モモちゃんとラル03
いつもの朝の魔なび舎。修練時間には少し早く、全員はまだ揃ってはいなかった。そんな中、早めに来ていたモモちゃんが背中越しにトモミに話しかけてきた。
「トモミちゃん。モモちゃんは、あたらちいまほうをおぼえまちたよ」
「え⁉︎」
トモミは突然言われたので反射的に振り返ってしまった。その勢いで、危なくモモちゃんに腕がぶつかりそうになった。
「きゃ」
「あ、ごめん‼︎……大丈夫、モモちゃん⁉︎」
「へいきですよ。トモミちゃんはわるくないですよ」
「おいトモミ‼︎ 今のは危ないだろ。モモちゃんになにする気だよ⁉︎」
モモちゃんの悲鳴を聞いて、慌ててゲンキが突っかかってきた。
「ごめんごめん。いきなりでびっくりしたんだよ」
「どうしたんだよ、いったい⁉︎」
「モモちゃんは、あたらちいまほうをおぼえまちたよ」
「え〜〜⁉︎」
「おぉぉぉ〜〜」
来ているメンバーが一斉にモモちゃんの周りに集まった。
「ど、どんな魔法なの⁉︎」
「つか、モモちゃん。いつの間に新しい精霊と契約したの⁉︎」
「……せいれいさんとは、けいやくちてないです」
「ん⁉︎ んじゃ、なんで魔法覚えたんだろう⁉︎」
「同系の魔法じゃない、それなら説明はつくけど」
「ね、ね、モモちゃん、今やって見せてよ」
「あい、わかりまちた。やりますね」
みんなが真剣の顔をして皆守る中、モモちゃんが魔法を発動しようとする。……しかし、どうもモモちゃんの顔がうかない。
「……あれ⁉︎ あれ⁉︎ ……できなくなりまちた。どうしてかなぁ〜」
「ん⁉︎ どんな魔法なの⁉︎」
「んとね。モモちゃんのまほうはね……げんきになるまほうでちゅ」
「……そ、そうなんだ(意味がわかんね)」
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その日は、午後になってミトさんとカミュールさんが魔なび舎に来てくれた。そしてモモちゃんの魔法の件に関して2人に相談してみたのだ。
「ね、ね、モモちゃんの新魔法ってなんで出来ないの⁉︎」
「あたらちいまほうが、できなくなってちまいました」
「ミト母さん、モモちゃんの新魔法には何か発動に関する条件があるんでしょうか⁉︎」
カミュールさんが心配そうにミトさんに尋ねた。
モモちゃんだけでなくみんなの心配そうな視線がミトさん集まった。それに対してミトさんはモモちゃんの顔を少し伺っただけで、安心した素ぶりを見せた。
「……心配するはことないね」
「まぁ〜よかったわ」
カミュールさんがホッとしたのを皮切りに、みんなの表情も緩んだ。
「あれだけの魔法だからね。そりゃ当然発動条件はあるだろうさ。むしろ無条件であんな魔法を頻繁に使用していたら、モモちゃんじゃなくても体がもたないからね。おそらくそのあたりの縛りだとは思うね」
「ということは回数制限や時間制限かもしれませんね!?」
「おぉぉぉ〜そんなすごい魔法なの!?」
「いいかいモモちゃん。みんなに見せたい気持ちはわかるが、まだ発動条件が正確にわからない魔法なので気をつけるんだよ」
「あい、わかりまちた」
「まぁ〜可能性の大本命はカミュールもわかっているんだろ⁉︎」
「そうですよね。やっぱりアレしか考えられないですもんね」
「なに⁉︎ なに⁉︎ アレってなに⁉︎ つか、なんでそんな回りくどい言い方をするの⁉︎」
「……あ‼︎ モモちゃんもわかりまちた」
「なに3人で納得してるの⁉︎ こっちは歯がゆくて、ムズムズしてるのに」
「どのみち今日はもう無理さ。明日以降調整して見るから、それまでの楽しみにしときな。それより、あんたたちもうかうかしてられないよ。モモちゃんの成長は私の想像をどんどん超えているんだ。下手するとあんたら、全員おいつけないところまで差が広がるよ」
「マジかぁ〜〜」
「ボクはモモちゃんには、負けないよ」
「さぁ〜昨日のチェックをして、それを活かして今日の修練に繋げるよ」
モモちゃんの魔法は見れなかったが、みんながいつもよりテンション高めなのはお互いが感じていたはずだ。同学年での抜きん出た才能や成長具合を目の前で見せられた時、それは才能の差として受け取る連中がいるだろう。『所詮あいつは天才だよ』と最初から諦める者もいるかもしれない。
ところが仮に兄弟で幼少時からどのジャンルでもいいが、同じ道を歩んでいたとする。弟は兄に憧れ、兄は弟に負けまいとする。その関係性は天才とか才能とかは問題ではない。これはお互いの『負けたくない』というプライドの問題なのだ。ラストリンカーのみんなは兄弟ではないが、同学年ではなく年がみんなバラバラで、まして一番年下で6才のモモちゃんのここまで頑張っている姿を見て、他のメンバーが奮起しない方がおかしい。まさしくみんなは切磋琢磨にふさわしいベストメンバーなのだ。




