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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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勝利の余波05

 大精霊祭の再開から遡ること3時間……サウスクラウド国軍_前線基地においても慌ただしくなっていた。



「ガガビー様‼︎ 先行偵察部隊からの報告です。野盗連中の侵入は全て失敗に終わりましたとの事です」



「レクス、そんなことはどうでもいい。知りたいのはその先だ‼︎ 野盗どもはどうなった⁉︎」



「はい、偵察班によるとミストラル襲撃の約2時間後の時点で全員の生存確認が途絶えたとの事です」


「……なるほどな。まぁ〜そんなもんか」



「え⁉︎ え⁉︎」


「では、偵察班を至急呼び戻せ‼︎ そしてここにもう用はない。同時に、守衛団部隊も全員に帰還準備に取り掛かるように伝えろ‼︎ あと魔法処理班はここ一帯の痕跡を消す作業もだ。尚、出陣準備していた連中は、当初の帰還指示に従い3隊に分散して、帰路を複数に分けろ。以上を直ちに伝え実行に移せ‼︎」


「え⁉︎ ……出陣はしないのですか⁉︎ このままミストラルに攻め込まないのですか⁉︎」



「バカかお前は‼︎ 無駄にこちらの戦力を投じるわけがないだろ。準備はフェイクだ。野盗どもを本気にさせるためのな。犬死は奴らだけで充分なんだよ」


「……そうでしたか。そこまで考えが至らず、申し訳ありません」


「もう行け‼︎」


「はっ」




 レクスが退席する際のなにやら歯切れの悪そうな足取りや扉を閉める音にすら、ガガビーはより一層の不快感をつのらせた。と言うより、もはや怒りが込み上げてきて仕方なかった。


「無能め‼︎ このくらいの事は、我輩の指示なくても全部やるのが『補佐』の役目だろう……その役職は『飾り』か‼︎」


「まぁまぁ〜、お怒りもその辺で」


また、どこからともなくフルネルが出てきて、ガガビーをいさめた。



「おそらくナイテスは、我輩が本当に攻め込むと思っていたんだろう。そして少しでも戦力を失うもんなら、ここぞとばかりに今回の失態における説明責任を求めてくるつもりだったんだろうが……そんな手に乗るか‼︎」


「あの方は、国王にベッタリですからね〜……他人の失敗談が大好きなんですよ」


「どいつもこいつも、少しは考える事をしないのか⁉︎ 言われた事だけをハイハイ従って、顔色ばかりうかがいよってからに……目の前の事ではなく、一手二手先を読む者はいないのか⁉︎」


「ガガビー様、それは高望みしすぎだと思います」


「元々、野盗なんぞに用はないんだ。ただ無駄に始末するのは面白くない。せめて何かの役に立ってもらう……その程度の事だったのだ。だからこそ今回この計画は、まさに渡りに船だった。奴らは我輩の役に立ったのだから、本望だったろうさ」


「確かにその通りなんですけど、そこまで言うと身もふたもないですねぇ〜」


「ところで偵察隊から上がってきたこの結果をどう見る、フルネルよ⁉︎ ここは、解析班次長の腕の見せ所だぞ‼︎」


「それ以上、褒めても何も出ませんわよ。……ただ本来、解析班の見立てでは深夜まで……つまり50時間の魔法持続効果を見越していました」


「なるほど、しかし実質は45時間。まぁ〜初回だし、誤差としては及第点といったところか」


「手厳しいですわ〜。まだまだ研究の余地があるという事ですねぇ〜。また忙しくなりそうですわ」


「その通りだ。たとえ『使い捨て』戦力だとしても実働が45時間では短すぎる。せめて本国から他国への移動時間も考慮して、120時間くらいにはしろ‼︎」


「現状問題、制約時間と魔力パワーのバランスがテーマなんでですよねぇ〜。契約時間を長くすればパワーは減ってしまう。パワー重視ならリスクが大きすぎてしまう。……最後まで調整したのですが、どうしてもその辺りが悩みどころなのです」


「シミュレーションと実践では誤差が出るものなのだ。実際、今回は5時間も見立てがずれた。だが、こんな誤差を怒るほど我輩は、器の小さいの人間ではない。むしろこういう誤差を初期段階で知る事が大事なのだ。それだけでも今回の作戦は成功だともいえる」


「寛大な処置に、感謝しますわ」


「フルネルよ、今回の結果をかてに必ずや解析班が新魔法を完成させろ‼︎……そして我輩はその力を持って、いずれ国王を超える‼︎」

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