作戦会議。
春休みに突入しました。
それからというものの、敵にどうやって仕掛けるかが決まるまで薬品ギルドの人たちには戦闘行為が出来ないギルドホームに寝泊まりしてもらうこととなった。薬品製作に必要な材料はクランのメンバーが採取するといことで合致した。郊外の農園はというと、旅団と猫円卓の人たちが交代で24時間警護してくれることになった。薬品製作スキルを取得を条件に引き受けてもらった。
数日後、薬品ギルドの隠密作戦担当からレッドクランの調査報告書を受け取った。情報共有の為に薬品ギルドのホームに各ギルドとクランの代表者一名が集まった。基本は各自の長が出席するが、言い出しっぺであった俺は特別に追加で参加させてもらえた。
「皆さん今日は我がギルドのために集まっていただきありがとうございます。今回の司会進行を務めるキミアン・カーリーと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
局長は挨拶とお辞儀をし、各自もお辞儀を返した。局長にはあらかじめ同盟クランのリーダーの紹介は終えていたので、リーダーの自己紹介は省いた。
「それでは部下の報告書に目を通していただきたいのですが、今回我々薬品ギルドは商業系クランであるヴェニスに脅迫を受けている状況です。彼らの目的は推測となりますが、我々が製作する薬品などを安く仕入れて、利益を上げようとしていると思われます。」
「すまニャい、質問いいかな。」
手を挙げたのは、ニャイツ・オブ・ラウンズのリーダーニャーサーであった。
「彼らがわざわざ現地人の人たちを脅してまで、利益を上げる必要はあるのかニャ。」
「それはですね、」
局長は我々の方を見る。
「そこは私から説明します。いいですか?」
「ぜひお願いします。」
「別に構わないニャ。」
2人からの了承を得たので、寂れた錆さんは席から立ち上がって説明を始めた。
「端的に言うと、彼らは恐らくクラン上位を目指していると推測しています。このことを局長に伝えて今回の奴らの目的としてこの会議で出してもらいました。」
「ふむ。我がクランは戦闘系であるため、他の系統のクランの順位のげ上げ方についてよく知らなくてな、ぜひ説明してはもらえニャいだろうか。」
「わかりました。旅人さん、少し脱線しますがご了承ください。」
放浪者の旅団のリーダー旅人は腕を組んで黙ったまま首を縦に振った。
「ありがとうございます。もともと各クランには、自由な場所に拠点であるクランハウスを設置することが出来ます。そしてその後、毎週神納と呼ばれる各ギルドごとに異なる素材を指定されて、納めなければなりません。そして、ノルマを達成した後に余計に納品することで神評といわれるクランの評価が上がり、これは全クラン共通の順位のあげ方です。その一方で、クランの系統によって、神評のの上げ方は異なります。その中でも、商業系のクランはその月の商売による総売り上げだけが神評上昇につながります。」
「ニャるほど、だからヴェニスというクランは価値の高いこの薬品ギルドの商品を安く仕入れるために、無理やりにでもこことつながろうとしていたのかニャ。」
ニャーサーさんは頷きながら納得していた。
「恐らくは。では話を戻します。こことのつながりを持つためには、まずその同盟である私たちのクランが邪魔になります。しかし、我々は13位のいわゆる上位のクランであり、戦闘だけでいうと、恐らく全クランでトップであります。」
「それ自分で言って恥ずかしくニャいのか。」
ため息をつきながらニャーサーさんは寂れた錆さんに言った。
「まあ、多少は。」
彼は頭を掻きながら答えた。
「まあ、実際そうであるから文句は言えニャいニャ。悔しいけれども。」
またため息をついた。寂れた錆さんは苦笑いしながら続けた。
「そこで薬品ギルドから我々との同盟を解消させるために、最近脅迫まがいのことを始めたというわけです。そこであなた方の協力を得て、薬品ギルドの方たちを警護しているのが現在の状況です。では局長、報告書の説明をお願いします。」
「はい。」
局長は立ち上がって、報告書に目を落とすように促した。
「部下の報告ではヴェニスとつながっているレッドギルドは主に名の知れたギルドの元メンバーで主に構成されていたとのことです。」
「いわゆる排除派と呼ばれる現地人たちか。」
ここまで黙っていた旅人さんが一番に思い至って、口に出した。
「はい。あなた方プレイヤーの皆さんがこの地に現れてから、我々の生活の水準が用方向に変わった反面、我々現地人の中には仕事を失うものもいました。主に、これまで護衛や、害獣の討伐で潤っていたいわゆる戦闘系クランの者たちです。」
「そう、奴らはを筆頭に我々を排除しようとする現地人が少しずつ出てきた。そいつらが自ら排除派と名乗るようになり、街の内外関係なくプレイヤーを襲うようになった。そして、街中で現地人を攻撃すると、罪値が溜まる。そして罪値を溜めるわけにはいかないプレイヤーは簡単にやられていった。しかし我々は死んでも各街の大樹の元で蘇るため、排除することはできなかった。」
「しかし、他の問題が発生し、排除派とプレイヤー間での対立につながったと。」
旅人さんは局長の言葉にうなずき、説明を続けた。
「そう、街中でプレイヤーが死ぬとストレージに入れていない装備や、アイテムがその場に残され排除派がそれを奪うことが出来ることが発生した。もちろん、奪われた側がそれらを取り返そうとして奴らを攻撃しても、罪値が溜まるため殆どの奴は泣き寝入りした。中には罪値を気にせずに奴らを殺して装備を取り返す奴もいた。」
部屋は静まり返った。
「詳しいですね。」
気になって思わず質問した。
「ああ、その連中は主に俺たちのクランだからな。うちが拠点を持たないのも、排除派とよく揉めているからだ。うちの連中は殆どがレベルを気にせずに罪値と引き換えてるやつらばっかりだが、一部はレベリングが追いついておらず、罪値と引き換えることが出来ないやつもいる。メンバーを放任しすぎたツケが回ってきたということだ。」
「それにしては、イベントにはいつも参加していますよね。とくに戦闘系の大会には。」
恐る恐る聞いてみた。すると旅人さんはあごに手を当ててニヤっと笑い、
「いやあ、うちのメンバーは基本バトルジャンキーでな、イベントの一週間前にはメンバーのレベリングのために集まってレベルを上げさせているのさ。うちのクランの独自のノルマみたいなもんだよ。」
その時俺は感じた、この人が一番バトルジャンキーなんだなと。
「つ、続けてもよろしいでしょうか。」
局長はすっかり怯えていた。あとから聞いたら、脅されるよりも変態を間近で見た方が恐怖を感じたのこと。
薬品ギルドは、森で採取をしたり、ライバルギルドとの抗争があるため、戦闘を行える人材は一応います。ごく一部のメンバーですが。
神評の上げ方
共通:ノルマが完了し、余計に納品するアイテムの希少度と、量。
戦闘系:1か月に一度行われる大会の順位。
製作系:日々製作するアイテムや武具の量や、その質。
商業系:その月の総売り上げ。
排除派のほかには、プレイヤーを喜んで受け入れてくれている共存派と、歓迎はするがプレイヤーを下に見ている至上派がいます。




