夜の狩人。
お久しぶりです。
ヨウヘイはコートを脱ぎ、袖を捲った。そして右手に持った拳銃と左手に持った刃を入れ替えた。
「それがあんたの本気か。」
俺が尋ねると、
「いえ。」
しれっと答えやがった。
「ああ誤解なさらないように。今までの私の双剣のスタイルよりも練度が低いのであって、慣れたらこちらの方が強いですよ。」
「そうか。じゃあ、さっさとヤっちまうか。」
「殺しは勘弁してくださいよ。一応私もあなた達の言う現地人なので。」
「ハイハイ。」
何とも気が抜ける始まりであった。
スカイボーダーはスキル加速を用いてヨウヘイに弾を撃たせる隙を与えずに接近した。腰から抜いた二振りの小刀を相手の動態に差し込もうとするが、その前に相手が右手に持っていた刃を振り下ろしてきた。スカイボーダーは受け流そうとしたが、異様な振りの遅さに違和感を覚えて避けることにした。そして、避けた直後に元居た場所に地面が吹き飛んだ。
「は?」
俺が目を丸くしてると、追撃を加えてきながら説明してきた。
「そうそう、私の身体性能は器用と素早さ重視ではなく、器用と筋力特化ですので。」
「先に言えや!」
洋平の剣劇を受けて手を痺れさせながら俺は絶叫した。
「そい!」
どうにか攻撃を弾いて距離を取った。うん、恐らくあいつは筋力の爆発的な速度強化を極限まで高めた器用でうまくコントロールしているのか。
「うん、正面からやったら負けるな。」
「では、降参してくれますか。」
「いや、白旗を揚げる前にまだ足掻かせてもらうさ。」
「そうですか。私もあなたの本気を見る前にこの勝負を終えたくなかったので楽しみですよ。」
あの野郎、気づいていやがったか。仕方がない、明日からイベントだが本気を出すか。
身体中に取り付けてある小刀又はナイフに総数10本に魔力を流し込んだ。洋平は俺の準備が終わるの見ているあいつは、おやつが出来上がるのを待つ幼い子供のようであった。
魔力の充填を終えるとスキル糸使いで手に持った10本の刃と指を繋いだ。そして鞘にすべて戻し、懐からけむり玉を取り出してステージ中にばら撒いた。広範囲に広がるやつなので客席まで被害が及んでいるようだ。
すると洋平のいる方からとてつもない轟音が聞こえて煙幕が霧散していた。
「ウソ〜ん。」
「失礼、私視覚潰しに軽く苦手意識がありまして。」
そうはいっても、あいつ右手を地面に撃ち落とした衝撃波だけで煙幕を全部払ったのかよ。バケモンか。
仕方ないので走り出して、加速中に追加の煙幕を広げたあいつも対応してくることを予想し、あいつの立つ場所に向かって刃物を一本投擲する。流石に洋平もそれを避けるために横に転がった。
その隙に余った魔力すべてを使ってステージに物理障壁の付与と探知糸の設置を行った。一方洋兵の方はとういうと、
「この数分で私への対策をここまで。すごいですが、視覚つぶしには少しムカつきますね。」
と少しキレていた。
敵の位置はこちらからは丸分かりなのでさっさと仕留めるために加速し洋平の胴を捉えた。
「甘いですね。」
「!?」
俺の刃は洋平の手にしっかりと掴まれていた。慌ててナイフを手放したが、奴はナイフを握りしめたままの拳で俺の左肘を捉えた。
ゲームなので現実のような痛みや、あまり聞きたくない音は聞かずに済んだが左腕の感覚がまるごとなくなっていた。
「この感覚も別の意味で怖いんだけど。」
「やはり降参しませんか。」
煙幕の向こうから声が聞こえる。さっきから頻りに降参を進めてくるのはなぜだ。
「何焦ってんの。」
「近くに迎えが来ているみたいなので、早めに切り上げないといけないのですよ。」
若干申し訳なさそうな声が聞こえてくる。
「そうか。」
知覚している位置に刃を八本投げながら言った。奴はそれらをすべて弾いた。
「ほら、手持ちの武器もなくなったでしょう。」
俺がまだ武器を持っていることを知っているくせにほざきやがる。最後の一本を懐から抜きながら九本の刃に込めた魔力をすべて放出した。
「!?」
声が聞こえていないからわからないが焦っていることを祈ろう。
俺は加速を使い奴に急接近するさすがに音で察したのか奴の剛力で刃が振り下ろされる。その隙に洋平の横腹に拳を一発決める。
「っ。」
奴は俺の方向に弾丸を放つが視界が真っ暗なままなので、俺をとらえられていない。この工房を何回か繰り返し、奴の残団をゼロにする。さすがにしびれを切らしたのか、闇雲であるがヤバい刃の振り回しを始めた。そsの振り回しの中で刃をまっすぐ振り下ろす動作の直後に刃を踏んで地面にめり込ませた。さすがに俺の位置を補足した奴は俺に渾身の蹴りを放ってきたしかし、その動作中に奴は何かに足を取られたように転んで俺が首筋に刃を当て、
「はあ、降参です。」
決着がついた。




