前へ目次 次へ PR 57/69 第57話 本人が一番よく分かってるから 体感5分ほどして、エレベーターが到着した。 母はエレベーターに乗る時、ぶつぶつと何やらつぶやいた。 「一階?」と私が聞くと「いや、5階。」 え?ここ6階だけど…なんでエレベーターに乗った?と思わず首を傾げた。 昔は階段を二段飛ばしで駆け上がっていた人だ。 よく家の階段で煽られたものだった。 彼女は少しずつ身体が言う事を聞かなくなってきたことを、自覚しているのかもしれない。 わたしは今日、突然母の老いを不意に何度も実感してしまった。