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人生100年時代だっていっただろうが! 〜母という異世界生物観察記録〜  作者: 目立拓奶


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第48話 母のやりたいこと1/100 「高級デパコスを買う」

子どもを自転車に乗せ、保育園まで送り届けた。


「おはようございます。今日も体調はお変わりないですか?」


「はい、元気です。よろしくお願いします。」


ほぼ毎日同じやり取りをしている。


保育園には感謝しているが、人とコミュニケーションを取るのが苦手な私は、この毎朝の確認を少し億劫に感じることがある。


軽く会釈をして自転車を漕ぎ出した。


向かいから同じクラスの子が登園してくる。


保育園にはイスラム系のお子さんや東南アジアから来た子たちもいる。


先生はその保護者にも同じように


「お変わりないですか?」


と声をかけていた。


そしてやはり、


「ハイ、アリガトウゴザイマス。」


と返事が返ってくる。


本当に何か伝えたいことがあるのではないかと時々思うが、込み入った話をしているところは見たことがない。


そんな時、母から電話がかかってきた。


「この間はありがとう。」


母が私に「ありがとう」と言うのは珍しい。


「あんた、百貨店で化粧品買ったことある?」


「は?」


「薬局の化粧品しか買ったことなくてさ。ちょっと百貨店の化粧品買おうかなって思ってて。どれがいいか教えてよ。」


いやいや、私に聞かれても困る。


「知らないよ。AIにでも聞いてみたら?」


「AIなんて無理無理!使い方わっかんないもん!」


即答だった。


「もう三百円で買ってる眉墨ペンがさ、全然ダメでさ〜。あと何年生きられるかわからないし、少しくらい良いものにしようかなって。」


なるほど。


母のやりたいことは、高級美容液でも高級クリームでもないらしい。


まずは眉墨ペンだった。


そうして私は、母と念願のデパコスを買いに行くことになった。


数日後、新宿三丁目で待ち合わせる約束をした。


それまでの間、私も少し調べてみることにした。

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