人形師。
口内炎がつらいです。そしてちゃんと布団で寝ようと感じる今日この頃です。
ドールメーカーさんと黒コートの男の戦いが始まった。男の不気味さを警戒してか、彼女はさっきまで出していた試作機を直していつも使用している2体の人形を取り出した。そのまま操るのかと思ったが、2体の人形を自立制御にして自分は体中に大量のナイフをセットした。
「それじゃあ、やろうか。」
ナイフを握りながら彼女は男に語り掛けた。それに対して男は、
「お手柔らかにお願いします。」
と返事をし、それが皮切りとなり2人は動き出した。
ドールメーカーがナイフを男に向かって投擲するも、男は右手に持つ刃渡りの長い刃でそれを弾いた。今度は左手に持った拳銃で彼女を撃とうとするも2体の人形の追撃により、それを阻まれた。男は最初彼女の攻撃に合わせて人形たちが追撃を行ってくると思っていたが、数分後にはこの考えを改めていた。人形たちの攻撃の合間に出来た隙を補う、もしくは人形の攻撃によって出来た男の隙を突くように彼女がナイフを投擲して相手を追い詰めるのが彼女の戦い方であった。戦いはドールメーカーの有利に思われたが数分の攻防の後、状況はすぐに変化した。
戦いはドールメーカーさん有利で進んでいた。しかし、男はまだかなりの余力を残しているように見えた。
「錆さん、あの男の人片手であの人形2体の攻撃を捌いていますけど、出来ます。」
「無理だね。」
即答であった。
「全くできないわけではないが、彼のように傷なしでここまでのことを成すというのはできないかな。」
「右に同じく。」
「左に同じくニャ。」
他の2人も寂れた錆さんと同意見であった。
「しかも彼女のあの投擲による援護中々いやらしいんだよね。」
「全くだあいつ変に観察眼が鋭いからすぐに相手のことを把握するんだよな。」
「お互い苦労してますね。」
「全くだ。まあ、それで助かっているところもあるのだけどな。」
ドールメーカーさんのことになると妙な盛り上がりを見せる2人であった。見物する方は気楽であったが当の本人はなかなかに困惑していたのであった。
「(おかしい、これだけの時間こちらの攻撃を完全に捌いている。しかも無傷でここまでの反射神経と処理能力で本当にNPCなのか。偽装したプレイヤー、いやあり得ないこのゲームにおいてシステムに手を加えることは不可能。つまりこいつはチュートリアルに書いてあったイレギュラー。いやあ、あいつらに伝えておきたいけど無理だろうなあ。たぶんまけるもん。)」
そんなことを思っていたら案の定、
「戦闘中に考え事とはだめですよ。」
いつの間にか背後に回られていた。そしてそのまま首を手に持った刃で貫けれていた。
「いつの間に。」
「彼らは魔力でこちらを探知していたみたいなので私自身の魔力を空気中に発散してこのステージの魔力密度とw他紙の体内の魔力密度を等しくしたのですよ。」
「へえ、そんなことできたんだあ。」
このゲームにそんなシステムがあるとは思わなかった。
「まあ、結構な修練が必要ですけど。」
「だよねえ。てか、君ならあの2体壊せたでしょうになんでしなかったのさあ。」
すると男は頭を傾げて、
「美しいものを壊す趣味は私にはないので。」
ちょっとうれしくなった。そして体の感覚がなくなっていくとを感じながら、
「ちなみにあの2体は一応番のつもりなんだけど。名前はアダムとイブ。」
「それは失礼しました。私の観察眼もまだまだですね。覚えておきましょう。今度機会があったら鑑賞用に人形を作っていただいても良いですかな。」
「もちろんさあ。私結構腕がいいから高くつくよお。」
それがこの会場での私の最後の言葉であった。
次の瞬間プレイヤーのリスポーン地点にいた。どうやらファステリアではなく、クランハウスのある所みたいである。
「しまったあ、最初死ぬつもりなかったからリスポーン地点更新していなかったわあ。」
数秒肩を落として深くため息をした。
「面倒くさいけど、応援に向かってやるかあ。あいつ私がいないとめけたらすぐいじけるしなあ。」
そう言って立ち上がってこの街の転送装置へと走っていく私であった。




