第16話 いつまでも続かない生命
まぁ、ガンと宣告されても今はガンで必ずしもすぐ亡くなるわけではない。
そう思っているが、ある日突然タイムリミットを知らされるわけで、それまでは永遠に感じて、いつまで生きるか分からないので心配でお金が使えず、コツコツ貯める。
そしてある日ガン宣告されて、お金を使い始めたり、今までやってなかったことをするわけだ。
私の場合はどうだろう?
自分の人生が残りわずかだと言われた時、多分くだらないことはやらないだろう。
だから、生きている間は「死ぬまでの暇つぶし」が大半だと思って、「成し遂げたい事」と「暇つぶし」の二軸でリストを作ろうと思った。
ボールペンと紙を取って、いざノートに書こうとした時、タイミングよく電話があった。
母である。
最近よく電話が来るようになった。
「はい、もしもし。」
「服着た?」
「着てはいないね。」
「まぁ、あれ良いものだから着てみなさい。シルク100%よ。」
「? そうなんだ。」
私は衣類の知識がない。シルクって何だっけ?
「私は今、死ぬまでにやることリストを作ろうとしてたんだけどさ。」
「なんであんたが決めるのよ。私の人生なんだから私が決めるわよ。」
「誰もあなたの死ぬまでリストなんて作ってないわ。私の死ぬまでリストよ。」
「あんた、まさか死ぬの? あんたもガン?」
「違うよ。」
「ガンって遺伝するから気をつけなさいよ。」
「今はそんな話してないのよ。」
「私はね、死ぬまでにヤマザキ春のパン祭りの皿を100枚集めるわ。そういうことだから。じゃ。」
電話は切れた。
やることが変わった。
ヤマザキ春のパン祭りの皿を1枚集めるには、まず何をしなければいけないのかを知らなくてはいけない。
もしかするとこのままでは母の財産はヤマザキという名の、母の腹に全額投資して消えるかもしれない。
ヤマザキは好きだが、それは困る。




