第18話 小休止
たくさんがんのことについて、これからのことについて考えていたら、一ヶ月が経っていた。
この一ヶ月間、片時もがんという言葉が頭から離れなかった。
そして考え尽くして、まだまだ知りたいことは山ほどあるはずだけど、一通り目の前の「なんでがんになったのか?」「どうしたらいいのか?」「どうありたいのか?」が少し整理できた。
深く息を吸い込んで、できるだけ遠くに、肺に溜め込んだ息をゆっくり、でも確実に吹き出す。
久しぶりに深く呼吸ができた気がする。
次は鼻から深く空気を吸い込む。
そして今度は口から出す。
何度か繰り返すと、気持ちが落ち着いてきた。
こうしてみると、ずっと気持ちが張り詰めていたのだと実感する。
子どもが泣いている声が聞こえて、ふと我に帰る。
あぁ、子どもを泣かせたくなくて、それで母のがんの治療について考えていたはずなのに、気づけば子どもの声をあまり聞き取れなくなっている自分がいた。
子どもは何も知らない。
本当はわかっているのかもしれない。
でも、大丈夫だとどこかで思っているのかもしれない。
これもまた、わからないことだ。
がんのことも、親のことも、子のことも、分かった気になっているだけで、本当はわかっていないのだと思う。
それでも自分なりに、小休止できた日だった。




