第35話 ギャラ飲み開始
「面白い!私、レイカです。ピチピチの24歳です!よろしくー!」
もう終わった。
もうダメだ。
何をされるかわからない。
殴られる。絶対殴られる。
あー、こわい。こわい。
自然と目を瞑ってしまう。
目を開けられない。
こわすぎる。
生きた心地がしない。
誰か時間を巻き戻して……!
そして恐る恐る目を開けた。
すると、カエル男爵の隣には母が座っていて、とても楽しそうに話している。
はて……?
本当に時間が巻き戻ったのだろうか。
周りを見渡す。
神崎までもがソファーに腰掛け、腕を組みながら母とカエル男爵の話を聞いていた。
何だ。
何が起きたんだ?
私が目を閉じていた数秒の間に、世界線でも変わったのだろうか。
そして母が私に声を掛ける。
「はいっ!じゃあ、そろそろ帰りましょうか!タクシー代ももらったことだし、今日は美味しいものでも食べて帰ろう〜」
私は訳がわからないまま、カエル男爵や周囲の人たちに深々と頭を下げ、慌てて母の後を追いかけた。
店を出たところで、ようやく聞く。
「えっ!?何!?何があったの!?」
「は?」
母は心底不思議そうな顔をした。
「あんた、一瞬って何よ。あれだけ私が真剣に話してたのに。」
「いやいやいや!私から見たら三十秒くらいだったんだけど!」
「失礼ねぇ。人が人生について語ってたっていうのに。」




