始まり。
セブンのゆずレモンサイダーおいしいですよね。
夜の10時となり、挑戦状に書いていた時刻となった。社会人でもあるメインリーダー3人とうちのサブリーダーもどうにか間に合った。クラン戦の戦い方は基本的には挑まれた方が自由に選択ができる。今回ヴェニスが選んだ方法は外部協力ありの代表5人による勝ち抜け戦である。これには観に来ていた他のプレイヤーたちも驚いていた。なんせこの方法では奴らが唯一こちらを凌駕している人数を上手く活用できないからである。
「おかしいですね。」
俺たちは戦いの会場として指定された最初の町ファーステリアの闘技場の控室で会議を開いていた。
「そうだね。彼らの武器である数の有利を自ら捨てている。彼らに僕たちを倒せるような人材はいないと思うのだけど。」
使用するアイテムを整理しながら寂れた錆さんは苦笑いしていた。
「関係ないニャ。ひとまず全力で叩き潰すニャ。」
準備を終えたのかニャーサーさんは長椅子に寝転がって寛いでいた。
「そうだな。つっても今回俺には期待するなよ、俺は基本的に遠距離が専門なんだからよ。」
「「「いやいやいや。」」」
そうして雑談をしているうちに5人目が部屋に入ってきた。
「やあやあ諸君、このチームの紅一点が登場だよ、喜びたまえ―。」
「5人目はドールメーカーさんだったんですか。」
「おや、錆に聞いていなかったのかあい?」
するとドールメーカーさんは寂れた錆さんに視線を向けた。
「聞かれなかったからね。君が間に合うかわからなかったから、4人で行くかもとは伝えていたよ。」
彼は肩を竦めながら説明した。
「それで、間に合ったのかい?オリハルコンを用いた人形の製作には。」
「もちろんさあ。まあ、まだ試験運用の段階だがね。上手くいかないときはいつものを使うさ。で、開始10分前だが、順番は決めたのかい?」
「「「「あっ。」」」」
「はあ。きみたちって、バカだよね。」
順番はくじで決めることになった。決まった順番は先鋒ドールメーカーさん、次鋒旅人さん、中堅俺、副将寂れた錆さん、大将ニャーサーさんの順番であった。
「最初私かあ。まあせいぜい盛り上げてくるさあ。」
そうして俺たちは控室から出て、戦闘ステージへと向かった。
「ところでスカイ君、君今考査期間中だよね、大丈夫かい?他の2人は勉強中だろ。」
「ああ、峠は今日超えたので大丈夫ですよ。特に明日の教科は元々得意な2つなので。」
「そうか、ちなみに教科を聞いてもいいかい?」
「地理と現代文です。」
「ってことは君は文系だったか。」
「いえ、理系大学志望ですよ。」
「そうなのか。」
寂れた錆さんは少し困惑していた。
「ちなみに今日実施された教科は?」
「数学、化学、生物です。」
「スカイ君、受験大丈夫かい?」
彼は苦笑いしながら、心配していた。
「いやあ、親と担任にも心配されていますよ。」
こっちも苦笑いで返した。すると意外な人物が口を開いたのである。
「いいじゃねえか。自分のやりたいことを選んでも、まだ高校生なんだろ。子供の内だぜ、自分のできないことを選択して克服できる時間があるのなんて。大人なんて責任だらけで、自分の好きな選択を実行できる奴なんてほとんどいないんだからよ。できない分野なんて猶更だ。」
なんだかすごく実感のこもったアドバイスであった。
「安定志向も良いが、若いときは博打も味わっとけよ。修正を行いやすいのが若者の特権だからよ。でも、資格は持っておけよ。教師免許なんかいいぞ、ブラックだけどそれなりに貰えるし、くいっぱぐれることはないからよ。」
「は、はあ。」
いつもに増して饒舌な旅人さんに少し驚いた。
「ああ、すまんな。おっさんの長話に付き合わせて。まあ、公開しない程度には努力しろよ。」
「はい。」
「そういう君は何しているんだっけえ?」
ニヤつきながらドールメーカーさんが聞いていた。
「あっ?専業主夫だよ。なんか文句あるのか。」
「いやあ、何もお。」
「まあまあ、2人とも落ち着いてもう着くんだからそこらで話をやめようか。」
思わず錆さんは仲裁に入っていた。そうこうしているうちにステージに着いた。すでに相手の5人は付いていた。案の定5人とも現地人のようであるが、大将と思しき人物が他の4人とは明らかに見た目も雰囲気も違うのである。
「旅人さん、あの黒コートの軍服の現地人って知っていますか。」
思わず聞いた。
「いや、初めてのやつだな。」
「そうですか。」
観客たちの喧騒ですでに騒がしい会場に声が響いた。
「さあ、今からクランヴェニス対ディ・ナハト・デス・イェーガーによるクラン対抗戦を行います。私ファステリアの長であるアドスタ・イチゴウが視界を務めさせていただきます。それではルールの確認を今回は5人組勝ち抜き個人戦が採用されます。その名の通り勝者は負けるまでステージで戦いを続けます。そして先にメンバーで戦えるものが居なくなった方の負けです。それでは1戦目、クランヴェニスからはアンドリュー・ソーン、チームディ・ナハト…」
「ナハトでいいですよ。」
結構言いづらそうだったので、寂れた錆さんが助け舟を出した。
「それではお言葉に甘えてクランナハトからはドールメーカーが戦いに挑みます。」
呼ばれた二人はステージの中央に向かった。
「それでは戦闘始め!」
その合図とともに会場の喧騒が増したのであった。黒コートの人物に目を向けると拳銃を手にもって観察していた。現地人にとっても珍しいものであることには変わりないが、彼はどっから持ってきたのか、自分の座っているイスの前に机を置いて拳銃を分解していた。そして一つ一つのパーツを小学生が昆虫を見るようなキラキラした目で観察していた。そして満足したのか手際よく組み立てていた。現地人にもこの手の変人がいるとは驚きである。一方試合の方はというと、完全にドールメーカーさんの独壇場というか、試験場であった。オリハルコン製の人形もとい人型兵器は相手を殺さない程度に打ちのめしていた。そして操っていた本人は何かメモを取っていた。
「ふむふむ、耐久性は問題ないが、いささか反応が早すぎるなまだ改良の余地ありと。」
こっちにも変人はいたのであった。そのあとも彼女は2人目、3人目、4人目を難なくというか、実験台にして別の意味で危なげなく試合を終えた。そして問題の5人目との戦いが始まろうとしていた。
ドールメーカーは試作機とはいえ、人形には服を着せる人間です。大体アニメの美少女をモデルにしています。今回は某巨人を瞬殺してそうなゴリラ系ヒロインがモデルです。




