第30話 大雨の月曜日
最近はどこの地域でも大雨や洪水のニュースばかりで、例外なく私たちの地域にも大雨が降った。
おかげでバスは止まり、電車も運休や遅延が相次いでいる。
母の通院日だったが、私は断念するよう伝えた。
母は「泳いででも行くわよ」と言っていたが、行かせないことにした。
これだけの雨だと、保育園に子どもを預けることもできない。
こういう日は何もかもが止まってしまう。
仕方がないことだ。
それでも仕事をしている人たちがいるのだから頭が上がらない。
先生に会えるはずだった月曜日は、家で大人しく過ごすことになった。
その日の昼。
子どもと一緒に昼寝をしていた時、おかしな夢を見た。
大雨の日に母が手術を受けている夢だった。
突然、巨大な水の壁が手術室へ押し寄せてくる。
医師も看護師も、そこにいる人たちも一気に飲み込まれる。
切り開かれた患部にまで水が流れ込み、私はただ見ていることしかできない。
息が詰まるような感覚と冷や汗をかきながら目を覚ました。
白い天井が目に入る。
ここは家だった。
隣では子どもがすーすーと可愛らしい寝息を立てている。
外を見ると、まだ雨が降っていた。
かなり強い雨だが、この辺りは洪水にはなっていないようだった。
坂本龍一が亡くなる前、雨の音をよく聴いていたという話を聞いたことがある。
音楽は熱量が高く、疲れてしまう。
そんなような話だったと思う。
「普通の雨の日」の雨音なら、確かに自然と体に沁み込んでくるというか、心地よく受け入れられるのかもしれない。
けれど今日の雨は違った。
ザーザーと力強く鳴り続ける音が、まるで今私が感じている不安そのもののように聞こえた。




