせることが成功したら、攻撃の隙が生まれる。前脚の爪は鋭いが、筋肉が貧弱であるため体を起こすのに使えず、一度転んだら起き上がるのに時間がかかる。加えて頭部も低い位置に来る。
シルク:血掟の兵団遊撃部隊隊長兼、参謀。
メインジョブ:狩人
サブジョブ:商人、戦略家




