↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生100年時代だっていっただろうが! 〜母という異世界生物観察記録〜  作者: 目立拓奶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
75/87

第75話 情緒がおかしい娘

完全に情緒が狂ってしまった私は、自分の膝を叩いて気合を入れた。


何度か瞬きをすると、目元が湿っていた。


しかし、そろそろ面会時間も終わってしまう。


そうしてカフェを離れようとしたとき、長身で胸板の厚い、見るからにエリートっぽい好青年が現れた。


「お忘れ物じゃないですか?」


彼が指さす方向を見ると、私は大人のおもちゃとシャンパンが入った紙袋を、思いっきり椅子の上に置きっぱなしにして立ち去ろうとしていた。


中身は見えないはずだ。


しかし、この中にあんな卑猥なものが入っていると思うと、急に恥ずかしくなった。


「す、すみません! 本当にすみません!」


そう言って紙袋を奪い取るようにして、足早にその場を去った。


恥ずかしい! 私のじゃないのに!


すべて、あの母がいけないんだ。


私にこんな屈辱的な思いをさせて!


私の怒りはガソリンのように燃え上がった。


そして私は、これまで出したことがないくらいのスピードで病院へ走っていった。


目がガンギマリだったからか、それともあまりのスピードだったからか、病院の入り口で警備員に止められた。


「すみません、すみません。検温してください。あと、消毒も。マスクは?」


「あっ、えっ、あっ……」


またしても意味の分からない声を出しながら、言われたことにひとつずつ対応していく。


ようやく準備が整い、母のいる病棟にたどり着いた。


ナースセンターに行き、面会用のシートに記入する。


「面会は一回30分までなんですが……本日は、すでにいらしていますよね……?」


そうか。


私は、まったくそのルールを理解していなかった。


「あの、荷物を渡したいだけなんですが……」


「それでしたら、お預かりしましょうか? 中身は何ですか?」


「いやいやいやいやっ! あっ、いえっ、私が食べますから、入れてください。すみません」


自分でも何を言っているのか分からないことを口走ると、看護師さんは首をかしげながらも、「どうぞ」と言うように合図を送ってくれた。


私は改めて、母の病室の前に立った。


深呼吸をする。


開ける。


入る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。