↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生100年時代だっていっただろうが! 〜母という異世界生物観察記録〜  作者: 目立拓奶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/69

第40話 ため息

そんな時だった。


母から着信があった。


「あぁ、起きてる? おはよう。孫は?」


「おはよう。うん。まぁ、夜は泣いてたけど、坐薬してちょっとマシになったかな。」


「あぁ、そう。」


そう言うと、少し間があった。


「旦那さん、どう?」


「あー……うん、まぁ。」


そう答えると、母も何となく察したようだった。


「まぁ、昨日は付き合わせて悪かったわね。じゃ。」


「うん。またね。」


電話が切れた。


その時、ソファーの方から声がした。


「お義母さん?」


夫だった。


「うん。」


「あれからまだちゃんと聞いてないけど、病気の方どうなの?」


「んー。まだ治療前。今は思い出作りしてる感じかな。」


「思い出作り?」


「うん。」


夫は少し考えるような顔をした。


「そうなんだ。」


それだけだった。


たぶん本当にわからないのだ。


病気になった時に何を考えるのか。


残された時間をどう使いたくなるのか。


そういう発想自体がない。


「大事でしょ。生きてるんだから。」


少しだけ棘のある言い方になった。


夫は気づいているのかいないのか、肩をすくめた。


「まぁ、俺にはわからない価値観だな。」


そう言って笑う。


「俺なんか、ソファーでゴロゴロしてるのが一番幸せだし。」


そして本当にソファーに寝転がった。


私は洗面所の鏡越しにその姿を見る。


出会った頃は、この人のそういうところが好きだった。


何かに追われている感じがない。


焦らない。


競争しない。


私にないものを持っているように見えた。


でも今は違う。


毎日が退屈だった。


「お義母さんのこともあるだろうけどさ。」


夫が天井を見ながら言った。


「俺の面倒も頼むよ。」


そう言いながら、お尻をポリポリとかいている。


私は思わず目を閉じた。


息子が一人。


そして目の前には、私が産んだ覚えのない長男が一人。


ため息だけが静かに漏れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。