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第86話 大部屋なんですけど、個室…まだ空いてますか?
大部屋を出て、エレベーターに向かう途中にナースステーションがある。
「あ、こんにちは。すみません。あの……B室にいる者の娘なんですが」
「はーい。どうされましたか?」
若い看護師さんだったが、その話し方から、仕事ができそうな印象を受けた。
「大部屋から個室に移動することって、できそうですか?」
「なるほど。何かありましたか?」
「いえ、あー……ありますが、個人的なことなので……」
「そうですか。個室は空きがあれば入れますが……んー、今はちょっと難しいかもしれませんね。確認してみますが……」
「わかりました。私はもう出なければいけないので、明日、母に伝えてもらえますか?」
「はーい。わかりましたー」
「ありがとうございます。失礼します」
ここの個室は高いことで有名らしい。
それなのに、なかなか空きがない。
みんな、お金があるんだなぁ……という印象を受けた。
まぁ、うちはお金がある家ではない。
できれば大部屋にいてほしいものだが、本人が個室に移りたいと言っている以上、どうしようもない。




