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人生100年時代だっていっただろうが! 〜母という異世界生物観察記録〜  作者: 目立拓奶


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第41話 私の救世主、ハムエッグ

うんざりした気持ちを抱えながらも、何か食べなきゃいけないなと思い、台所に立った。


もう家族のためというより、自分のためだ。


特に、あの産んだ覚えのない長男のためではない。


今日は自分のために作る。


そう決めた。


けれど、こういう時に限って食べたいものは決まっている。


ハムエッグだ。


こんな時は、ガツンと脳天にくるようなうまいものが食べたい。


冷蔵庫からハムを取り出す。


フライパンに並べる。


卵をパカッと割り、その上に落とした。


少しだけ健康に気を遣って、油は米油をほんの少し。


ハムに火が入ると、


ジュゥゥ……


という音が聞こえた。


その直後、


パチパチパチ……


と白身の水分が弾ける音がする。


私は少しだけその音を聞いていた。


こういう音は不思議と落ち着く。


やがてフライパンに蓋をする。


蓋の向こう側で、またパチパチと音が鳴る。


朝なのに、とんでもない疲労感だった。


昨日は別に徹夜したわけでもない。


重いものを持ったわけでもない。


それなのに体が重い。


ストレス元があると、人間はこんなにも具合が悪くなるものなのだろうか。


私はぼんやりそんなことを考えた。


すると。


ピコンッ。


スマートフォンが鳴った。


首を伸ばして画面を見る。


母からだった。


銀座の祖母の占い、予約取れたんだけど一緒にいく?


文字を見た瞬間、思わず吹き出しそうになった。


昨日までギャラ飲みをしていた人間が、今度は占いである。


忙しい。


本当に忙しい。


私は占いなんて信じない。


だからといって、このどうしようもない気持ちが占いで解決するとも思っていない。


でも。


少しくらい気分転換にはなるのかもしれない。


それに、母は元気そうだった。


私は短く返信した。


「行く。」


その頃には、ハムエッグの焼ける匂いが台所いっぱいに広がっていた。

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