第73話 さらば、秋葉原の大人のおもちゃ屋さん。
母の「シャンパンが飲みたい」という気持ちは、本当だったようだ。
しかし、シャンパンを買っていったら、主治医に何と言われるか分からない。
かといって、シャンパンを買わなかったら、どうなるか……。
やはり、次はシャンパンを買わなければならないな。
そんなことを考えていると、店員さんが声をかけてきた。
「あのー……。大丈夫デスカ……?」
おっと、いけない。
まだ会計の途中だった。
後ろには、3人ほど並んでいる。
どうやら、さっき隣で店員さんおすすめの大人のおもちゃを購入した男性は、とっくに退店したようだった。
「あ、包装紙、リボン……いろいろアリマス」
そうだった。
私は母に、ベストセラーの大人のおもちゃを購入しようとしていたのだ。そして今は、ラッピングについて考えなければならない。
今日の私は、どうも様子がおかしい。
普段ならピンク色を選びそうなところだが、先日買った黄色いニット帽が忘れられず、黄色い包装紙に黄色いリボンを合わせることにした。
「メンカラ……デスカ?」
「はいっ? メン、メンラ??」
「アッ、いやっ、ダイジョウブです」
やはり、外国の方なので、少しコミュニケーションに困ることもあった。
それでも、とても可愛らしい女の子だったし、この子と一緒に選べてよかったと思う。
まぁ、このおもちゃを使うのは、うちの母なんだけどな……。
そんなことを思いながら、私はクレジットカードのタッチ決済でおもちゃを購入し、店を後にした。
「アリガトウゴザイマシタ! また、来てクダサイネ」
最初は情報量が多すぎてパンクしかけたが、今となっては、ぜひまた来たいと思えていた。
可愛い店員さんのパワーは、すさまじいものがあるのかもしれない。




