第71話 即イキおもちゃとおまけのローション
とにかく頭が痛くなってきたし、意味も分からない。
そもそも、何がどうなって「即イキ」なのか、知りたいとも思わなかった。
「じゃあ、それをひとつ……」
私はもう、HP3の瀕死状態だった。とにかく、それを買うことにした。
「承知シマシタ! レジは……あっ、アチラです」
そう言うと、店員さんは指先をピシッとそろえ、レジの方向を指し示した。
だが、私はもう元気がない。
なんだかフラフラしながら、レジに向かって歩いていく。
「あっ、ココ、ショルダー、ショルダー」
大量のアダルトグッズに囲まれ、意識も朦朧としている。歩くのが精いっぱいの私に、店員さんは自分の肩を使うように促してくれた。
情けない。
しかも、こんな情けない思いをして買うのが、入院した母へのプレゼントなのである。
意味不明だし、情けない。
「あっ、並んでマス……。私、打ちます。コッチ」
レジが思いのほか混んでいたため、店員さんはひとつレジを開けてくれた。
「……ピッ。えー、2,500円デス。ローション、オマケデス。」
商品のバーコードを読み取りながら、自分の口で「ピッ」と言う店員さん。
可愛いなぁ。
「え? ローション?」
私は急に我に返った。
「あっ、ハイ! ツカッテクダサイ!」
ローションって、あの、よくお笑い芸人が大量のローションまみれになって滑ったり、相撲をしたりしている、あのローションか!
すごい!
私のHPは10回復した気がした。
瀕死状態を脱出したのである。
「あ、ありがとう」
照れくしそうにそう言うと、隣のレジで会計をしていた男性が、怪訝そうな顔でこちらを横目に見てきた。
店員さんが商品をそのままグレーの袋に入れようとしたので、私は慌てて止めた。
「あっ! すみません、あのっ、あの、これプレゼントなんです」
そう言うと、金髪ボブの店員さんは驚き、申し訳なさそうに謝った。
「あっ、プレゼント……! シツレイ……シマシタ……!」
そう言って、包装紙をいくつか見せてくれた。
「イロ、アリマス。リボン、アリマス」
包装紙もリボンも、いくつか種類があり、それぞれ色が違っていた。
何色にしようかと悩んでいると、金髪ボブの店員さんが私にそっと耳打ちした。
「トナリノヒト、私の……オススメ、カッテマス」
私はプレゼントらしく包装紙を選んでいた。
それなのに、突然、さっきまでの世界に引き戻された。
そして、なぜか強烈な興味が湧いてきた。




