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聖夜の贈り物  作者: 青空晴夏、ataru、小倉秋奈、しゃーな (※敬称略)
4/4

翼がくれたプレゼント ≪友人≫

最後は友人がテーマです。

↓どうぞ

「司ってさー、クリスマス暗いよねー。」

「えーそう?でも…少しは憂鬱かな。」

「何々ー?」

「もう長い付き合いだし、奈々には教えてあげる。あれは、8年前のクリスマスイヴ―。」


これは、私の後悔の物語。

そして、彼女の最後の物語である。


いつもの朝。

1-Cと書かれた教室に入って、一際目立つ翼のところへ向かう。

「お、おはよ、翼。」

「あ、司じゃん!今日遅かったね、どうしたの?」

翼はいつも私に優しくしてくれた。

「お弁当作るの遅くなっちゃって…。」

「そっか。でもその分美味しいからいいんじゃない?今日もくれる?」

「もちろん!」

笑顔で可愛い、私の友達。

そう…たった1人の。

中学1年生の秋。翼が転校してくるまで、私はいじめられていた。もう何もかも嫌になりそうだった。

でも翼はそんな世界から私を助けてくれたんだ。

「あ、夏海!」

「おは…よう。翼。」

私を見て、言葉が詰まる。

七瀬さんだけは、まだ無視を続けている。仕方ないのだけれど。高校になっても、それは変わらなかった。

「今日の宿題やったー?」

「あ、やばい―」

早いうちに離れなきゃ。


昼休み―

「つーかーささん!」

不意に後ろから掴まれる。振り向くと…。

「翼。」

満面の笑みを浮かべた翼がいた。

「一緒にご飯食べよ?」

「うん。」

「寒いから今日も教室でいい?」

「う、うん。いいよ。」

教室だと、七瀬さんがいるからあまり気は向かないが…翼がいいならそれでいい。

「あのさ、翼。」

「んー?」

「今年、クリスマスイヴ一緒に居られる?」

12月24日、クリスマスイヴは私たちの誕生日だった。偶然同じ誕生日だった時は運命すら感じた。毎年一緒にお祝いしていた。

「あー…ごめん。今年は無理。」

…え?なんで?

「そ、そっか。大丈夫だよ。」

大丈夫、とは言ったものの、何でか気になって仕方なかった。

ああ、翼の事だから彼氏でも出来たかな。

…それとも、夏海たちとつるむ方が正解だと思ったのかな。私の事を見捨てたのかな。

嫌な思考が頭を駆け巡る。こんなこと、考えたくない。

「あとさー、もうご飯一緒に食べられないかも。夏海たちがうるさくてさぁ。」

まさか、本当に?嘘でしょ?

「どうして急に?」

私なんかが図々しいのはわかってる。

でも、気になってしまうのだ。

「…司には関係ないよ。」


『関係ないよ。』


その言葉が、突き刺さった。

「わかった…。」

その時食べたご飯は、味がしなかった。


12/22―

あれ以来、ずっと翼の事を避けてしまっている。翼もだんだん、私のことを避け始めた。翼を避けた私はもちろんながら夏海たちにいじめられた。

でも、自業自得だ。翼を避けているのは私なのだから。

「今日は今年最後の登校日お疲れ様でした。それでは、良いお年を!号令ー。」

翼と、仲直りできないまま終わってしまった。

「「「さよならー。」」」

ぼーっとしたまま、家に帰る。

何もしたくない…。

いつも楽しみにしている、クリスマスイヴ。その日すら今年は憂鬱だ。

私が居る意味って…何だろう。

存在意義がないように思えて、辛くなる。

翼がいなきゃ、クリスマスなんて楽しくないよ。

また、何もかもが嫌になってしまいそうだ…。

「はぁ…。」

ピーポーピーポー…。

救急車…?何故か、嫌な予感がした。

考えないようにしよう…。今日はもう、疲れてしまった。

その日、私は倒れるように眠った。

一本の電話が入ったことに、気づかぬまま。あの時、気付いていれば…私は…。


翌日―

「あー…休みでよかった…今10時じゃん…。」

誰も聞かない、独り言。

私の両親は早くに亡くなった。

中学生までは施設で過ごし、今は一人暮らしをしている。

たった一つの心の拠り所。それが翼だったのだ…。

考えないと思っても、結局考えてしまう。

「ご飯食べよう。」

準備を始めようとした時だった。

電話のランプが付いていることに気がつく。

うちに電話なんてしてくるのは翼くらい。

とりあえず、聞いてみるか。

留守電は二件入っていた。

『○○新聞のものです。新聞はいかが…。』

宣伝か。これはもう一つも宣伝かな。

『足立さんのお宅でしょうか。篠原翼の母です。今すぐ××総合病院へ来てください。』

翼のお母さん?確かに声は同じっぽかったけど…。

騙されてる気がしてならない。行かないでおこう。

本当にまずいなら、また連絡が来るだろうし…。

翼が少し心配になるけれど、騙しの可能性が高い…。

しかし、その連絡は昼、夜も来た。

そして翌日も同じように連絡が来た。これは…本当?

少しだけ、少しだけ様子を見るつもりで私は病院へ足を進めた。


病院・ナースセンター前にて―

「すみません、篠原翼さんの病室はどこでしょうか。」

「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「足立司です。」

「少々お待ちください。」

どうせ、いるわけないのに…申し訳ない。

「足立さん…大変申し上げにくいのですが…。」

「何ですか?」

「篠原さんは、昨日お亡くなりになられました。」

翼が…死んだ?嘘でしょ?

「嘘言わないでください、昨日まで…!」

「司ちゃん!」

「翼のお母さん…。」

「看護師さん、すみません。」

おばさんに連れられ、病院を出た。

「急に呼んだりして、ごめんなさい。」

「いえ…翼が亡くなったって、どういうことですか?」

「あれは…本当よ。」

おばさんの顔は本当に辛そうだった。

「でも、何で…。」

「翼は、病気を患っていた。ここに引っ越してきた理由は、安静にするためにのどかな場所に来たかったのよ。けれど、よくはならなくて…。高校に入る前の診断で余命は3年と言われていたわ。」

そういえば、翼は一度も体育に出ていない。怪我をしていると聞いていたけど…。あれは嘘だったってことか。

「ときどき翼は発作が起きて倒れてしまうことがあるの。いつも司ちゃんと帰ってるって聞いてたから倒れても私に連絡出来たり、色々対処のしようがあったの。本当は送り迎えしたかったけど、翼はそれを拒んでいたし、ここ最近落ち着いていたからすっかり安心してしまっていて…。昨日帰り道に倒れてしまってそのまま車に轢かれてしまって…!」

そのまま、死んだってこと…?じゃあ、あの救急車は―!

「これ…。」

おばさんの手には、『司へ』と書かれた手紙が握られていた。

私はそれを開き、読んでみた。


『司へ

この手紙は、高校に入る前に書いています。

今司がこの手紙を読んでいるということは、もう私は死んじゃってるんだね。

病気のこと、ずっと話していなくてごめんなさい。

司に心配をかけたくなかったんだ。司は優しいからきっと自分のことのように心配しちゃうと思ったの。

私はもう、卒業するまで生きていられるかわかりません。

自意識過剰だったら嫌なんだけど…今の司には私しかいないから。

その状態で私が司の前からいなくなったら、司はまた一人になっちゃう。

そんなの絶対嫌なの。だから、高校に入ったら1年は一緒にいるけど、もうあまり関わらないようにしようって思ってるんだ。本当はずっと離れちゃった方がいいんだろうけど…。

1年は、私のワガママ期間ってことで(笑)

クリスマス、今年からは一緒にいてあげられなくてごめんね。

あと、夏海達にも司をもうからかわないように頑張って説得しておこうと思うんだ。

できるかどうか自信はないけど、出来る限りのことはするよ!』


私との思い出や、沢山の想いがそこには綴られていた。


『司は今、幸せですか?

私が頑張った意味はあったかな。

本音を言うと、もっと司と一緒にいたい。

色んなところに行きたいし、色んなことしたい。

まだまだ生きていたい。でも、この少ない命を司の幸せに変えられたのなら私は嬉しいよ。

司は本当は強い人だから、絶対大丈夫だよ。

司、大好きだよ。私の分まで、精一杯生きてください。

翼より』


私は、涙が止まらなかった。


新学期―

「篠原が転校した。皆、最後の挨拶ができなかったが―。」

翼は転校したということになっていた。

「おい。」

この声は…七瀬さんだ。

「あんた、翼がいなくなった原因じゃないの。」

「あー、喧嘩してたもんね。」

私は、大丈夫。そうだよね。

「言いががりつけるのやめてよ。私は違うからっ…!」

「はあ?司のくせに生意気なんだよ。」

そう言って不服そうに七瀬さんは去っていった。


今でも忘れられない。あのクリスマスイヴ、翼は私に『勇気』という自由への翼をプレゼントしてくれたのだった。

「メリークリスマス、翼。」

真冬の雪空に、私はそうつぶやいた。

こちらの作者は…青空晴夏さんでした!

ありがとうございました。

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