戦いの終わり、イレギュラーからの招待。
終わりは切なかった。本人たちにとって激戦でもそれを見ることの出来ない観客たちにとっては、詰まらないものであった。
「決着がつきました。クランヴェニスの選手全員の敗退で、クランナハトの勝利となりました。」
「ありがとうございました。良い経験が出来ました。」
立ち上がって埃を払いながら洋平は感謝を述べてきた。
「こっちこそ面白かったですよ。」
こちらも感謝を述べておく。
「…。」
なぜかこちらをじっと見つめてくる。
「どうかしましたか?」
「…2点ほどいいですか。」
「ええ、どうぞ。」
「それじゃあまず、スカイボーダーさん戦闘中と今で性格変わりすぎでは。」
「あーそれですか。単純にテンションが上がっているだけですよ。確かによく言われますが。」
「そうですか。あと私の名前は洋平ではありませんよ。あくまで仮名ですし、金で雇われる方の傭兵ですよ。」
「違和感の正体はそれだったんですね。」
「それにあなたは本名を名乗るに値する人なので名乗っておきましょう。」
あ、なんかゲームっぽい。
「仁忠位階第6位薄赤のイソクラ・コクシネアです、どうぞお見知りおきを。あとあなたにはこれを。」
聞いたことない単語に対して頭をフル回転させていると、彼が懐から何か取り出した。
「これは?」
「私たちの組織への招待状です。」
「いえ勧誘ではないですが、私たちは実力を認めた相手を領地に招くという不文律が存在するのですよ。」
招待状を受け取り、ストレージに収納した。
「場所はそれに書いていますが、第7セイガイ領域なのであなた達が到達することをゆっくり待っていますよ。」
「セイガイ領域って何だ。」
思わず聞いてしまった。
「あなた達の言う未開拓地または開拓地という意味ですよ。他にもいろいろ聞きたいことがあるでしょうが、もう迎えが来たので、帰ります。」
彼がそう言い終わると同時に気配がした。俺はこの気配を知っている。
ステージに黒い影が舞い降りる。その姿により会場内は武器を構えるプレイヤーとに逃げる現地人によりパニック状態になっていた。
「攻撃はしないように今回は私を迎えに来ただけなので。」
前回遭遇した時とは異なり、あの黒獣はとても穏やかな雰囲気であった。
「一応謝っておきますよ。彼女があなた達に迷惑をかけたみたいなので。」
「そいつの正体は何だ。」
無意識のうちに俺も戦闘態勢に入っていた。
「そうですね。今は私のパートナーとだけ言っておきますか。それにしても本当にあなたと戦えてよかったですよ。彼女が爪を切断された原因はあなたと聞いていたので。」
「それはどういう、」
「おっと武器を持った人たちが来たので、帰りますね。それではまた会いましょう。スカイボーダーさん。」
彼が言い終えると同時に黒獣はかがんだ体制になり、宙へ跳んだそのまま闘技場の壁を越えて行ってしまった。
「大丈夫かい。」
振り返ると武器を手に持った錆さんがいた。
「ええ、なんとも。」
「いろいろ気になることも起きたし、スカイ君にも聞きたいけどまずは腰のそのナイフは何だい?」
「え?」
腰のナイフ入れに手を当てるといつの間にか俺の知らな得物が収められていた。手に取り表示を確認すると、武器名と武器種そして、能力欄に透過と書いてあった。能力値も一応書いてあったが、最も大事な説明欄は?で埋めつくされていた。
「黒狼の刃。」
それが得物の名であった。能力値を確認し、すぐさまストレージにしまった。
「どうしたんだい。急に。」
「この武器の説明は明日からのイベントが終わってかあらでいいですか。使わないので。」
「いいけど、レアものか。」
「等級だけ言うと、ユニークでした。」
「…、帰って寝なさい。あとのことはこっちでやっておくから。」
「はい。」
そうして俺はそのままログアウトして寝たのであった。
黒い獣が大地を駆け抜けていた。
『どうだった奴は。』
「強かったねー。」
『これで私が爪を遣られたかわかったでしょ。』
「まあね。置き土産は喜んでくれたかな。」
『なんであれ上げたのよ。私との出会いの思い出でしょ。』
「いやあ、彼のおかげであの素材を得ることが出来たというのにそれを彼には還元していないみたいだから、思わずね。それにしても彼のあの速さに気配探知を潜り抜ける技術、そして敵を完全に仕留めるためのあの戦略の対応力。ぜひうちに来てほしいな。」
『そうね。でも彼は民ではない異邦人なのでしょう。私たちの仲間になれるのかしら。』
「ん-、それは彼の選択と王の判断でしか決めれないからねえ。なるようになるさ。少なくとも彼が僕たちの敵にならないことを祈ろうじゃないか。」
『そうね。』
2者は異邦の暗殺者の話をしながら、自分たちの住処へ戻っていった。




