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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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勝利の余波04

 街はほぼ元の状態に戻りつつあった。奇襲の予測が出来た分、戦闘においても有利に進める事が出来たし、戦闘後における事態収束の段取りも手筈どおり迅速に行えた。そして再発の危険はないと判断した上層部は避難解除を出し、警備も通常に戻した。それと共に大精霊祭の再開を進めた。


ただ、誰もがどういうモチベーションで祭りにのぞむべきか迷っていた。予測していたとはいえ、少なからず恐怖や不安を感じた住民や観光客がすぐ気持ちを切り替えて、盛り上がれるはずはない。実際、静寂の方がまさっていた。


ところが次第に不安が薄れていくと、今度は野盗たちを撃破したといういわゆる勝利の実感が湧いてきたのかもしれない。次第に、拍手や勝利の雄叫びが聞こえ、それにつられ大精霊祭の準備にも熱が入ってきたのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 モモちゃんが落ち着いた頃を見計らって俺たちは大精霊祭が再開されるパークに向かった。カミュールさんやアギト君とはあらかじめ集合地点を決めておいた。少し遅れてモモちゃんと俺たちはみんなと合流し、一緒にこの祭の続きを見入る事にした。パークに向かうに連れて混雑が酷くなり、ラルを背中におんぶするのは危険だと思いずっと抱っこをしていたのだが、祭そっちのけでモモちゃんが興味津々にラルを見ている。



……先ほど俺はモモちゃんに『死』の話をした際に、同時に『生』の話もしてあげた。『死』は悲しいことかもしれないけど、その代わりに『生』は素晴らしい事だと伝えたのだ。ラルは赤ちゃんだけど『生きたい』と願ってここ来た事をモモちゃんに伝えた。それからモモちゃんはラルが気になって気になって仕方ないらしい。ラルの手を握ったり、足を触ったり、声をかけたり……何度もコミュニケーションを取ろうとしていた。


「モモちゃん‼︎ モモちゃん‼︎あとでまた、ラルのおせわをしてもらいたいので、いまはみんなでおまつりをたのしもうね〜」


「やったネ‼︎ モモちゃんがラルくんのおせわをたくさんちます」


「あ〜僕もラル君とお話したい〜」


「ラルはまだ喋るわけないじゃん」


「え⁉︎ そうなの⁉︎」


「アハハ……そうだね。まだラルは喋れないね」


「そうなんだぁ」


「ラルは後でみんなにお世話してもらうから、いまは祭をみよう」


「あ〜ぃ」


「わかったよ」




 もう、完全に日が暮れていた。日中と比べ夜になると、精霊はより発光を強くし、精霊同士のバトルはまるで無数のホタル火のように、幻想的な世界へといざなってくれた。



「綺麗ですね〜」


「夜になると、余計にそう見えるよね〜」


「トウタさんの混血魔法【ミリオンブラッド】みたいだね〜」


「あ、俺もそぉ〜思った」


「……規模が全然違うけどね。俺の光の粒は流石に10万もないよ」


「でも、私は師匠のミリオンブラッドの方が好きです」


「モモちゃんもトウタおにいちゃんのまほうのほうがすき」


「おい‼︎ モモちゃんは俺たちのアイドルなんだからなぁ〜。トウタは調子に乗るなよな」


「わかってるさ。そしてそんなに掴んでくるとラルが起きちゃうよ!!」


「あ、ごめん」


「さぁこの幸せな時間を胸に刻もう。そして、この綺麗な景色を堪能しよう」


それに対し、アギト君が不安そうに質問してきた。


「……あの〜トウタさん。なんか格好いい言葉で締めようとしてますけど……うちらにしてみれば、確かにあの精霊たちの動きは綺麗ですよ。でも精霊たちからしてみれば、壮絶なふるい落としですからね。大精霊になりたくて闘志むき出しのサバイバルですからね。そこまで楽観視していいもんですかね〜⁉︎」



驚いた事に、いきなりミストさんが話に割って入ってきた。


「いいんだよ。素直に楽しんで‼︎ 本気になるのは精霊達だけでいい。見る方はそんなに難しく考えなくてもいいんだよ‼︎」




「え⁉︎ ミストさん⁉︎……なんで、こんなとこいるの。ずっと主賓しゅひん席にいたんじゃないの。つか、抜け出してきて大丈夫なの⁉︎」


「細かい事を気にするんじゃないよ。もうお役御免なんだから、いいじゃないか。少しくらい」


「はぁ〜、そうですかぁ〜……あっ‼︎ 二代目のお勤め、お疲れ様でした」


「アギトは、なにバカな事を言ってるんだよ。あたしは何も疲れちゃいないよ。これからなんだよ‼︎」


「いや、わかっていますけど。……一応、礼儀とか建前とかあるじゃないですか」


「そんなところに気を使うなら、魔法に気を使いな‼︎……心配しなくても、また明日からビシビシいくよ‼︎」



「ぐは、マジですか〜⁉︎」


「アハハハ」

「フフフ」

「アギトは、だせ〜〜なぁ」


 こうしてその後の大精霊祭はとどこおりなく進み、精霊試験、人気投票を経て無事三代目大精霊が誕生した。投票は伝達魔法【ネクストコール】集計なので、即時に結果が出た。同時にミスト(サイレントガードナー=ミストラル)さんは、この祭を持って権限と名を譲った。文字通り、時代が移り変わった瞬間だった。


余談だが、ミストさんは三代目にミストラルの名前を譲った事で、自分の名前を『ミト』と改名した。


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